全国に約110店舗を展開するメガネの専門店、メガネの田中様。創業100年以上の老舗企業でありながら、2019年4月には日本初のメガネのサブスクリプションサービス「NINAL(ニナル)」をサービスインされるなど、つねに業界の一歩先を行く先進的な企業力が強みです。インタビューでは、店舗の最前線で重要な役割を担う「アイウェアコーディネーター」を育成する人材開発プログラム「TORMA(Tanaka Optical Retail Management Academy)」について、小売チェーン業界の人材教育の在り方やeラーニングの役割、革新的な企業力の秘訣を伺いました。
- メガネの田中ホールディングス株式会社
- HRディレクター 吉田典代様(右)
- HRマネジャー 河上泰一様(左)
導入前の課題
- 知識の詰め込みではなく 、知識の活用や実践力(行動変化)を身に付けられるようにしたい。
- リソースを効率的に活用するため、集合研修では実践力の養成に集中したい。
- 基礎となる知識習得はスタッフがいつでも、どこでも学べる環境を整備したい。
導入後の成果
- ASP eラーニング『ナレッジデリ』の導入で、知識習得科目の全てをeラーニング化。全国約110店舗の全スタッフに対する一斉教育が可能となった。
- メガネの田中らしいサービス(お客さま体験)を提供するうえでもっとも重要なブランドの価値観「クレド」をeラーニングに開講し、クレドベースの行動が習慣化できるようになった。
- 知識教育はeラーニング、その実践はワークショップ(集合教育)やOJTと目的に応じたトレーニング体系を構成することで、知識を使いこなすスキルを実践できる体制を整えた。
- 社内ナレッジの共有場所としてもeラーニングは威力を発揮しつつある。
- 将来的には小売業全体で通用する教育プログラムに育てるべくeラーニングを活用していきたい。
メガネの田中の独自資格「アイウェアコーディネーター」とは
なぜ小売業の人材教育にeラーニングが必要だったのか
これまで本社での集合研修や店舗でのOJTでスタッフへのトレーニングを実施されてきたそうですが、2018年にはeラーニングを導入されました。なぜeラーニングを導入されたのでしょうか?
吉田様:知識教育の部分において、いつでもどこにいても学べる環境を提供したいという思いからです。人材教育でもっとも重要なのは、いかに自分事としてとらえ、身に付けてもらうかということです。そのためにはワークショップやロールプレイングなど、特定のシチュエーションに入り込んでもらって実践することが重要ですが、その前段階として頭の中にいれておくべき知識というものが絶対に必要です。それは集合教育で学ばなくても、eラーニングを導入することで一人ひとりがすきま時間を使って、身に付けることが可能だと考えました。
弊社の『ナレッジデリ』を採用された決め手は何でしたか?
吉田様:オリジナルの、私たちのトレーニングというものを作り上げたかったので、そこに応えて頂けたのが大きかったですね。いくつか比較対象の他社システムがありましたが、システムとコンテンツがセットになっていて「このコンテンツを使ってください」というようなものか、もしくはオリジナルを作ることができるけれども、箱(システム)だけ与えられてあとは好きなようにどうぞと丸投げされるようなものか、どちらかでした。その中で『ナレッジデリ』は、私たちが作ったパワーポイントなどをベースにコンテンツを自由に作ることができ、強調して伝えたいことを音声で追加できるなど、操作も分かりやすかったです。
メガネの田中らしい教育プログラムを作ることができる、というイメージが描けたことがポイントだったんですね。
吉田様:加えて、担当の営業さんがとても信頼できました。サポートも手厚く、どこよりも一番私たちの希望に沿ってくださるという風に感じられたのが決め手でした。
今メインでお使いのコンテンツはどのようなものが多いですか?
吉田様:最近は動画教材が多いですね。最後に確認テストを入れ、知識の定着を図っています。労務管理やハラスメント、コンプライアンスといった一般的な内容については市販のものを一部購入していますが、それ以外のものはすべて内製しています。ナレッジデリは教材作成も簡単にできますので、コンテンツ整備も進んでいます。
「TORMA」のeラーニングコンテンツ。ほとんどが社内で製作されている。最近は動画教材が主流だという。
小売業の人材教育におけるeラーニングの役割と今後のチャレンジ
eラーニング導入後、どのような変化がありましたか?
