八洲学園大学調査報告書

2008年3月発行


1.調査概要

1.1 調査の目的

文部科学省発表の平成19年度学校基本調査によると、大学の数は761校(通信教育のみを
行う大学(私立5 校)を含む)あり、その中でも通信による教育を行う大学(いわゆる通信制大学)
は48校ある。

通信制大学では、自宅での通信教育教材を使った自己学習に加え、スクーリングと呼ばれる面接授業による単位習得が義務付けられている。これは、一定の単位(30単位以上)を大学の教室等で受講することである。ところが、近年の情報通信技術の発展によりインターネットによる動画配信などを使うことで、スクーリングを自宅で受講できるようにもなった。これにより、理論上は一度も大学へ通わずに卒業することも可能となった。
このような状況を踏まえ、本調査では日本初のネット大学である「八洲学園大学」について調査を行うとともに、本年3 月までの運営実態について調査を実施したものである。


1.2 調査概要

本調査の調査対象、調査期間、調査方法は以下のとおりである。

(1) 調査対象 : 八洲学園大学
(2) 調査期間 : 2008年3月1日~2008年3月31日
(3) 調査方法 : ヒアリング、データ分析


1.3 調査項目

以下の項目について調査を実施した。

(1) 大学概要
(2) 教職員体制
(3) 学生のあらまし
(4) 学費等
(5) 授業・試験・入学式・卒業式
(6) 授業コンテンツ
(7) ヘルプデスク
(8) コミュニティ形成
(9) システム
(10) 在学生アンケート調査
(11)他大学と比べた優位点
(12)今後の展望
(13)課題

2.調査結果

2.1 大学概要

今回、調査を実施した八洲学園大学の概要は次のとおりである。

法人名
学校法人八洲学園
大学名
八洲学園大学
開学
2004年4月1日
学部数
1学部 2課程
生涯学習学部(通信教育課程):家庭教育課程/人間開発教育課程
定員
入学定員 600名(家庭教育課程)/ 600名(人間開発教育課程)
3年次編入 300名(家庭教育課程)/ 300名(人間開発教育課程)
収容定員 3,000名(家庭教育課程)/ 3,000名(人間開発教育課程)
課程別開講科目
家庭教育課程 85科目/ 人間開発教育課程 108科目
共通 77科目(合計 270科目)
形態別開講科目
スクーリング授業(ライブ配信授業) 123科目
印刷教材授業 100科目/卒業研究・論文 47科目(合計 270科目)

2.2 教職員体制

多くの大学と比べ、極めて少ない職員数で運営されている。これは、通信制大学であるとともに、
大学と学生との情報交換や図書館機能などを含め、ほとんどの大学機能がシステム化されてい
ることで実現できているものと考えられる。

専任教員
27名(教授 14名、准教授 4名、講師 9名)
非常勤教員
64名
専任教員
11名
非常勤職員
5名
八洲学園大学キャンパスシステム八洲学園大学キャンパスシステム

2.3 学生のあらまし

年齢構成では20 代から40 代が多く、正社員で働く社会人や専業主婦(主夫)が大半を占めている。また、スクーリングを自宅で受講できるため、海外在住者も学生の1.6%を占めるなど、これまで大学教育を諦めていた層への教育機会の提供にも貢献している。

在学生数
1,617名(2008年3月現在)
平均年齢
36歳
男女比
男性 33.2% : 女性 66.8%
社会人比
社会人 99.5% : 高卒 0.5%(8名)
海外在住比
国内 98.4% : 海外 1.6%(26名)
国籍比
日本人 99.6% : 外国人 0.4%(6名)

都道府県別学生数の上位5地域は以下のようになっている。また、全ての都道府県に学生が分布しているため学生のいない地域はない。学生数の最も少ない地域は、島根県3名、宮崎県3名である。

1位 東京都: 275名
2位 神奈川県: 235名
3位 埼玉県: 107名
4位 千葉県: 84名
5位 大阪府: 76名

海外から受講している学生の主な在住国は、米国、英国、オーストラリア、中国、台湾、カナダ、
韓国などである。

(左)社会人比率、(右)男女比率(左)社会人比率、(右)男女比率
(左)海外在住比率、(右)国籍比率(左)海外在住比率、(右)国籍比率
(左)地方別比率、(右)年代別比率(左)地方別比率、(右)年代別比率

