公益社団法人 日本臨床工学技士会
受講率90%!資格認定制度におけるeラーニングの効果 ~修了証発行までの自動化を目指して~

成26年度の診療報酬改定(*1) でますます需要が高まる、医療機器のスペシャリスト「臨床工学技士」。その職能団体である『公益社団法人 日本臨床工学技士会』では、内閣府の認可のもと、資格認定制度を運営されるなど臨床工学技士のさらなる学術技能の研鑽、資質の向上に努められています。インタビューでは、資格認定制度におけるeラーニングの使い方や効果、これからのコンテンツの方向性についても興味深いお話をお聞きすることができました。

公益社団法人日本臨床工学技士会 専務理事 那須野修一様(左) 事務局 押本真理子様(右)

公益社団法人日本臨床工学技士会
専務理事 那須野修一様(左)
事務局 押本真理子様(右)

お客様のニーズ

  • 当会主催の実講習をeラーニングでも提供したい。

導入前の課題

  • 実講習会がほぼ東京開催のため、地方の会員にとって大きな負担となっていた。
  • 形だけの受講とならないよう、eラーニングの受講時間の管理・チェックを厳密に行う必要があった。

導入後の成果

  • eラーニングシステム「KnowledgeDeliver」によるeラーニング講習を導入。
  • いつでもどこでも繰り返し学べる仕組みにより、会員の大幅な負担軽減と学習の効率化を実現。
  • 受講管理機能により、実講習と同等の厳しい受講管理の仕組みをeラーニングでも実現。
  • 約90%の高いeラーニング終了率を実現。
  • 検定試験の平均点において、eラーニングが実講習を上回るなど一定の成果が出ている。(認定制度の指定講習会)
  • 会員データベースとeラーニングの連携により、申込決済から受講までを自動化。
  • 2018年度から認定制度が二階建てとなったことで、今後はさらなる受講生増加が予想されるが、それに対応し得る体制を作ることができた。


最初に、臨床工学技士とは何か?というところからお聞かせいただけますでしょうか。

株式会社すかいらーくホールディングス様那須野様:臨床工学技士とは、医療機器の操作・保守点検を行う専門医療職で、国家資格です。以前は資格化されていませんでしたが、医療機器がどんどん高度化・複雑化するなか、人工心肺装置や人工呼吸器といった患者さんに直接つながる生命維持管理装置については、その操作をする人をきちんと資格認定していこうということで、1987年6月に法律化され、臨床工学技士が誕生しました。

病院に必ず一人はいらっしゃるのでしょうか?

那須野様:大きな病院には大体一人はいるような状態にはなってきましたが、まだまだ人が足りていないのが現状です。残念なことに、臨床工学技士という名前が一般的にはあまり知られておらず、なり手がなかなかいないんです。
押本様:臨床工学技士は手術室や集中治療室、人工透析室など、特殊な場所にいて、一般の方はなかなか会う機会が少ないのが事実です。患者さんとして手術室に入る場合はそれどころではないでしょうし。

確かにそうですね。そんななか、日本臨床工学技士会ではどのような活動をされていますか。

那須野様:臨床工学士をより多くの方に知っていただくための普及啓発活動や情報発信、行政への政策提言などを行っています。子供向けに医療機器を体験してもらうキッズセミナーを開催したり、また、医療機器はメーカーによって同じ機能でも名称が違ったり、操作方法が左右逆だったりすることがありますので、当会が間に入って標準化を進めることで、医療安全の向上に努めています。
また、当会の会員はすべて臨床工学技士の国家資格を持つ方々ですが、その会員を対象とした認定制度も運営しています。

シープリンちゃん

臨床工学士を1人でも多くの人に知ってもらうべく、同会のキャラクター「シープリン」も活動中!

図2

認定制度は“専門認証”と“認証”の2種類。血液浄化や高気圧酸素治療といった専門的な指定講習会を定期的に実施し、修了者は検定試験合格で認定を受けられる仕組みだ。

この認定制度の指定講習会の一部を、eラーニングでも実施されているということですね。

押本様:はい、今から3年前に、当会としては初となるeラーニングを導入しました。実講習とeラーニング講習の両方を実施していますが、全体としてはeラーニングが少しずつ増えてきている状況です。

なぜeラーニングを導入されたのでしょうか?

