日本における生涯学習の中核機関として、10~90代までの幅広い年代・職業の方が学ぶ放送大学。この度、生涯学習のさらなる充実・普及を目的に「インターネット配信公開講座」を開設、修了証明として国際的な認証技術であるデジタルバッジ(オープンバッジ)を発行できる点が評価され「第18回 日本e-Learning大賞 奨励賞」、「第6回IMS Japan賞 優秀賞」を受賞されました。生涯学習の重要性があらためてクローズアップされる今、同大学の取り組み、LMSやデジタルバッジ活用の意義とは? 早速お話しを伺いました。
- インターネット配信公開講座 運用担当者様
お客様のニーズ
- 生涯学習・リカレント教育講座をオンライン化してより多くの方に届けたい。
- 修了証明として国際的な認証技術である「デジタルバッジ」を発行したい。
- 学修履歴の蓄積・確認をするための手段としてLMSを導入したい。
導入後の成果
- キャリアアップや生涯学習に役立つ講座をオンラインで学べる「インターネット配信公開講座」を開設。
- LMS活用で在学生でない方にも広く講座提供が可能となった。
- 修了条件を満たすことでデジタルバッジの発行を実現。
- 学修履歴の蓄積・確認はもちろん、受講料のオンライン決済、教材コンテンツ設定、講座配信、受講者管理まで、ひとつのシステムで一元管理可能となった。
キャリアアップや生涯学習に役立つ講座をオンライン化
「インターネット配信公開講座」を開設された経緯をお聞かせください。
放送大学ではBS放送で全国無料放送を行っています。在籍する学生の授業科目の単位取得を目的とした授業番組(BS232ch)と、生涯学習やリカレント教育を意識した番組(BS231ch)があります。
生涯学習やリカレント教育というのは、放送大学の学生だけでない幅広い層を対象にしている点が特徴ですが、BS231chではテレビ視聴だけで終わってしまうという悩みもあり、せっかく多岐に渡る番組を作っているのだから、もっとたくさんの方に見てもらいたいという想いがありました。そのような経緯からキャリアアップや生涯学習に役立つ公開講座を、インターネットを通じて提供する「インターネット配信公開講座」を開設することとなりました。
放送大学の学生でなくてもオンラインで受講ができるんですね。どのような講座ラインナップがありますか。
BS231chで放送している生涯学習支援番組の一部を無料で配信しています。たとえば、「データサイエンス革命」「地球と生命の誕生」「デジタル技術で蘇る幕末・維新の風景-東京大学史料編纂所 古写真プロジェクト-」「スタートアップ!情報セキュリティ」などです。有料講座としましては、小・中・高校の教員向けのプログラミング教育指導講座や、数理・データサイエンス・AIについて学べる講座等を提供しております。
「インターネット配信公開講座」の開設にあたりLMS(学習管理システム)を導入されましたが、目的は何でしたか。
在学生か在学生以外かを問わず、学修履歴を蓄積、確認(証明)できる手段として、また受講者の学習環境を充実させることを目的としてLMSの導入を決めました。
弊社のLMS『KnowledgeDeliver』を採用された理由をお聞かせください。
デジタルバッジ(オープンバッジ)を発行する機能、動画に字幕を付けることができる等、求めていた機能を有していたことから採用いたしました。
国際的な認証技術「デジタルバッジ」で修了証明!そのメリット・意義とは
今回、LMSを使ってデジタルバッジを発行できる仕組みが「第18回 日本e-Learning大賞 奨励賞」、「第6回IMS Japan賞 優秀賞」を受賞されました。この詳細についてお聞きしていきたいのですが、まずデジタルバッジとは何でしょうか。
デジタルバッジとは学修履歴や資格に関するデータを、ユーザ(修了者)自身が安全にやりとりできる次世代学修証明システムです。放送大学が発行するデジタルバッジは、国際標準化団体IMS Global Learning Consortiumが定めている「Open Badge Version 2(OBv2)」という国際技術標準規格に準拠しています。
デジタルバッジの外観はいわゆるバッジのような画像デザインですが、中には発行機関(放送大学)の情報、修得した講座のシラバスの情報、修了者の情報(ハッシュ化されたもの)などが記録されています。紙の証明書には改ざんの危険性がありますが、デジタルバッジには発行元への照会機能があり、証明書の改ざんの有無が即座に判定できます。
学修者にとってはどのようなメリットがありますか。
対象講座を修了すると、PDFデータである認証状に加え、デジタルバッジが獲得できるようになります。デジタルバッジはシステムからダウンロード、またはリンクを取得することでSNSやメール、入試や就職の際の電子履歴書に添付し簡単にスキルを証明できます。また、獲得したデジタルバッジは一覧化されるため、学修者はその獲得状況を通じて自身の学修状況を確認できるとともに、獲得や利用がモチベーションとなり、学修の促進・活性化が期待されています。
放送大学におけるデジタルバッジ運用の特徴はどんなところにありますか。
複数講座の修了に対応したデジタルバッジが発行できるという特徴があります。単一の講座修了だけでは十分に示すことができなかった複合的なスキルを、管理者が定める任意の講座群を受講修了することで得られるデジタルバッジが証明、共有できるというものです。
生涯学習分野におけるデジタルバッジ活用の意義についてはどのようにお考えでしょうか。
デジタルバッジの導入は徐々に進んできていると思いますが、これからは社会の中でどのように使われるかという点や、利用する側にどういったメリットを打ち出せるかという点で、まだまだ工夫が必要であり、今後の取り組み次第なのではないかと考えております。
LMS活用の成果と今後の展望
インターネット配信公開講座がスタートしてから少し経ちましたが、現在、受講生の皆さんはどのようにLMSを活用されていますか。
講義動画の視聴、確認テストの実施、デジタルバッジ管理を主な機能として利用されています。
LMS活用で見えてきた成果はありましたか。
受講料の支払い機能(オンライン決済)にはじまり、教材コンテンツの設定、講座の配信、認証状発行、受講者の情報管理まで、講座提供に関わる一連の流れをひとつのシステムで管理できるため、柔軟な講座提供が可能となりました。またそれにより、在学生のみならず学生でない方にも講座を提供することができるようになったという点で一定の成果があったと思います。
コロナ前後におけるeラーニング活用の変化についてはどのように捉えていらっしゃいますか。
本学は元々教育活動を遠隔で行う機能を有していたこともあり、この2年は履修科目数や利用者数が増加傾向となりました。また、社会全体としても、今回の出来事を機にeラーニングの活用に対する抵抗感がかなり少なくなったことを実感しています。eラーニングは今後も教育の手段のスタンダートとしてますます発展していくのではないでしょうか。
ありがとうございます。最後に、今後の展望をお聞かせください。
これからも学修者や社会のニーズを捉えながら、学修機会、コンテンツの提供を通して、生涯学習の発展・普及に貢献していきたいと考えています。ありがとうございました。
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学校名 | 放送大学 |
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設立 | 昭和56年(1981年)7月 |
所在地 | 千葉市美浜区若葉2-11 |