独自カスタマイズが多く盛り込まれたeラーニングシステムで営業向け教育を行っていた杏林製薬株式会社様。2004年導入の同システムは細かい要望に応えられるシステムでしたが、時代の流れと共にコストの高額化など様々な問題が表面化していました。さらに、別のシステムで実施していた「一斉テスト」にも大きな課題を抱えていたといいます。山積する問題を専用サーバなしで“劇的に改善”された経緯、そして今後の展望についてもお聞きしました。
- 杏林製薬株式会社
- 医薬営業本部 学術部 情報管理グループ
- 課長 嶋崎 修様(左)
- 星野 正人様(右)
お客様のニーズ
- 営業(MR)向け一斉テストをトラブルなく、スムーズに実施したい。
- eラーニングシステムを一新し、迅速な情報発信、理解度・教育効果の向上、管理運営の利便性向上、維持運用費の低コスト化を実現したい。
導入後の成果
- eラーニングと一斉テストを1つのシステムで対応可能なクラウド型eラーニングシステムを導入。
- 以前は30~40件あった一斉テスト当日のシステムトラブルがほぼゼロに。専用サーバを立てることなく、数百名規模のテストをスムーズに実施できる体制作りに成功。
- コンテンツ作成から公開までの期間を2週間から2日に短縮。
- 管理運営を内製化し、利便性向上を実現。
- ランニングコストを3分の1以下に削減。
以前のeラーニングにどのような課題をお持ちでしたか。
嶋崎様:以前のeラーニングシステムは弊社の要望の多くをカスタマイズし、2004年に導入したものですが、動きのないスライド型コンテンツが主だったため、ポイントが分かりづらく、理解し難いという問題を抱えていました。また、仕組みが複雑で管理運営を内製化できていませんでした。たとえば、コンテンツは社内で作成していましたが、それを外部業者に依頼し公開するまでに2週間もかかり、当然コストも非常に高額化していました。そこで、2016年4月にMRの教育システム全体を変更することになった際、eラーニングについても抜本的に見直すことにしました。
eラーニングの見直しにあたり、とくに重視されたポイントは?
嶋崎様:集合教育を補完する自己学習システムとして、タイムリー且つ、理解し易い情報発信、管理運営の利便性向上、維持費の低コスト化が必要不可欠でしたが、さらに大きな課題として「一斉テスト」の問題がありました。
「一斉テスト」とはどのようなものですか?
嶋崎様:弊社では毎年、約900名の営業関係者が同時にテストを受ける「一斉テスト」を実施しています。eラーニングとは別のテストシステムを使っていましたが、システムが不安定で数百名分のデータを同時に送信するとエラーが発生したり、画面が消えたり様々なことが起こっていました。テスト当日は朝から問い合わせが殺到し、テストを受ける方も我々も非常に大変でした。これを何とか双方ともストレスなく実施できるようにするのが最大の課題でした。
様々な課題があるなかで、弊社のeラーニングシステムを導入された理由をお聞かせください。
嶋崎様:御社のシステムが我々のニーズに合った内容でパッケージ化されており、カスタマイズなしでそのまま導入できるのが魅力でした。何しろ少々時間がなく、御社に決定したのが2月、公開まで2ヶ月弱というスケジュールでした。また、ハード・ソフト両面のメンテナンスをフリーにしたいという希望がありましたので、ご提案頂いたクラウド面での仕様が我々のニーズに合致していました。
星野様:従来のeラーニングシステム、そしてテストシステム共に非常にカスタマイズを行っており、弊社オリジナルのシステムを作り上げていた状態でしたので、今後は極力、カスタマイズをしないで運用できるもの、且つeラーニングと一斉テストの2つのシステムをどうにかして1つにできないかという希望を満たしてくれたのが、御社のKnowledgeDeliverでした。
それでは、導入後のお話をお聞きしていきたいと思います。まずは最大の課題であった「一斉テスト」についてです。弊社のeラーニングシステムを導入されてから先日初めて一斉テストを行われたということですが、結果はいかがでしたか?
