eラーニング戦略研究所は、企業の人事教育担当者100名を対象に、企業研修におけるスマートフォン活用についてのアンケート調査を実施し、その結果をまとめた報告書を公開致しました。
アンケートの結果、全体の27%が「自社の研修はスマホでも受講できる」と回答し、およそ4社に1社でスマホ活用が進んでいることが明らかとなりました。スマホ活用後の変化としては「効果が出ている(卸売・小売)」「研修機会の大幅な拡大(製造)」「受講率アップ(宿泊・飲食)」などポジティブなものが多く、これまで研修を受けることが難しかった社員・環境でもスマホを使うことで教育が行き届くようになり、スマホならではの教育の在り方が浸透するなど、企業全体の人材育成に影響を与えている様子がうかがえます。
また、スマホ受講できる研修は、社会人マナーやコンプライアンスといった座学内容から語学まで多岐にわたっていますが、注目すべきは「マニュアルや作業手順」「店舗の接客・調理」が含まれている点です。従来のeラーニングはホワイトカラー向けの“知識伝達”が主でしたが、近年では小売や飲食、建設や製造業などの現場スタッフを対象とした“経験学習”――いわゆる「eXラーニング」とよばれる領域にまで広がりつつあるといわれています。今回のアンケート結果はこうした動向を裏付けるものであり、「より実践的な現場教育やOJTに適用可能」なスマホ活用に対する期待値の高さが読み取れます。
一方、研修におけるスマホ活用の課題は「スマホに適したコンテンツ開発」51.9%が最多となりました。一例として、従来PCで受講していた長時間のコンテンツはスマホ受講では敬遠され、数分程度に細分化されたコンテンツが求められる傾向にあります。このように5分程度のコンテンツを短時間で効率的・効果的に学ぶ手法は「マイクロラーニング」とよばれ、eXラーニングと共に注目されている分野です。今後はスマホと親和性の高いこれらの手法が、スマホ活用の本格化と共にますます存在感を増す可能性も考えられます。
すでにスマホ活用を進めている企業の多くが、その範囲をさらに拡大し内容も充実させたいという意図を明らかにした今回のアンケート。調査報告書では、研修におけるスマホ活用の詳細や今後の展望なども明らかとなっており、目まぐるしい環境変化に対応できる新時代の企業研修の在り方を考えるうえで興味深い内容となっています。
- 4社に1社が「自社研修はスマホで受講可能」、小売・建設業などで顕著
- 「継続学習に効果」「研修機会増」「受講率アップ」でスマホ活用は拡大基調か
- 「PCなしでも受講」「繰り返し学習に」「すきま受講」「現場教育・OJTに生かせる」多くのメリットと2つの課題
- スマホと親和性の高い「eXラーニング」「マイクロラーニング」へ高まる期待
アンケート調査概要
調査目的 | 企業研修におけるスマートフォン活用の現状と最新のトレンド、課題を調査する |
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調査期間 | 2019年5月9日(木)~5月14日(火) |
調査方法 | Webアンケート方式 |
調査地区 | 全国 |
調査対象 | 企業研修にeラーニングを導入している企業の人事教育担当者100名 |