2010年11月発行
1.調査概要
eラーニング戦略研究所は、全国の小・中・高校、大学教員計100名を対象に、タブレット端末の授業利用に関するアンケート調査を実施しました。(有効回答数100)
その結果、タブレット端末に求める機能として、「生徒の理解度を可視化する機能」「Webサイト閲覧機能」に人気があることが明らかになりました。一方、「チャット機能」は必要ないと答える教員が67%に上り、「インターネットを経由して出欠をとる機能」については、小・中学校教員と大学教員では適用シーンに差異があり、意見が分かれました。また、タブレット端末導入時のネック第一位は費用であり、8割超が2万円未満なら導入の検討が可能と考えていることが明らかになりました。
今後はそれぞれの教育現場での効果的な活用法がより具体的になること、コスト面・管理面での問題点がクリアされること、さらにはただ導入するだけでなく継続して活用するために、教員と生徒間のコミュニケーションや教員、生徒双方に“タブレット端末を使いこなすスキル”と “ルール作りやモラル指導”なども必要になりそうです。
Q4-3 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。
Q5 あなたの学校で授業へのタブレット端末の導入を考えた場合、ネックになると思うことをお選びください。
2.回答者属性
アンケート調査概要(研修担当者)
調査期間 | 2010年11月22日(月)~11月24日(水) |
---|---|
調査方法 | Webアンケート方式 |
調査対象 | 全国の22歳以上の教員100名 |
職業内訳 | 大学教員(19%)、高校教員(34%)、中学校教員(14%)、小学校教員(33%) |
男女内訳 | 男性(82%)、女性(18%) |
年代別内訳 | 22~29歳(4%)、30~39歳(28%)、40~49歳(32%)、50~59歳(34%)、60~69歳(2%) |
職業別
性別
年齢別
都道府県別
3.まとめ
社会・経済や子どもをとりまく環境の目まぐるしい変化に伴い、学校・教育関係者による新しい教育スタイル構築の模索が進む昨今、タブレット端末の教育活用に注目が集まりつつあります。今回は、全国の小・中・高校、大学教員計100名を対象に、タブレット端末の授業利用に関するアンケート調査を実施しました。
その結果、タブレット端末に求める機能として、「生徒の理解度を可視化する機能(※)」 「Webサイト閲覧機能」に人気があることが明らかになりました。授業運営や生徒ひとりひとりへの指導法等に役立てることのできる理解度の可視化や、調べ学習に必須とされるWebサイト閲覧機能が、教育現場からの高いニーズを集めているようです。
一方、「チャット機能」は、チャットに頼ると発言力が低下する(小学校教員)、余計なおしゃべりや隠れた中傷等の温床になりやすい(中学校・高校教員)、学生同士の私語につながる(大学教員)などの理由から、必要ないと答える教員が67%に上りました。また、「インターネットを経由して出欠をとる機能」については、小・中学校教員からは不要とする意見が多かったのに対し、大学教員はメリットと考える意見が多く、適用シーンの差異が浮き彫りになりました。
タブレット端末導入時のネック第一位は費用であり、8割超が2万円未満なら導入の検討が可能と考えていることが明らかになりました。また、導入の規模としては1クラス分、台数としては30~50台未満が最も多く、限られた予算の中、1教室分のみタブレット端末化し、全校で共有するという利用スタイルが主流であることがわかりました。
今後はそれぞれの教育現場での効果的な活用法がより具体的になり、かつ、導入費用やメンテナンス等のコスト面、破損防止対策等の管理面での問題点がクリアされることが、実際の導入を進める際のキーとなるでしょう。さらにはただ導入するだけでなく継続して活用するために、教員と生徒間のコミュニケーションや教員、生徒双方に“タブレット端末を使いこなすスキル”と “ルール作りやモラル指導”なども必要になりそうです。
(※)授業内容を理解した時に押すボタン、理解できなかった時に押すボタンの2つがあり、生徒が都度ボタンを押すことで理解度を示し、その結果がリアルタイムで教員の端末に表示されるようなもの。
4.アンケート結果にみるポイント
タブレット端末に求める機能、「生徒の理解度を可視化する機能」「Webサイトの閲覧機能」に人気
