eラーニング戦略研究所は、企業の人事教育担当者100名を対象に、企業の教育研修担当者100名を対象に、企業研修におけるVR活用についてのアンケート調査を実施し、その結果をまとめた報告書を公開致しました。
その結果、「VRを研修に導入している」と答えたのは9%に留まったものの、2年前の同内容の調査時に比べ着実に増えていることが明らかとなりました。大企業に限定した場合、約3割がVRを導入しています。また、回答者の約半数がVR研修を「導入したい」「導入を検討したい」と回答しており、企業研修分野におけるVR活用は今後さらに進むことが見込まれます。
企業研修にVRを活用するメリットについて、企業側はどのように捉えているのでしょうか。
アンケートの結果、6割が「従来の研修では教育しづらかった内容の実現」と回答しました。例えば、建設現場における仮設足場からの転落といった危険な状況を、研修として実際に体験(提供)することは不可能です。そのため、従来は事故を想定した研修により不測の事態に備えていましたが、講義やマニュアルだけでは危険度を十分に実感できていませんでした。VRなら、従来の研修では体験できなかった事故や状況を再現し、それを疑似体験することで危険な状況を自分事として捉え、安全意識の向上やとっさの事態への対応力を高めることが可能となります。アンケートでも、VR活用により「疑似体験できることによる意識・メンタルの改善」60%、「他人の行動を経験することによる正しい動作や視点を身に付ける」「判断力の向上」45%などを期待する声が挙げられています。
こうしたVRの適用範囲はもちろん安全教育だけに限りません。接客やクレーム対応のシミュレーション、熟練技術の継承、作業手順のトレーニング、相手の立場を体験することによる多様な価値観への理解など、幅広い分野でVRの活用が期待されています。これらのベースにあるのは「受動的体験」から「能動的体験」へのシフトです。人は「聞いたことは忘れる、見たことは覚える、やったことは理解する」と言われています。受け身の受講ではなく、能動的に体を動かして“実践を体験できる”VRが企業研修に大きな変化をもたらす可能性を、本アンケート結果は示唆しています。
アンケートではそのほか、企業研修にVRを活用するメリットやVR研修の効果を高めるための手法、VRを導入するうえでの課題などが明らかとなっており、受け身の受講ではなく、能動的に体を動かして“実践を体験できる”VRが企業研修に大きな変化をもたらす可能性について、全80ページの報告書で詳しく伝えています。
- 企業研修へのVR導入、2年で9倍に増加
- 研修担当者の半数が導入に意欲、「飲食・宿泊」「商社」「製造」で顕著。一方、課題は?
- 「受動的体験」から「能動的体験」へ
- これまで不可能だった“実践を体験できる”VRが可能にする新しい企業研修
アンケート調査概要
調査目的 | 企業研修におけるVR活用の現状と課題を調査する |
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調査期間 | 2019年6月28日(金)~7月3日(水) |
調査方法 | Webアンケート方式 |
調査地区 | 全国 |
調査対象 | 企業研修の教育研修担当者100名 |