eラーニング戦略研究所は2017年7月、eラーニング研修を導入している企業・官公庁の人事担当者105名を対象に、eラーニング研修と教育ビッグデータ活用についてのアンケート調査を実施し、その結果をまとめた調査報告書を公開致しました。
その結果、実施されているeラーニング研修の内容は「コンプライアンス」が最多で77.1%、次いで「情報セキュリティ」69.5%、「個人情報保護」57.1%、「ハラスメント」52.4%、「ビジネススキル」36.2%、「安全管理」「専門知識」21.9%となりました。コンプライアンスや情報セキリュティ、個人情報保護に対する組織の取り組みが重要視されるなか、eラーニングがその教育に大きな存在感を示していることが分かります。その一方で、専門知識のeラーニング化は少ないことが読み取れます。しかしながら、最近では、これまで主流だった座学などの“知識教育型eラーニング”からOJTなどの“経験学習型 eラーニング”へと広がりが見られることから、今後は専門知識や業務ノウハウなど組織独自の内容のeラーニング化が加速する可能性も考えられます。
eラーニングやLMS(学習管理システム)の普及、そしてインターネットの発展により起こったもう一つの大きな変化は、膨大な受講履歴データを取得可能となったことです。アンケートの結果、実に8割以上が研修の受講履歴や結果を収集・分析し積極活用していることが明らかとなりました。主な活用先は「研修コース・内容の見直しや改善」57.1%、「教材・コンテンツの見直しや改善」43.8%、「研修時期・時間や受講方法等の改善」30.5%、「人事評価」18.1%で、「活用していない」17.1%を大きく上回っています。
こうした学びに関する様々な受講履歴や行動履歴、成績データなどの総称はいわゆる“教育ビッグデータ”と呼ばれるものです。教育ビッグデータの分析や活用手法の確立はこれからの課題ですが、eラーニング研修が普及期に入った今、日々蓄積されていく膨大なデータの有効活用はすべての組織にとって取り組むべき大きなテーマと言えるでしょう。
アンケートではさらに、組織におけるeラーニング研修の実態や、人事担当者が教育ビッグデータ活用で実現したい企業研修の方向性、そのための課題なども明らかとなり、業種別クロス表分析なども含めた全39ページの報告書でくわしく解説しています。
- eラーニング研修の内容は「コンプライアンス」「情報セキュリティ」「個人情報保護」、専門知識や業務ノウハウのeラーニング化は限定的
- eラーニング研修は「年数回」「全社員対象」「オフィスのデスクでパソコン使用」が主流
- eラーニング研修の導入理由1位は「集合研修のコストカット・効率化」
- eラーニング研修の予算は集合研修の約半分か
- 「集合研修とeラーニング研修の受講履歴を統合管理」しているのは極少数であるものの、8割以上が分析結果を研修改善・人事評価に積極活用
- 2人に1人が「教育ビッグデータ活用に関心」
- 「対象者の絞り込みでより高い学習効果を」「受けるべき研修をデータに基づき提案」ほか企業研修の課題解決や新しい世界観の実現に期待
アンケート調査概要
調査目的 | 組織におけるeラーニング研修と教育ビッグデータ活用の現状を調査する。 |
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調査期間 | 2017年7月7日(金)~7月9日(日) |
調査方法 | Webアンケート方式 |
調査地区 | 全国 |
調査対象 | eラーニング研修を導入している企業・官公庁の人事研修担当者 計105名 |