2008年3月に第一期の卒業生68名を送り出した。これは、2004年度春学期入学の正科生128名と2006年度春学期3年次編入学の正科生115名の合計243名の28.0%に当たる。他の通信制大学・学部の卒業率が5%前後といわれていることと比べると極めて高い卒業率であることが分かる。

卒業率卒業率

これまでの入学者数を見てみると毎年、前年比約140%で増加している。特に開学3年目(2006年度)からは、3年次編入学生の入学も始まったため高い伸び率が見られ、このまま推移すれば、2年後(2009年度)には1,200名の入学者が見込まれる。

出願者数・入学者数の推移
入学者数 出願者数
2004年度 232 456
2005年度 305 575
2006年度 444 610
2007年度 636 732
合計 1,617 2,373
出願者数・入学者数の推移出願者数・入学者数の推移

2.4 学費等

八洲学園大学の学費は単位制であるとともに、メディアスクーリング(自宅のパソコンで受講できるスクーリング)受講料や科目修得試験料など、受講形態等により細かく分類されている。年間約30単位を取得する場合、約27万円の学費が必要となり4年間で卒業すると仮定すると、入学金等も考慮して約110万円が必要である。その他、科目によっては大学オリジナル教科書の購入も必要なものもある。
また、ネット大学の特長として大学の施設を利用する費用に当たるIT 管理料を徴収している。ネット上にキャンパスがあると考えれば分かるだろう。

入学金
20,000円
1単位学
授業料 5,000円/単位
科目修得試験料 1,000円/単位
スクーリング受講料 7,500円/単位(メディアスクーリング科目のみ)
論文試験料 1,000円/単位
その他
IT 管理料24,000円/年
大学オリジナル教科書2,415円/冊

2.5 授業・試験・入学式・卒業式

授業は、八洲学園大学の特長であるメディアスクーリング(メディアを利用して行う授業)を中心に、他の通信制大学同様にテキスト等を使った授業(印刷教材等による授業)や教室での対面授業(面接授業)を科目の特性によって使い分けている。特に、メディアスクーリングは学内の教室から配信しているため通学が可能な学生は教室で受講することも可能である。

メディアスクーリングは90 分間の授業が全てライブ配信で実施されている。そのため、授業中に教員からの問題提示などが行われると学生からはリアルタイムに回答を得ることが可能である。また、学生は授業中に分からないことがあればすぐに質問することができ、対面授業に比べ発言数も多い傾向にある。更に、ディスカッションルームというチャット機能により、1グループに5~6名の学生を振り分けたグループを4 グループ同時並行に開設したディスカッション形式の授業も行われている。平日は、9:00~21:40 の間で7時限、土日・休日は、9:00~16:10 の間で4時限が行われ、年間に約10,000 時間のメディアスクーリングがライブ配信されている。

また、試験は科目によってオンライン実施、教室実施、レポート提出などが行われている。

メディアスクーリング風景

メディアスクーリング風景
メディアスクーリング風景
入学式・卒業式
学内大講義室にて実施、同時にネットでライブ配信されるため自宅から参加も可能
学期
春・秋開講のセメスター制
授業方法
印刷教材等による授業、面接授業、メディアを利用して行う授業の併用
ライブ配信授業
あり、メディアスクーリングは全てライブ配信
授業時間
平日 9:00~21:40 の7時限(1時限90分)
土日・休日 9:00~16:10 の4時限(1時限90分)
対面授業
あり、教室で実施のメディアスクーリングへ参加が可能
印刷テキスト
あり、科目によっては、大学オリジナル教科書を購入
通学ニーズ対応
教室でのメディアスクーリング受講のほか、図書館や研究室も同一建物内にあるため、通学してきた学生へも適切に対応できる
試験
オンライン、会場、レポート提出の併用

入学式の様子

入学式の様子
入学式の様子

2008 年3月29日に行われた第1回卒業式には、卒業生30 名が出席した。一方、卒業式の様
子はネットでのライブ配信も行われ、33名の卒業生や在学生が自宅から参加者した。

卒業式の様子

卒業式の様子
卒業式の様子

2.6 授業コンテンツ

八洲学園大学では、90分間の授業が全てライブ配信で行われている。学生側へ提示される授
業画面には、教員の動画とスライド、チャット、クイズ回答ボタン、理解度ボタン、出席者一覧が表示される。スライド部分には、パワーポイントを使用できるだけでなく書画カメラの画像や白紙スライドも使用できる。白紙スライドを使用することでホワイトボードと同等の手書き板書も可能である。

