株式会社椿本チエイン
10年目に入ったeラーニングの安定運用!~世界に誇るモノづくりの老舗企業にeラーニングはどう定着したのか~

パワートランスミッション(動力伝動)とマテリアルハンドリング(保管・搬送)を2大柱に、チェーン・精機・自動車部品・マテハンの4つの事業を展開する、株式会社椿本チエイン様。産業用チェーンをはじめ、自動車エンジンの高性能化、軽量化、エコ化に貢献するタイミングチェーンシステムで世界シェアNo.1を誇るなど、「動力あるところに“つばき”あり」とよばれるモノづくりを展開されています。そんな同社では、2010年に初めてeラーニングを導入されて以来、社内外での活用が広がっているといいます。1917年(大正6年)創業の老舗企業において、10年にわたり、eラーニングを安定運用されている秘訣とは?辰見様、山下様、大村様にお話をお伺いいたしました。

株式会社椿本チエイン様

お客様のニーズ

  • 社外向けの営業講習をより多くの方に受講してもらえるよう、eラーニングを導入したい。

10年にわたるeラーニング活用のポイント

  • 社外向け営業講習のeラーニング化を実現。
  • 「商品の良さを社外の営業さんに伝えたい」という現場の熱意を反映した運用体制が長期的な活用を支えている。
  • オンプレミス導入により、機密性の高いコンテンツ内容も扱えるようになり活用範囲が拡大。
  • 現在では、社内の各事業部における専門教育にもeラーニングが活用されている。
  • 教材作成マニュアルを完備するなど、誰でも簡単にeラーニングを提供・発信できる仕組みを構築。
  • 利用者側、提供者側双方としてeラーニングが定着しており、10年にわたる安定運用の礎となっている。


なかなか踏み込めなかったeラーニング導入、
営業部主導で第一関門突破

以前の研修状況についてお聞かせください。どのような課題をお持ちでしたか?

椿本チエイン様

山下様:椿本チエインの商品のうち、チェーン・精機関係については代理店さん、販売店さんを通じて商品を市場に販売しています。そのため、代理店の営業担当の方、事務所で電話応対をされる業務といわれる方にある程度の商品知識を持って頂く必要があり、そうした社外の方々に向けた「初級セールスマン講習会」を長年実施してきました。ただ、遠隔地や忙しい方にはなかなか来ていただけないという問題がずっとありました。

講習会はどこで開催されていましたか?

山下様:当社の支社や営業所です。2~3日の宿泊を伴うため、なかなか仕事を休んでいけないという方も多くて。どうすればもっとたくさんの方に受けてもらえるのか、それがeラーニングに興味を持ったきっかけでした。

そこからeラーニング導入まで、どのように進められたのでしょうか。

山下様:無料のeラーニングシステムも数多くありましたが、一から自力で何とかしなければいけないものばかり。ハードルが高く、踏み込めないまま何年か経ってしまいました。あるとき、デジタル・ナレッジさんのことを知り、偶然にも近所に事務所があったので、セミナーに参加させてもらったんです。そこでeラーニングについて一から教えてもらい、手厚いフォローを体験して、これなら何とかなるかもしれないと始めることができました。

セミナーが一歩を踏み出すきっかけとなったわけですね。そうすると、まずは営業の部署が主導して導入をされたということでしょうか。

山下様:そうです。「初級セールスマン講習会」に代わるものをeラーニングでやろうということで、2010年に『KnowledgeDeliver』(以下、KD)を導入し、商品や発注時に必要な型番情報などを学べる「つばきラクラクWeb講座」を立ち上げました。2014年には多言語オプションを導入し、つばきラクラクWeb講座を英訳したものを海外向けにも展開しています。

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「つばきラクラクWeb講座」のトップ画面。椿本チエインの海外拠点は、北米アメリカ、ヨーロッパ、中国、シンガポール、タイ、ベトナム、インドなど世界中に広がっており、英語版は多くの海外拠点で活用されているという。


現在の運用状況と課題

現在の運用状況を教えてください。

山下様:開講時期を毎年10~11月の2ヶ月間に限定しています。受講後は修了証を発行してその年は終了です。年が明けたら前年の教材を加筆修正して準備を始めます。というのも、新商品が増えたり逆に廃盤になったりと、毎年商品ラインアップが変わるため、常にメンテナンスが必要なんです。

毎年、丁寧にコンテンツのメンテナンスをされているんですね。手応えはいかがですか。

山下様:当社の商品をよりよく知って頂くための強力なツールになっていると思います。やはり遠隔地の方、とくにお客様からの電話に応対される業務の方は女性が多く、仕事を抜けて2日も3日も講習会に参加してもらうのはなかなか難しいんです。eラーニングだからこそ、そういった方にも数多く受講いただいています。

一方で、eラーニングの課題という面ではいかがでしょうか。

山下様:システムの問題ではなく我々のコンテンツの課題になりますが、「つばきラクラクWeb講座」のコンテンツの量が多すぎるんです。

多いとはどれくらいですか?