那須野様:当会は全国組織で全国に会員がいますが、講習会を開くのは東京がほとんどです。そのため、地方の会員は交通費や宿泊費などの負担が大きく、「何とかならないか?」「eラーニングみたいなことができないか?」といった声が次第に大きくなってきていました。

導入時に重視されたポイントや機能はありましたか?

押本様:受講管理機能でしょうか。当会のeラーニングでは、すべての講義を最後まで受講された方にのみ修了証を発行しております。その修了証をもって検定試験が受けられたり、認定を取得するためのポイントが取得できます。そのため形だけの受講とならないよう、eラーニングの受講時間も厳密にチェックしています。受講期間中は数回にわたって受講生の受講時間をチェックし、受講を促すなど、システムの機能を活用しています。
那須野様:実講習でも遅刻をするとその講習は修了不可となります。ですからeラーニングでも同様に受講管理ができるかどうかが重要なポイントでした。

実講習と同等の受講管理の仕組みを、eラーニングでも提供できる点がポイントだったわけですね。ほかにもeラーニング講習のメリットはありますか?

株式会社すかいらーくホールディングス様押本様:先程もお話ししました通り、全国に会員がおりますので、旅費という費用面でも、移動という時間面でも、会員の大きな負担軽減につながっているのではないかと思います。さらに付け加えるなら、好きな時間に細切れで受講できるようになった点でしょうか。実講習は2~3日間にわたって開催しますので受講生は病院をお休みをして受けにきていただく必要がありました。eラーニングなら受講期間を1ヶ月設けており、期間中何度でも繰り返し見ることができますので、病院を休むことなく、仕事や日常生活を送りながら合間に受講していただけます。
那須野様:最近の改修でスマホやタブレットでもeラーニングが受講できるようになりました。当会の会員さんは20~30代の方が70%と非常に若いのが特徴です。人によってはPCを持っていない方も多いので、今回の改修によって、さらに便利に使っていただけるのではないでしょうか。

eラーニング導入後の具体的な効果をお聞かせください。

押本様:認定に関する講習会の1例がございます。実講習とeラーニング講習の両方を実施した講習会があったのですが、その後の検定試験でeラーニング受講者の方が平均点が高いという結果が出ました。
那須野様:実講習では一つの講義は一回聞けばお終いです。でもeラーニングなら苦手な部分、一回聞いただけでは理解できなかった部分を何度も繰り返し学習ができます。それが結果にもつながっているのでは。
押本様:実際受講時間をチェックしていると、何度も見ている人が結構いらっしゃるんです。「まだまだ見直したいところがあるので受講期間1ヶ月じゃ足りません」と言われる熱心な方もいらっしゃって。eラーニング講習の修了率も約90%と非常に高いんですよ。
那須野様:2~3日分の講義をeラーニングで全部視聴するというのは、これはかなり大変なことです。その修了率が90%代というのは、すごいと思いますね。
押本様:受講生自身が非常に熱心なのと、管理する側も受講時間をチェックし、受講生にフィードバックしていることが大きいかと思います。

非常に専門的な内容のeラーニング化は難しい部分もあるのではないかと思いますが、実際のところいかがですか?

那須野様:最近の傾向でいうと、専門性の高い内容は実際に作業をしながらハンズオンやグループワークで学ぶというのがひとつの流行りです。そういった内容はなかなかeラーニングには持っていきにくい状況です。ただ、ハンズオンやグループワークは大人数でやるのにはあまり適さず、比較的少人数で行うと効果的な形式です。それらは各都道府県や地域で開催してもらって、当会のように全国から人を集めて大人数に提供するようなものはeラーニングが効果的だろうと考えています。
押本様:当会だからこそ講師に来ていただける有名なドクターやその道のプロの方がいらっしゃいます。そのような講義は、より多くの方にeラーニングを使って受講していただくことができればいいですね。

教材は動画形式ですか?

