地方公共団体の地方創生の取組を情報面から支援するツールとして2015年4月より国が提供を始めた「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」(以下、「RESAS」という。)。このRESASの普及促進のため立ち上げられた「RESASオンライン講座」にデジタル・ナレッジのeラーニングシステム「KnowledgeDeliver」をご利用いただきました。RESASを活用した地域住民主体の地方創生の動きと、それを支えるラーニングの役割について、内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局 ビッグデータチーム RESAS担当の方にお話を伺いました。
お客様のニーズ
- 地方公共団体の職員のみならず、地域の方の誰もがRESASを自発的に学べる仕組みを提供したい。
導入前の課題
- RESASの操作や活用方法を伝える手段がセミナーや出前講座など、限られている。
- より多くの方々が学べる環境を整備するため、「いつでもどこでも誰でも」、しかも無料で、RESASを体系立てて学ぶことのできる手段が必要となっている。
導入後の成果
- RESASを自発的に学べるeラーニング「RESAS オンライン講座」を2016年11月1日に提供開始。
- 受講料は無料。インターネットに接続された端末さえあれば、いつでもどこでも誰でも受講可能。
- RESASを実際に操作しながらeラーニング問題に答えていくことで、実践的な使い方が身につく仕組みとなっている。
- 基礎編と応用編を受講することで、RESASを活用した多面的な分析手順や地方創生アイデアの考え方まで体系的に学ぶことができる。
- 地方公共団体職員のみならず、企業や学生などへの利用も拡大。提供開始から1年で利用者が1万人を突破。
- RESASを活用した地域住民主体の地方創生の動きが活発化するなか、その土台となる学びの部分を支える仕組みとして大きな役割を担っている。
それで実際にRESASを操作しながら学べるという、現在のオンライン講座の形となったわけですね。
最初にRESAS紹介ムービーなどを見て概要をつかんだら、早速テストを受けていきます。テストは実際にRESASを操作しなければ解答できない作りになっています。テストに解答することで、RESASのどのメニューでどのようなデータが見られるか、操作を通して実践的に学ぶことができます。
「RESASオンライン講座」はどのような方が利用されていますか?
RESAS自体が地方公共団体の地方創生の取り組みを支援するツールとしてスタートしたため、当初は地方公共団体職員の方をメインターゲットとして想定していました。ですが、現在の利用者データを見ると、公務員、企業関係者、そして学生の方が約3分の1ずつとほぼ同じような割合となっています。
学生さんの利用が多いのは意外でした。
金沢大学ではRESASを活用した授業を開始され、その予習教材として「RESASオンライン講座」が使われるなど、学校で団体受講されるケースが少しずつ増えてきています。高校の地域学習や大学の地域政策教育におけるデータ分析のきっかけとしてRESASが扱いやすいという認識が広がっており、その入り口としてオンライン講座を使うという流れができつつあるようです。
「RESASオンライン講座」は立ち上げからちょうど1年で利用者数1万人を突破しました。
大規模な広告展開は行っていませんが、各地でセミナーを開催したり、案内メールを送ったりといった地道な取り組みが功を奏しているようです。また、アイデアコンテストを毎年実施しており、そういったところからの成功事例の拡がりも実感しています。
「地方創生☆政策アイデアコンテスト」ですね。2017年で3回目を迎えられましたが、どのようなコンテストになっていますか?
RESASを活用して自らの地域を分析し、地域を元気にする政策アイデアを募るコンテストです。2017年は全都道府県から975件の応募があり、その中から10組が最終審査会に出場し、各部門毎に地方創生担当大臣賞と優秀賞を決定しました。また、最終審査会に進出した10組全てが協賛企業賞を受賞しました。過去の受賞作品も含めて特筆すべきは、コンテストで発表されたアイデアの中には実際に地方公共団体の政策として立案され、実行に移され、効果検証から今後の展開にまでつながっているものがあるということです。
詳しくお聞かせください。
2016年にマーケティングモデル推進事業を発表され「地方創生大臣賞」を受賞された福岡県糸島市の例をお話ししますと、その後、同推進事業の第一弾商品として「ふともずく」を開発されました。糸島市だけでなく、博多女子高校の生徒を中心に漁師さんや企業等とも連携し、商品開発のためのマーケティングや販路を開拓するための営業、プロモーション活動まで高校生たち自身が行ったそうです。その結果、フード・アクション・ニッポンアワード2017でローソン賞を受賞され、「ふともずく」を使った商品が九州内のローソンと首都圏のナチュラルローソンで販売されることになりました。この取組をきっかけに「ふともずく」の売上は一気に増加し、非常に大きな成果が上がっています。
このようにコンテストでアイデアを提案するだけでなく、それを実行し事業化するといった流れができつつあります。もちろんその他にも、地方公共団体や地域金融機関などによるRESAS活用事例も増えています。
すばらしいですね。その土台である学びの部分をオンライン講座が担っているというわけですね。
今、RESASのデータは「人口マップ」「産業マップ」「地域経済循環マップ」など8マップ、全81メニューへと拡充され、初めての方には少々分かりにくい部分もあります。「RESASオンライン講座」なら、RESASをどのように操作すればよいか、どういったデータがあるのかだけでなく、多面的な分析手順や地方創生に繋がるアイデアの考え方まで体系的に学べるようになっています。RESASを活用した地域住民主体の地方創生の動きが活発化するなか、その土台となる学びを支える仕組みとして「RESASオンライン講座」の役割は大きいと考えます。
コンテストに応募される皆さんはオンライン講座で学ばれているのでしょうか。
データを取っていないので何とも言えませんが、以前、ある中学校の先生から、RESASオンライン講座をメールアドレスなしで使えないかと問い合わせがありました。聞けば、授業で使いたいが生徒全員のメールアドレスがなく困っているとのことで、対応させて頂きました。後日アイデアコンテストの一覧をみていたら、その先生が生徒をグループごとに分けて何件もアイデアを出してくれていました。オンライン講座を受講して学び、アイデアコンテストに応募する流れができるとうれしく思います。
それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。
今後はRESASの利便性向上に取り組んでいきたいと考えています。事例ページを作り、誰がどんな分析をしているか、どの地域がどういった取組をしているかを紹介するなど、RESASにアクセスすればデータも活用方法もすべてが把握できるように充実させていきたいですね。そして、地域の方が自発的に学べる場といえば、やはりオンライン講座ですから、今後も「RESASオンライン講座」で分かりやすいeラーニングをご提供していければと思います。
8つのマップ、81のメニューから構成される(2018年3月現在)。この広範囲にわたるRESASの使い方をオンライン講座で分かりやすく学べる。
RESASを実際に操作しながら解答していくことで実践的な使い方が身につく仕組みだ。
シナリオに沿って現状把握のための分析手順を学べる。
自治体だけでなく、企業や学校での利用も増えている。
地域経済分析システム(RESAS:リーサス)eラーニング紹介動画
ご利用いただいた製品・サービス
お客様のサイト
地域経済分析システム「RESAS」:https://resas.go.jp/
「RESASオンライン講座」: https://e-learning.resas-portal.go.jp/lp/
お客様情報
名称 | 内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局 内閣府 地方創生推進室 |
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所在地 | 東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館 |