授業のライブ配信は、学内の複数教室から行われている。それらの教室には、教員のパソコン画面へ直接書き込むことのできる液晶ペンタブレットと教員や教室を映すカメラが設置されている。教員は、システムへログインしこれらの機器を操作しながら授業を進めている。ほとんどの教員は、自分自身で全ての操作を行うことができる。
このようにライブ配信された授業は、全てオンデマンド化され学生の復習や大学としての知識の蓄積に活用されている。オンデマンド化に際しては、著作物等の確認・削除が施されている。

授業画面(学生側)授業画面(学生側)

2.7 ヘルプデスク

ヘルプデスクは、学生向け・教員向け・入学検討者向けなど対象者によって3 つに分けられている。

学内に常駐スタッフが待機し、平日は8:30~22:00、土日・休日は8:30~17:30 を営業時間としている。メールや電話、来校など様々な方法で対応しているが、全ての対応履歴がシステムに記録されるため、特に学生カルテとして有効に活用されている。

ヘルプデスク稼働状況
学生向け 入学検討者向け 教員向け
営業時間 平日8:30~22:00
土日・休日8:30~17:30
営業曜日 月曜日~日曜日
スタッフ数 常時2 名(学生向け・入学検討者向け兼任 常時2名
受付方法 メール、電話、システムの質問機能 メール、電話、来校、システムの質問機能 メール、電話、来校
1日の受付件数 メール:30件
電話:20件
メール:10件
電話:10件
メール:5件
来校:5件

2.8 コミュニティ形成

サークル活動やオフ会の開催など、学生間のコミュニケーションは頻繁に行われている。また、
系列高等学校の関係者なども参加するSNS も運営されているなど、オンライン・オフラインともに
活発なコミュニティが形成されている。また、学生グループの発案により2007 年11 月17 日~12
月16 日の間、「オンライン」の学園祭も開催され、フォトコンテストや作詞コンテストなどがインター
ネット上で行われた。

SNSのログイン画面SNSのログイン画面
オンライン学園祭オンライン学園祭

2.9 システム

システムの開発、保守、運営はすべて関連会社へ外部委託している。特に、システムをASP サ
ービスとして利用している点は、これまでの大学には見られない特長的なところである。
機能面では、出願時から卒業まで一貫したID を使用することにより全ての学生活動履歴が記
録されている点が特長である。今後は、これらのデータから学生活動と成績の相関などを分析し、
よりきめ細かなカウンセリング等に利用されることが期待される。


2.10 在学生アンケート調査

ここでは、2007 年5 月に八洲学園大学にて実施されたアンケート調査より、調査結果を抜粋して紹介する。全ての調査結果については、八洲学園大学のWeb サイトを参照のこと。

アンケート名称
八洲学園大学在学生調査2007
実施期間
2007年5月24日~6月3日
実施主体
八洲学園大学 学生支援センター
調査対象
開学以来の入学者
調査方法
インターネット調査(八洲学園大学のライブ配信授業システムのアンケート機能を使用)
サンプル抽出法と調査相手数:全数調査 1,821名
16年入学 314人(約18%)
17年入学 417人(約24%)
18年入学 583人(約34%)
19年春入学 428人(約25%)
回収率
配布数/1,821、回収数/716、有効回収数/716、有効回収率/39.3%

Q1 入学の決め手

入学の決め手は、「e ラーニングであり、スクーリングも在宅受講できるから」が最多、次いで「カ
リキュラム内容が自分の目的に合っているから」が多い。

本学入学の決め手になったものは?(複数回答)
選択肢 合計(人) 該当者比率
カリキュラム内容が自分の目的に合っているから 335 46.8%
eラーニングであり、スクーリングも在宅受講できるから 613 85.6%
学費がリーズナブルだから 270 37.7%
インターネット大学に興味があるから 91 12.7%
指導を受けたい先生がいるから 17 2.4%
その他 53 7.4%
回答なし 6 0.8%
有効回答者数 716
本学入学の決め手になったものは?(複数回答)本学入学の決め手になったものは?(複数回答)