山下様:13章、ページ数で言うと500ページ以上あります。

すごいボリュームですね。

山下様:細々とした部品なども含めると商品点数が非常に多いというのもありますが、一番の理由は各商品担当者の商品に対する思い入れが強く、あれも知ってほしい、これも知ってほしいと詰め込みすぎてしまっている部分が大きいと思います。
それから、基礎編という位置づけで単位や力学の説明をしている第1章が、実は13章の中で一番難易度が高いというのも問題です。1章目から受講をスタートされたとき、最初に高い壁にぶつかってしまって「こんなに難しいのか」とくじけてしまう。結果、修了できない人が毎年何名か出てしまうというのも、わからない話ではないんですよね。

大村様:単元ごとにテストもあり、70点以上でないと次に進めないようになっていますから、厳しいといえば厳しいかもしれませんね。

裏を返せば「商品の良さを社外の営業さんにしっかりと伝えたい」という商品担当の皆さんの熱意があり、コンテンツを毎年きちんとアップデートする運用をされているからこそ、たくさんの方に受講いただき、また長く運用が続いているんだなというふうにも感じました。

山下様:そうですね。実は、集合研修型の「初級セールスマン講習会」は今も実施しているんですが、それを受講された後、再度eラーニングを受けるという方もいらっしゃるんです。これって考えたらすごいことですよね。代理店さん、販売店さんにとって、うちの商品はごく一部。それにも関わらず、もう一度受けようと思っていただけるなんて有難いなと思います。
eラーニングのコンテンツにはすべて音声(ナレーション)を入れるなど、なるべく分かりやすく伝える工夫はしています。今後はよく内容を精査してなるべくコンテンツのボリュームを抑えられるよう、考えていきたいと思っています。

この10年の変化と安定運用の秘訣

ところで、eラーニングを導入されてからの10年間で、eラーニングの利用状況になにか変化はありましたか?

椿本チエイン様

山下様:社外向けの「初級セールスマン講習会」をきっかけにeラーニングを導入しましたが、今では社内でも情報セキュリティ研修などに使用しています。当初はデジタル・ナレッジさんのサーバをお借りして始まったと記憶していますが……。

大村様:そうですね。途中でオンプレミス導入に切り替えたこともあり、情報セキュリティ研修のほか、様々な部署でeラーニングの活用が広がっています。

たとえばどのような使い方ですか?

大村様:工場勤務者を対象に地震などの災害時の対処方法をeラーニングで提供したり、事業部単位で勉強会をした後に、簡単な確認テストをKDのテスト機能を使って実施したりしています。アンケート機能を利用して意識調査的なものを行うこともあります。KDは集計機能も優れていて「回答率何%」など、すぐに分かりますので、その辺りを利用してかなり細かいところにも活用しています。

オンプレミス導入は自社管理で大変な部分とメリットの両方があるかと思いますが、実際にお使いになっていかがですか。

大村様:パッケージソフトがほとんどやってくれますので、とくに苦労はないですね。メリットとしては、例えば自動車部品を作っている事業部やマテハンといって搬送の機械を扱っている事業部では、各メーカー様と秘密保持契約を結んでいる関係上、その商品知識・やり取りも含め、外に漏れてはいけないものを多数扱っています。社外のサービスやサーバを使って万が一流出するといけませんが、KDのサーバは椿本チエイン内にありますので、機密性の高い情報も扱えるということで、有効活用されています。基本的に情報システム部の我々でさえ、中身は見ないようにしているんですよ。

各部門での専門的な、また非常に機密性の高い教育にもeラーニングが使われているんですね。
eラーニングは今年で導入10年目になりますが、長きにわたって安定的に活用・運用し続けられてこられた、その秘訣は何でしょうか。

大村様:eラーニングは社内ポータルサイトから直接飛べるようになっていて、セキュリティ教育や意識調査アンケートなどに頻繁に利用していますので、社内でも違和感なく使えます。また、eラーニングを使って提供したい内容やテーマがあれば自由に使ってくださいというスタンスを取っており、誰かが使って良かったというのを聞いた人からやりたいと手が上がる状況です。利用者側、提供者側の双方としてこのeラーニングが浸透しているのを感じますね。

なるほど。ただ受講するだけでなく、eラーニングを提供する側としても身近なものになっているんですね。教材は誰でも作れますか?

大村様:教材作成マニュアルを準備して、誰でも簡単に作れるようにしています。スライド教材やテスト問題、アンケートの作成マニュアルなどで、そのマニュアルもeラーニング上で見ることができます。ヒアリングをしたうえで教材サンプルを作って、こんな感じですねと提示することもあります。希望者にだけ教材作成の権限を付与する形で、一定期間が終了したら閉じています。

提供者側も手間なく教材を作成でき、ストレスなく展開できる環境が整っているんですね。

大村様:社内の人間はほとんどがPowerPointを使いますので、PowerPointで資料を作って取り込めば教材ができるというKDの特長も大きいと思います。ユーザ管理だけは情報システム部で一括管理していますので、誰に受講させるかという設定は必要ですが、とにかく簡単に活用できる点がいいですね。

改めて今後の展望をお聞かせください。

大村様:とくに困ったこともなくeラーニングに関しては本当にスムーズに運用できています。社内で自由に使ってもらえるシステムというスタンスで、これからも大いに活用していけたらと思っています。
山下様:コンテンツを作っている各商品担当者の思いは大切にしながら、今後は、毎年のコンテンツ更新作業を自動化できないかなど、運用の効率化などにも目を向けていきたいですね。



ご利用いただいた製品・サービス

KnowledgeDeliver

多言語オプション

お客様のサイト

https://www.tsubakimoto.jp/

お客様情報

社名 株式会社椿本チエイン TSUBAKIMOTO CHAIN CO.
創業 1917年12月(大正6年)
設立 1941年1月(昭和16年)
本社 大阪市北区中之島3-3-3(中之島三井ビルディング)

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