吉田様:一斉教育ができるようになり、「聞いていない」「知らなかった」というようなことがまずなくなりました。例えば、管理職全員にある情報を至急周知徹底したい、というような場合にも使えます。ただ情報を発信するだけでなくテストまで受けてもらえるので、理解できたかまで短期間で確認できます。とても便利ですね。
河上様:先ほどお話ししたクレドについても、以前は集合教育でしか取り扱っていませんでしたが、もっと力を入れたいということで今年からeラーニングでも教育ができるようになりました。
小売業の人材教育におけるeラーニングの役割については、どのように捉えていらっしゃいますか。
河上様:eラーニング導入前にあった課題として、インプットばかりの教育になってしまい、知識はあるがどう使っていいか分からないという状態になっていました。 知識を身に付けるのと、それを活用できるかはまた別の話です。eラーニングを導入してからは、知識を学ぶのはeラーニング、知識を消化して実践するのはワークショップやOJTと習得する目的を段階的に設定することで、知識を活用できるスキル、そして実践力を身につける環境を作ることができました。
吉田様:すでに「TORMA」カリキュラムの3分の1をeラーニング化しましたが、今後もさらにコンテンツを充足させていきたいと考えています。
河上様:「TORMA」以外の話でいいますと、これまでいろいろなところに保管していた教育資料をeラーニング上に集約しようとしています。例えば、新しいキャンペーンがスタートする際に商品のディスプレイ例の動画をeラーニングで公開すると、スタッフの探す手間を省けるだけでなく、全スタッフが必要な時に見ることができますよね。
教育ノウハウのデータベースや社内ナレッジの共有場所としても有効だということですね。一方で、全国展開されている小売企業として、社員教育や人材育成にどのような課題をお持ちですか?
吉田様:そうですね。やはり、全国展開しスタッフの人数も増えてきているなかで、ホールディングスとして考える戦略やビジネスの方向性を各店舗のスタッフに届けるとき、どうしてもいろいろなフィルターがかかってしまって最初のメッセージが伝わりにくいというジレンマはあります。
河上様:例えば、販売員から店長になりチームをまとめる立場になったとき、財務やマーケティング等の共通言語があればチームメンバーに方向性や価値を伝えやすくなります。そういった意味では、eラーニングで全員が一斉に同じ内容を学べる意義は大きく、会社の成長にとっても有益です。伝える側、伝えられる側が内容を正しく認識し同じ方向に進むためにも、eラーニングをベースにした知識教育や情報共有というものはますます必要になってくるのではないでしょうか。
今年4月には日本初のメガネのサブスクリプションサービス「ニナル」をスタートされるなど、業界の一歩先を行く革新的な取り組みを行っていらっしゃいます。そのスピード感、変化に強い企業力の秘訣はどこにありますか。
吉田様:意思決定は本当に早いですね。やると決めたらすぐにアクションという社風ですし、これからも業界をリードするようなチャレンジをしていきたい。みんなが変化を楽しめる心の持ちようであってほしいとも願っています。そのためにはやはり、教育が重要です。社員一人ひとりの能力が高まれば高まるほど、新しいアイデアを実行するスピードも早くなりますし、内容も進化していきますから。
独自の教育プログラム「TORMA」はこれからどのように発展していきますか?
吉田様:メガネの田中のみならず、小売業界のプロフェッショナルを育てる場として、公に展開してもおかしくないようなレベルにまで発展させていきたいというのが私たちの思いです。どの企業様もクレドというものをお持ちですから、そこを置き換えて頂くだけで、小売業界であればどの企業様でも適用可能なものへどんどんバージョンアップさせていきたい。メガネの田中だけではなく、小売業全体に通用するようなものを作り上げていきたいですね。
ご利用いただいた製品・サービス
お客様のサイト
お客様情報
名称 | メガネの田中ホールディングス株式会社 |
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創業 | 1913年(大正2)3月25日 |
従業員数 | 約850名(メガネの田中グループ全社合計/2019年3月末現在) |
所在地 | <広島本社>広島県広島市中区袋町1-23-102 <大阪本社>大阪府大阪市北区中之島3丁目2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト16階 |