医学部の学生向けにスポット導入されたeラーニングの利用が拡大し、今や全10学部の学生や教職員向けにも活用されているという慶應義塾大学様。そこには、塾内に多い“3つのニーズ”がeラーニングの要件にぴったりと合致したという背景がありました。「eラーニングの機能をうまく活用すれば学習目的以外のさまざまな課題解決にも使えます」と語るIT部門のご担当者に、詳しいお話を伺いました。
- 慶應義塾
- インフォメーションテクノロジーセンター(ITC)本部
- 塩田利尚様(右)
- 竹内連様(左)
お客様のニーズ
- 学生向けに理解度テストを行いたい。
- 導入にあたって重視するのはスピード(納期)と見やすさ。
- 塾内の共通認証基盤とのシングルサインオンは必須。
- サーバやセキュリティの問題があり、効果的な動画活用ができていない。
- 「対象者を絞ってコンテンツを見せたい」「誰が見たか把握したい」「理解できたか確認したい」といった塾内で多い3つのニーズに対応したい。
- 乱立するeラーニング系サービスを将来的には統一したい。
導入後の成果
- 汎用パッケージでありながら不要な機能・項目を管理画面上で制御できる自由度の高いeラーニングシステム「KnowledgeDeliver」をご提供。
- レスポンシブデザイン(*1)も採用し「見やすく使いやすい」eラーニングを実現。
- SAML 2.0によるセキュアなシングルサインオン認証(*2)を短期間で構築。
- 動画作成配信サービス「Video+」をご提供、サーバの負担やセキュリティの問題をクリアにした動画ストリーミングサービスを実現。
- 動画データの共有ツールとしても定着。
- 学生向けのeラーニングや理解度テストだけでなく、教職員向けの“ナレッジ共有ツール”としても活用。
- 学習に限らず、学校運営上・業務上のさまざまな課題解決にフレシキブルに対応可能な仕組みを構築。
システムの選定時にとくに重視されたのはどのような点でしたか?
スピード(納期)と見やすさです。この話が持ち上がったのは2014年の年末でしたが、翌年3月には形にしたいという要望でした。そのため、ごく短期間で実現できる会社が必須条件でした。また、マニュアルや手順書がなくても直感的に操作できるインターフェースを重視しました。
見やすさを重視されたのはなぜですか?
大学には毎年新しい学生が入学してきます。同一ユーザーが長年使うのではなく、毎年毎年新規のユーザーが生まれるという運用形態において「見やすさ」や「とっつきやすさ」は重要な要素であると考えました。
そういった点からみて「KnowledgeDeliver(以下、KD)」はいかがでしたか?
一般的に汎用パッケージには不要な機能が多く、画面上には使わない機能を使うためのメニューがあふれている、ということが起こりがちです。ですが、KD は画面上のほぼすべての項目について管理側で「表示する/表示しない」の制御が可能で、一番シンプルなケースだと「コンテンツを選ぶ」という項目しかないところまで絞り込むことができます。不要なものをいかにきれいに排除できるか、ここができないシステムが多いなか、KDはかゆいところに手が届くという印象でした。結果的にシステムや使い方に関する問い合わせもほとんどなく、見やすさに主眼をおいて導入したのは正解だったかなと思っています。
認証の部分でもご要望をいただきました。
塾内での共通認証基盤がありまして、KDも今後利用が拡大していくかもしれないと考えたとき、セキュアなシングルサインオンの仕組みがどうしても必要でしたので、その部分のカスタマイズをお願いしました。
その後、動画作成配信サービス「Video+」を導入されました。動画の活用は増えてきていますか?
増えてきていますね。実は動画を使いたいというニーズは以前からあったのですが、ストリーミングサービスの導入には積極的ではありませんでした。塾内のネットワークのトラフィックに対する影響が懸念されたからです。かといって外部のサービスを使うとセキュリティの問題がありました。
それをどのように解決されたのですか?
教職員の方向けにもご活用いただいているそうですね。
教職員向けのナレッジ共有ツールとしても一部使用しています。塾内にはいわゆるイントラネットの掲示板のようなものもありますが、情報の周知徹底を考えたとき、その機能は十分ではありません。情報が本当に届いたのかどうか分からないからです。KDなら対象者を絞って情報を発信し、さらにちゃんと情報が届いたかどうかその理解度チェックまで容易に行えます。
学生向けの一般的なeラーニングとしての使い方にとらわれず、さまざまな用途にご活用いただいているんですね。
我々IT部門に寄せられるニーズとしてよくあるのが「特定の対象者にのみコンテンツを見せたい」「誰が見たか把握したい」「ちゃんと理解できたか確認したい」……まさにeラーニングの得意分野ですよね。こうしたニーズを形にしようとするとeラーニングの要件とかっちり合致するんです。つまりeラーニングシステムの持つ機能をうまく活用すれば、それが学習目的でなかったとしてもいろいろな課題が解決できます。
これからも利用は広がりそうですか?
全10学部の学生が履修者となり得るコンテンツを運用するなど、その利用は少しずつ増えています。もちろん単位も出ます。とくに宣伝はしていないのですが、評判を聞いて「うちでもこんなことができないか?」といった問い合わせもありますので、将来的には塾内に多数あるeラーニング系サービスの一本化ができれば良いですね。
今後の展望をお聞かせください。
大学全体としてはいわゆる“eラーニング”の占める割合は大きくありません。ただ先ほどもお話しした通り、日々の業務において「これはeラーニングの仕組みで解決できるな」と感じる場面が本当に多いんです。これからも従来のeラーニングの枠にとらわれず、いろいろな使い方をしていきたいですね。
- (*1)レスポンシブデザイン
- 複数の異なる画面サイズを考慮しページレイアウト・デザインを最適化する手法。PC、タブレット、スマートフォンなどいずれの端末でも同じユーザーインタフェースで学習が可能となる。
- (*2)SAML 2.0によるシングルサインオン認証
- SAML(Security Assertion Markup Language)は、OASISによって策定された異なるインターネットドメイン間でユーザー認証を行うための XML をベースにした標準規格。最新バージョンは2.0。SAMLの利用により、認証サーバに1回ログインするだけで複数のクラウドサービスやWebアプリケーションをシームレスに利用できる。
ご利用いただいた製品・サービス
お客様のサイト
お客様情報
学校名 | 学校法人 慶應義塾 |
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開塾 | 1858年10月 |
所在地 | 東京都港区三田2-15-45 |