eラーニング戦略研究所は、2018年6月、従業員100名以上の企業で新入社員研修を実施している人事・研修担当者を対象に、新入社員研修の現状と課題についてのアンケート調査を実施し、その結果をまとめた報告書を公開致しました。
アンケートの結果、近年の新入社員研修について、2つの傾向が見えてきました。
1つは、従来の “講義型・ビジネススキル主体の研修”から、“グループワーク型・主体性、協働力、コミュニケーション力重視の研修”へのシフトです。アンケートでは「受講者が主体的にやるものが多い」「個人のワーキングからグループでのワーキングに変わってきた」「ビジネスマナーからコミュニケーション主体に変化してきている」など、実に7割が「新入社員研修は近年変化している」と回答しています。こうした変化の背景と考えられる、企業が求める人材像と新入社員のギャップについても、報告書内で言及しています。
もう1つは、「アダプティブラーニング」への期待です。
新入社員研修の課題を尋ねたところ、 「個々の新入社員に特化したコンテンツの検討」 「配属先により研修内容を変化させる」 「もっと社員ごとに個別指導的なことをやりたい」といった意見が一定数見られました。パーソナライズされた学習を実現する、いわゆる「アダプティブラーニング」は、主に学校教育や民間教育サービスで広がりつつある教育手法ですが、近年、企業研修での活用も注目されています。新入社員に限らず、業務に追われるすべての社員に対し、限られた時間とリソースの中でいかに効率的・効果的な教育を提供するかは企業にとって大きな課題であり、こうした見地からも一人ひとりに合わせた教育研修の最適化・個別化は、企業に様々なメリットをもたらすものと考えられます。
なお、アダプティブラーニングは一人ひとりの学習状況をデータとして記録し、それをもとに自動で最適化されたコンテンツを提供することが多く、eラーニングやICTの活用が前提となります。本アンケートでも、新入社員研修へのeラーニング活用やICT対応強化が進んでいる傾向が見られ、情報化が急速に進む現代ならではの人材育成のあり方や移り変わりがうかがえる興味深い内容となっています。
- 新入社員の採用人数は「10名以下」が最多で横ばい傾向、一部企業では大量採用も。
- 新入社員研修は「入社後、数週間実施」が主流。「社会人としての心構え」「ビジネスマナー」のほか、「コミュニケーション」も上位に。
- 7割が「新入社員研修は変化」、主体性・協働力・コミュニケーション力育成へシフト。求める人材像とのギャップが背景か。
- 3人に2人が「eラーニング研修を利用/今後利用予定」と回答、AI・IoTなど最新テクノロジー対応強化も。
- 「効果が見えない」「戦力化に時間がかかる」「研修と現場の乖離」など多くの課題と人事担当者が期待するアダプティブラーニング。
アンケート調査概要
調査目的 | 2018年度の新入社員研修の現状と課題を調査する。 |
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調査期間 | 2018年6月14日(木)~6月18日(月) |
調査方法 | Webアンケート方式 |
調査地区 | 全国 |
調査対象 | 従業員数100名以上の企業で新入社員研修を実施している人事・研修担当者100名 |