臨床様

(講義動画とプレゼン資料を組み合わせたわかりやすいコンテンツ)

那須野様:講師の講義映像にパワーポイントのプレゼン資料を組み合わせて、受講者がその場で講義を受けているようなコンテンツを作っています。作り込みはデジタル・ナレッジさんにお願いしています。

実講習が減ってeラーニングが増えているとお聞きしました。

押本様:年間を通した受講者数ベースでいいますと、昨年は実講習の方が多かったのですが、今年はそれが逆転してeラーニングの方が多くなる見込みです。たとえば、昨年の血液浄化関連指定講習会は実講習が150名でしたが今年は100名減少し、57名となりましたが、eラーニングは221名となっております。
那須野様:最初はみんな様子見だったと思います。ところが、一度受けてみるとこれはいいと。実講習しかやってないものに関しては「何でこれはeラーニングないんだ?」との声が聞かれます。
押本様:会員の皆様からの要望も増えましたね。
那須野様:講習会を実施するチームも、うちは絶対やらんと言っていたところが今ではむしろ「eラーニングだけにしよう」と言っています。最初は初期投資などを理由に反対意見もありましたが、今は推進派になって頂いています。

今後はどういったコンテンツ作りをお考えですか?

那須野様:これまでは実講習をベースにeラーニングコンテンツを作成してきましたが、今後は、eラーニングはeラーニングの特性を生かしたコンテンツ作りができればと考えています。たとえば、病院で実際の手術室や医療機器を撮影したものに文字などを載せ、それを解説しながら講師が講義を行うようなものです。実際の現場ではなかなか説明しにくく、また普通の講義ではできないようなことも、eラーニングならできるのではないかと思います。

なるほど。ほかにもeラーニングやICT活用をお考えの分野はありますか?

那須野様:これもできるかどうかわかりませんが、“分岐していくコンテンツ”ですね。今は全員一つの共通した内容を受講しますよね? そうではなく、途中で選択肢が現れてAを選択した人はAのストーリーのコンテンツを進みその先にまた選択肢がある――といった感じで、医療シミュレーションみたいなことができれば面白いなと思います。一つひとつの選択でどういう結果になるのか、こんな危険があるとかこの時点で何とかしなければならなかった、というようなことが身を持って体験できるようなコンテンツが実現できれば良いですね。何度も分岐しなくても、数回の分岐だけで結構いいものができそうな気がします。

大変興味深いお話をありがとうございました。最後に、eラーニングに関して今後の展望やご要望があればぜひお聞かせください。

那須野様:受講時間のチェックや指定コンテンツ完了時の担当者へのメール送信など、今手作業でやっていることを自動化していければと考えています。最終的には修了証の発行まで自動化できればいいですね。
押本様:今年の春から認定制度が二階建てとなり、今後さらに受講生が増えることが予想されますから自動化はぜひ実現したいところです。とはいえ、会員情報システム「e-プリバド」とeラーニングの連携もこの春始まったばかり。これまでは会員データベースから申込情報のデータを手作業でeラーニングに反映していましたが、今ではe-プリバドから自動的にeラーニング側にデータが反映されるようになりました。また会員様のe-プリバドマイページからeラーニングにログインできるようになりました。
これまでいろいろな課題を一つずつクリアしてきましたが、今後もデジタル・ナレッジ様とご相談しながら、自動化に向けて一つひとつクリアしていければと思っています。

(*1)診療報酬改定に含まれる特定集中室管理料1・2の施設基準に「専任の臨床工学技士が、常時、院内に勤務していること」とする条件が追加。さらに呼吸ケアチーム加算や医療機器安全管理料などの施設基準においても、常勤の臨床工学技士の配置が義務付けられた。


ご利用いただいた製品・サービス

お客様のサイト

http://www.ja-ces.or.jp/

お客様情報

名称 公益社団法人 日本臨床工学技士会
設立 1990年2月(任意団体として設立)
2002年3月 「社団法人日本臨床工学技士会」として厚生労働省から認可
2012年4月 「公益社団法人日本臨床工学技士会」として内閣府から認可
所在地 東京都文京区湯島1丁目3-4 KTお茶の水聖橋ビル5F

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