星野様:これは非常に驚いたのですが、期待した以上の結果でした。これまでは、一斉テストの日は30~40件も電話がかかってきてこちらが休む間もなく電話を取るといった状況でした。ところが、今回かかってきた電話はたった3件。システムトラブルに関わるものはほぼゼロでした。
嶋崎様:我々が新しいシステムを導入する上で一番危惧していたのが、この一斉テストでした。導入前に色々な業者に話を聞いたところ、やはり費用さえかければ「専用サーバを立てますから大丈夫ですよ」というところは多かったんです。しかし御社の場合は、我々が望むコストの中でやり方を工夫して頂いた。そして実際にやってみて、これはもう問題なかったと言っていいと思います。安定したシステムが手に入ったこと、非常に感謝しております。
eラーニングに関しては迅速な情報公開などを目指しておられましたが、何か変化はありましたか?
星野様:お陰様で、今まで2週間かかっていたコンテンツ公開が2日に短縮できました。公開までの時間を大きく短縮できたことで、受講者側の学習時間を長く取れるようになりましたし、作成者側もコンテンツ作りに余裕が持てるようになりました。
嶋崎様:以前は一度作ったコンテンツを何度も使い回していましたが、今は時代の流れが非常に早く、1年前に作った内容は現場では通用しません。ですから可能な限り、タイムリーに情報発信をして学習をしてもらう。という意味でも、このKnowledgeDeliverがマッチしていました。
以前は外注されていた管理運営についてはいかがでしょうか。
嶋崎様:KnowledgeDeliverの管理機能がしっかりしているため、ほぼ内製化ができました。受講率などは以前のシステムでも上長が見てはいましたが、以前よりも管理し易くなった分、より熱心にまた手間なくフォローや集計などができています。
コストカットについては数値化できる成果は出ていますか?
星野様:この部分も劇的に改善されまして、ランニングコストが以前のシステムと比べて3分の1以下になりました。
受講者の皆様の反応はいかがですか。
星野様:新しいシステムでは動画配信ができるようになり、視覚・聴覚に訴えかけるコンテンツが使えるようになったことで、受講者アンケートでも「ポイントが分かり易くなった」「理解しやすい」という評価を頂いています。
コンテンツについては以前から内製化をされているということですが、分かり易いコンテンツ作りのためにどのような工夫をされていますか?
星野様:作成者側としては、伝えたい内容が多いため、どうしてもスライドいっぱいに文字を書いてしまいがちです。そこで一枚のスライドに書く文字数の目安や文字の大きさ、ポイントとなる部分にはマーキングしてメリハリを付けましょうなど、作成担当者に対して、依頼したりしています。また、コンテンツは大体5分前後に収めるようにしています。
嶋崎様:受講者アンケートで評価が高く我々が見ても分かり易いコンテンツは、作成者側にも見てもらい工夫を共有してもらえるようにしています。
星野様:最近ではドラマ仕立てといいますか、講師が2名登場し1人はドクター役、1人はMR役で掛け合いをすることで模範例をわかりやすく伝えるコンテンツなども出てきています。
学習履歴の活用といったことが企業教育分野でも注目をされていますが、どのように捉えていらっしゃいますか?
嶋崎様:現時点ではeラーニングと集合教育の学習履歴は別々に管理していますが、今後は集合教育の受講履歴も含めた様々なデータをeラーニングシステムの中に一元化、データベース化し、将来的には人材マネジメント等へ活用していければ良いと考えています。
そのほかにご興味をお持ちの分野や今後の展望についてお聞かせください。
嶋崎様:実のところ、本社発信のやり方には限界を感じています。なぜなら、一番ノウハウを持っているのは医療現場でドクターに接している営業のメンバーだからです。仲間同士、MR間でもっとリアルに相互発信していける時代なので、ただ教えられるのではなく、みんなで教え合い、自ら学ぶ仕組みを作らないと、これからの医療業界の環境変化についていけないのではないでしょうか。
「教えられる」から「学ぶ」への転換、ということですね。
嶋崎様:“自ら学習する組織”になっていかなければという思いを強く持っています。今回、新しいeラーニングシステムでそういったことが可能な環境を作っていただいたのですから、もっともっと活用できる風土を作っていきたいですね。
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お客様のサイト
お客様情報
名称 | 杏林製薬株式会社(KYORIN Pharmaceutical Co.,Ltd. ) |
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創業 | 大正12年(1923年) |
設立 | 昭和15年(1940年) |
従業員数 | 1,731名(平成28年3月31日現在) |
本社 | 東京都千代田区神田駿河台4丁目6番地 御茶ノ水ソラシティ(受付16階) |