Q2 入学の目的

入学の目的は、「資格取得」が最多、次いで「学士取得」が多い。

入学の目的は?(複数回答)
選択肢 合計(人) 該当者比率
学士取得 268 37.4%
資格取得 541 75.6%
自分の生涯学習として 216 30.2%
子育てや家庭教育への活用 148 20.7%
仕事のスキルアップ 144 20.1%
転職や再就職のため 139 19.4%
地域活動のスキルアップ 78 10.9%
その他 45 6.3%
回答なし 2 0.3%
有効回答者数 716
入学の目的は?(複数回答)入学の目的は?(複数回答)

Q3 平均学習時間

スクーリングや課題提出直前を除いた1 週間の平均学習時間は、「5時間未満」が最多、次いで
「5~10時間未満」が多い。

1週間の平均学習時間は?
選択肢 合計(人) 該当者比率
5時間未満 373 52.1%
5~10時間未満 231 32.3%
10~15時間未満 61 8.5%
15~20時間未満 27 3.8%
20~25時間未満 11 1.5%
25時間以上 10 1.4%
無回答 3 0.4%
合計 716 100%
1週間の平均学習時間は?1週間の平均学習時間は?

Q4 現在の職業

現在の職業は、「正社員(フルタイム勤務)」が最多、次いで「専業主婦(主夫)」が多い。

現在の職業は?
選択肢 合計(人) 該当者比率
正社員(フルタイム勤務) 239 33.4%
派遣社員(フルタイム勤務) 43 6.0%
アルバイト(フルタイム勤務) 35 4.9%
アルバイト(パートタイム勤務) 27 3.8%
自営業 11 1.5%
SOHO 10 1.4%
専業主婦(主夫) 3 0.4%
学生 716 100%
その他 716 100%
回答なし 716 100%
合計 716 100%
現在の職業は?現在の職業は?

Q5 後輩学生や入学を考えている方に対してのアドバイス

後輩学生や入学を考えている方に対してのアドバイスには次のようなものがあった。

Q5-1 通信制大学を選ぶかどうか」につき迷いを生じている人に向けての体験者としての言葉

「やりたいと思った時点がスタートライン!」「まずは踏み出してみること」「1歩踏み出せば世界がかわります」「学習したいという気持ちがあれば大丈夫」「学びたいだけ学べるところです」「学ぶ気持ちがあれば、大学は応えてくれます」「1歩踏み出せば世界がかわります」など。

Q5-2 時間の活用、意欲の持続、環境の克服などへの実践的なアドバイス

「インターネット大学だからこその先生との距離の近さがある」「忍耐力があれば子育てしながらの受講も大丈夫!ちなみに私は3 人の子育て奮闘中」「主婦だから、子どもがいるから、自分のしたい勉強ができない・・・なんてことはありません」「小さな子供がいても学べますよ」「不安だらけだったのですが、支援センターの方に話して解決」「今までどんな通信教育も続かなかった自分がまだ続けられている!!」「社会人にとってこれほどのメリットはありません」「こんなに自分のペースで学べる場所はありません」など。

Q5-3 パソコンスキルやe ラーニングについて

「自宅学習が魅力である」「インターネットを利用したスクーリングがあるから、孤独感がなく勉強できます」「スクーリングが在宅受講できるので、地方の田舎在住でも全く問題ありません」「 パソコンさえあれば瞬時にやり取りできるので待ち時間や投函忘れのためうやむやになることがない」「パソコン操作は大変ではありますが、大学に通うこと無く演習を自宅で受講できることは遠隔地に住んでいる私にとってとても有意義です」「インターネット大学だからこその先生との距離の近さがあります」など。

Q5-4 目的意識の高さ

「学ぶ気持ちがあれば、大学は応えてくれます」「妻、母親とは違う「自分」の存在場所を見つけることができ、毎日充実しています」「自分が勉強したいことを積極的にすることは楽しい」「新しい自分を見つけるチャンスだと思います」「時間の使い方と家族職場の理解があれば、あとは体力です」「自分の育児に疑問を感じたり、壁にぶち当たっている人に勧めたいです」「自分のペースで勉強できる割に、従来の通信制大学と違ってきめ細かく見てもらえる」「悩んでるくらいなら、始めてみて!後悔は絶対しないと思います」
など。