実際にタブレット端末を生徒が授業で利用することを想定した場合、様々な機能についてそれぞれ必要か不必要かを質問したところ、「生徒の理解度を可視化する機能(※)」を必要と考える教員が最も多いことがわかった<とても必要(27%)、まあ必要(61%)>。その理由としては、子供の理解度を掌握しやすく便利(小・中・高・大学教員)、発表できない子供もいるので周りを気にせず押せるボタン機能は必要(小・中・高校教員)、個別指導に役立つ(小学校教員)、双方向性の授業実現のため(高校・大学教員)といった意見が上がった。
人気の機能第二位は、「Webサイトの閲覧機能」<とても必要(34%)、まあ必要(43%)>。理由は、調べ学習に役立つ(小・中・高校教員)、情報活用能力の育成につながる(中学校教員)、授業の幅が広がる(高校教員)、これがないと端末の意味がない(高校教員)など。
授業運営や生徒ひとりひとりへの指導法などに役立てることのできる理解度の可視化や、調べ学習に必須とされるWebサイト閲覧機能が、教育現場からの高いニーズを集めていることが明らかになった。
(※)授業内容を理解した時に押すボタン、理解できなかった時に押すボタンの2つがあり、生徒が都度ボタンを押すことで理解度を示し、その結果がリアルタイムで教員の端末に表示されるようなもの。
「インターネットを経由して出欠をとる機能」、小・中学校教員、大学教員で適用シーンに差異
一方、「チャット機能」については、チャットに頼ると発言力が低下する(小学校教員)、口頭でのコミュニケーション能力をつけたい(中学校教員)、余計なおしゃべりや隠れた中傷等の温床になりやすい(中学校・高校教員)、学生同士の私語につながる(大学教員)といった理由で、必要ないと答える教員が67%に上った。
また、「インターネットを経由して出欠をとる機能」については、まあ必要(23%)、どちらともいえない(23%)、全く必要ではない(23%)が同率一位で意見が分かれた。小・中学校教員からは、出欠確認も大切なコミュニケーション(小学校教員)、生徒の顔を見て出欠をとったほうがよい(中学校教員)とする不要派の意見が多く上がったのに対し、大学教員からは、代返・代筆防止(大学教員)、出欠確認が簡素化できる(大学教員)と、メリットと捉える意見が多く見られた。
導入ネック一位は費用、8割超が「2万円未満なら導入の検討が可能」
タブレット端末導入時のネックについて、94%の教員が費用と回答。導入検討が可能な価格帯としては、1万円未満(56.3%)、2万円未満(28.2%)と、8割超が2万円未満なら導入の検討が可能と考えていることが明らかになった。導入コストや導入後のメンテナンス、老朽化によるコストの問題等を考えると、今後はリースタイプが増える可能性も考えられる。
タブレット端末導入の規模としては、1クラス分(46%)、1学年分(25%)が多く、全校生徒分(23%)を上回った。台数としては30~50台未満が最も多く、限られた予算の中、1教室分のみタブレット端末化し、全校で共有して使用するという利用スタイルをイメージする教員が多数派であることがわかった。
受講者が考える実業務への影響力、「研修10%・OJT90%」
研修とOJTを比べたときに、仕事のやり方や必要な知識を学べる割合について、研修担当者は研修から30%・OJTから70%(32%)が最も多い結果となった。一方、受講者は研修から10%・OJTから90%(31%)が最も多く、研修担当者に比べ、研修よりOJTの影響力が大きいと考える傾向が見られた。
これは、研修(座学)で知識を得てOJTで実務力・実践力を磨くというイメージが強いことが一因と推測される。今後は、ロールプレイングなどを積極的に取り入れた参加体験型の研修を行うなどといった工夫が求められるだろう。
5.アンケート調査結果
GTグラフ
Q1 タブレット端末上に書き込める“タッチペン”の形状として最適だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q2 授業でのタブレット端末利用を想定した場合、電池の連続使用時間は最低どの程度あればよいかお答えください。
Q3 タブレット端末の破損防止の為に、最も必要だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q4-1 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
Webサイトの閲覧機能
「とても必要」「まあ必要」と答えた方