2.11 他大学と比べた優位点

一般的な通信制大学で実施されるスクーリングについて、八洲学園大学ではメディアスクーリングとしてインターネットのライブ配信を自宅で受講することができる。そのため、スクーリングのために大学へ通う必要がない点は他大学に比べ優位な点である。八洲学園大学では学校説明会もオンラインで実施しているため、自宅から説明会に参加することも可能である。

また、2008 年春学期より、正規の授業を1学期間無料で履修できる体験入学制度を導入するとのことである。履修後に入学した場合、体験入学制度により履修した分の学費を納入すると単位が認定されるというものである。一般の体験入学と異なり、「正規の授業をそのまま受講」でき「単位が認定される」点が優位点といえる。


2.12 今後の展望

「ヒューマンe ラーニング」の積極展開が検討されている。
ヒューマンeラーニングとは、対面での交流を希望する学生が「ヒューマン・プラットホーム」や「ヒューマン・スポット」へ集まり、各自のパソコンでメディアスクーリングを受講した後に、対面での情報交換をするe ラーニングの仕組みである。

ヒューマン・プラットホームとは、八洲学園大学横浜本校を中心に東京や大阪など、学生同士や学生と教職員が交流する場所のことである。将来は、インストラクターやサポーター(職員または卒業生など)が設置される予定である。

ヒューマン・スポットとは、全国各地に設置された小規模なヒューマン・プラットホームのことであり、学生の当番あるいは卒業生の世話役が設置される予定である。
学生にとっては対面での交流の場が提供され、そこでメディアスクーリングを受講できる点で新しい試みである。


2.13 課題

学生数が少ない点が課題である。収容定員6,000 名に対し、在学生が1,617名(2008年3月現在)と約30%の水準である。毎年の入学者数は前年比140%で推移しているため、数年後には収容定員を満たすことが可能と考えられるが、しばらくの間はこのような水準での大学運営が続くことになる。

また、2008年3月に第一期卒業生68名が卒業した。日本で唯一の生涯学習学部を持つ八洲学園大学としては、彼らとの今後の関係構築も課題といえる。

3.まとめ

八洲学園大学の授業は、インターネットでライブ配信されている。この方式は、授業に関する教員の「良さ」が的確に伝わる適切な手法である。ライブ配信授業であれば、授業の進行から学生との質疑応答、授業当日のタイムリーな話題提供、学生の出席意欲、教員の授業準備、eラーニング化準備など、様々な点で対面授業と同等のスタイルであり、また、オンデマンド配信授業に比べ教員・学生ともに違和感のないスタイルである。

ライブ配信授業とオンデマンド配信授業の違いについて、八洲学園大学の和田理事長は「スポーツの生中継と録画放送の違い」と評価している。試合の結果を知らなかったとしても、生中継のほうが楽しいのは誰しも感じていることと思う。

一方、大学のe ラーニングはオンデマンド配信授業が主流だが、授業内容の精査から始まり、授業素材の整理・電子化、著作権処理、スタジオ収録、編集、オーサリング、修正など、授業コンテンツの制作だけでも期間的、コスト的に大きな負担となっているのが現状である。科目によっては授業コンテンツの賞味期限が1 年程度と変化の早い分野もあり、負担増要因が散見される。更に、教室では「すばらしい授業」のできる教員でもスタジオでの収録になると「ふつうの授業」になってしまう傾向にあり「楽しい授業」を提供することが困難である。このような観点からもライブ配信授業の優位性が認められるだろう。

私達はこれまで、授業を受けるために決まった時間に教室へ集まり、教室では教員が講義し、時には話が脱線したりクラスメートと会話をしたりしていた。今後もこのような授業スタイルが変わることはないだろう。ライブ配信授業は、これまでの授業スタイルと同等の手法で行われるため、教員も学生も違和感なく授業に参加できる。加えて、複数の教室で同時に受講したり、自宅で受講したりできるので、多様な学習者への教育の機会を提供できる優れた手法と考えられる。

しかし、いわゆるe ラーニングは、大学ではあまり高い評価を得られてこなかった。その要因の多くは、オンデマンド配信授業のコンテンツ制作に関する教員の負担や長期にわたる制作期間、高額な制作コスト、「すばらしい授業」が「ふつうの授業」になることの妥協、対面授業と比較した場合の利点の分かりにくさ、などと考えられる。

このような現状に一石を投じるライブ配信授業は、今後の大学eラーニングへ大きな影響を与え、将来的には大学教育全般へも変化を与える要因となることだろう。

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