調べ学習に役立つ(小・中・高校教員)
情報活用能力の育成につながる(中学校教員)
授業の幅が広がる(高校教員)
これがないと端末の意味がない(高校教員)
授業でWebサイトを参照することがあるから(大学教員)
「どちらともいえない」と答えた方
授業中には時間のロス(中学校教員)
授業中に関係のないサイトを見る可能性がある(大学教員)
「あまり必要ではない」「全く必要ではない」と答えた方
必要なサイトは電子黒板上に映すため必要ない(小学校教員)
必要時のみ接続できるとよい(小学校教員)
閲覧範囲を限定したサイト閲覧ができればよい(小学校教員)
好ましくないものも見てしまう可能性がある(高校教員)
生徒が遊んでしまう(高校教員・大学教員)
Q4-2 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
チャット機能
「とても必要」「まあ必要」と答えた方
情報モラルの指導に必要(小学校教員)
コミュニケーション能力の育成(中学校教員)
意見交換に必要(高校教員)
リアルタイムの会話を可能にするため(大学教員)
「どちらともいえない」と答えた方
キーボードになれていないと時間がかかる(小学校教員)
必要かもしれないが規制が徹底できない(高校教員)
「あまり必要ではない」「全く必要ではない」と答えた方
生徒が授業に集中できなくなる(小学校教員)
チャットに頼ると、発言力が低下する(小学校教員)
会話は口ですればよい(中学校教員)
口頭でのコミュニケーション能力をつけたい(中学校教員)
余計なお喋りや中傷等の温床になりやすい(中・高校教員)
少人数グループで口頭でディスカッションしたほうが良い(高校教員)
学生同士の私語につながる(大学教員)
Q4-3 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
生徒の理解度を可視化する機能(※)
「とても必要」「まあ必要」と答えた方
子供の理解度を掌握しやすく便利(小・中・高・大学教員)
周りを気にせず押せるボタン機能は必要(小・中・高校教員)
個別指導に役立つ(小学校教員)
教師の負担を軽減できる(小学校教員)
評価に役立つ(中学校教員)
理解度をリアルタイムで把握できる(高校教員)
双方向性の授業実現のため(高校・大学教員)
「どちらともいえない」と答えた方
集計出来ればインタラクティブな授業が可能かも(大学教員)
機能の内容による(大学教員)
そもそも理解していない学生は、このような機能にも興味はなさそう(大学教員)
「あまり必要ではない」「全く必要ではない」と答えた方
挙手すれば把握できる(小学校教員)
生徒の様子を観察すれば十分(中学校教員)
(※)授業内容を理解した時に押すボタン、理解できなかった時に押すボタンの2つがあり、生徒が都度ボタンを押すことで理解度を示し、その結果がリアルタイムで教員の端末に表示されるようなもの。
Q4-4 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
インターネットを経由して出欠をとる機能
「とても必要」「まあ必要」と答えた方
確実な記録を残せる(高校教員)
時間短縮(大学教員)
代返、代筆防止(大学教員)
出欠確認が簡素化できる(大学教員)
正確なチェックができそう(大学教員)
「どちらともいえない」と答えた方
あれば便利だがなくてもよい(高校教員)
そこまで大人数を想定していない(高校教員)
「あまり必要ではない」「全く必要ではない」と答えた方
自分の学級であれば顔をみれば欠席がわかる(小学校教員)
目で確認すべきこと(小学校教員)
出欠確認も大切なコミュニケーション(小学校教員)
遠隔な場合をのぞいて、生徒の顔を見て出欠をとったほうがよい(中学校教員)
大学ではないので不要(高校教員)
Q5 あなたの学校で授業へのタブレット端末の導入を考えた場合、ネックになると思うことをお選びください。
Q6 Q5の回答のうち、最もネックになると思うことをお答えください。
Q7 Q6で費用が最もネックになると答えた方へお聞きします。あなたは1台あたりいくら程度なら授業への導入を検討できますか。(お答えは1つ)
Q8 あなたの学校でタブレット端末導入を想定した場合の規模として、適当だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q9 Q8の回答において、それは何台程度ですか?
GT表
Q1 タブレット端末上に書き込める“タッチペン”の形状として最適だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q2 授業でのタブレット端末利用を想定した場合、電池の連続使用時間は最低どの程度あればよいかお答えください。
Q3 タブレット端末の破損防止の為に、最も必要だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q4-1 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
Webサイトの閲覧機能
Q4-2 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
チャット機能
Q4-3 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
生徒の理解度を可視化する機能(※)
(※)授業内容を理解した時に押すボタン、理解できなかった時に押すボタンの2つがあり、生徒が都度ボタンを押すことで理解度を示し、その結果がリアルタイムで教員の端末に表示されるようなもの。
Q4-4 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
インターネットを経由して出欠をとる機能
Q5 あなたの学校で授業へのタブレット端末の導入を考えた場合、ネックになると思うことをお選びください。
Q6 Q5の回答のうち、最もネックになると思うことをお答えください。
Q7 Q6で費用が最もネックになると答えた方へお聞きします。あなたは1台あたりいくら程度なら授業への導入を検討できますか。(お答えは1つ)
Q8 あなたの学校でタブレット端末導入を想定した場合の規模として、適当だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q9 Q8の回答において、それは何台程度ですか?
クロス表
Q1 タブレット端末上に書き込める“タッチペン”の形状として最適だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q2 授業でのタブレット端末利用を想定した場合、電池の連続使用時間は最低どの程度あればよいかお答えください。
Q3 タブレット端末の破損防止の為に、最も必要だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q4-1 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
Webサイトの閲覧機能
Q4-2 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
チャット機能
Q4-3 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
生徒の理解度を可視化する機能(※)
(※)授業内容を理解した時に押すボタン、理解できなかった時に押すボタンの2つがあり、生徒が都度ボタンを押すことで理解度を示し、その結果がリアルタイムで教員の端末に表示されるようなもの。
Q4-4 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
インターネットを経由して出欠をとる機能
Q5 あなたの学校で授業へのタブレット端末の導入を考えた場合、ネックになると思うことをお選びください。
Q6 Q5の回答のうち、最もネックになると思うことをお答えください。
Q7 Q6で費用が最もネックになると答えた方へお聞きします。あなたは1台あたりいくら程度なら授業への導入を検討できますか。(お答えは1つ)
Q8 あなたの学校でタブレット端末導入を想定した場合の規模として、適当だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q9 Q8の回答において、それは何台程度ですか?
クロス%表
Q1 タブレット端末上に書き込める“タッチペン”の形状として最適だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q2 授業でのタブレット端末利用を想定した場合、電池の連続使用時間は最低どの程度あればよいかお答えください。
Q3 タブレット端末の破損防止の為に、最も必要だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q4-1 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
Webサイトの閲覧機能
Q4-2 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
チャット機能
Q4-3 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
生徒の理解度を可視化する機能(※)
(※)授業内容を理解した時に押すボタン、理解できなかった時に押すボタンの2つがあり、生徒が都度ボタンを押すことで理解度を示し、その結果がリアルタイムで教員の端末に表示されるようなもの。
Q4-4 授業中のみ生徒がタブレット端末を利用することを想定した場合、下記機能について必要か不必要かをお答えください。またその理由を教えて下さい。(自由回答)
インターネットを経由して出欠をとる機能
Q5 あなたの学校で授業へのタブレット端末の導入を考えた場合、ネックになると思うことをお選びください。
Q6 Q5の回答のうち、最もネックになると思うことをお答えください。
Q7 Q6で費用が最もネックになると答えた方へお聞きします。あなたは1台あたりいくら程度なら授業への導入を検討できますか。(お答えは1つ)
Q8 あなたの学校でタブレット端末導入を想定した場合の規模として、適当だと思うものをお選びください。(お答えは1つ)
Q9 Q8の回答において、それは何台程度ですか?