デジタル・ナレッジは、大学におけるオンデマンド授業の実施状況や動画コンテンツの詳細、受講ログ分析への取り組みに関する調査を実施し、その結果をまとめた報告書を公開致しました。
調査の結果、6割の大学が対面授業とオンデマンド授業を併用していることが明らかとなりました。コロナ禍のピークを過ぎた今もオンデマンド授業を行っている理由は「通学できないなど学生の様々な事情に対応できる」「出席率向上のため」「反転学習・繰り返し学習に最適」などとなっており、オンデマンド授業が大学における学び方の1つとして定着している様子がうかがえます。
一方、アンケート結果からは、主なコンテンツ作成者である教員の負担増や「学生の反応・理解度がわからない」「ちゃんと受講しているか確認できない」など、オンデマンド授業の課題も浮き彫りとなっています。
学生が視聴したかどうかを確認できる簡易的なログ分析は半数の大学で行われていますが、より詳細なログ分析で視聴傾向を把握しコンテンツ改善を行っている大学はわずか3%、ログ分析を全く行っていない大学は43%に上っています。「ログを取得・分析し学習状況や学生の行動把握をしたい」というニーズは高く、今後の動向が注目されます。
▲調査結果3.今後、オンデマンド授業に必要な機能やサービス
【本調査結果のサマリ】
大学におけるオンデマンド授業の実施概況
- 大学がオンデマンド授業を始めた時期は「2020年」が73%で最多。
- コロナ禍のピークを過ぎた今もオンデマンド授業を行っている理由は「学生の特殊事情に対応できる」「出席率向上」「反復学習に最適」。
- 6割の大学が対面授業とオンデマンド授業を併用。
- 教員の出張時や補講対応にオンデマンド授業を活用している大学もあり、オンデマンド授業が大学における学び方の1つとして定着している様子がうかがえる。
オンデマンド授業の動画コンテンツの現状と改善点
- コロナ禍において、オンデマンド授業は「緊急導入」であり「動画コンテンツ開発もとりあえずの対応」となった大学が大半。
- 動画コンテンツに対する自己評価は「大変良い」「良い」が3割。それ以外は「工夫が足りない」「緊急避難的に行うレベル」「教員によってバラツキがある」 など、改善の余地があると考えていることが明らかに。
- 動画コンテンツの84%は教員が作成、その負担は大きい。
- 「わかりやすい見せ方・構成」「学生の興味関心を惹く工夫」「双方向性」といった、より教育効果の高いコンテンツが求められている。同時にコンテンツ作成者の負担を軽減するツールや仕組みも必要。
オンデマンド授業の課題と受講ログ活用への展望
- 「成績が上がった」「履修者増加」などオンデマンド授業の成果は上々。
- その反面、「学生の反応・理解度がわからない」「ちゃんと受講しているか確認できない」といった課題が明確に。
- 「学生が視聴したかどうか」の簡易的なログ分析は半数の大学で行われているが、より詳細なログ分析で視聴傾向を把握しコンテンツ改善を行っている大学はわずか3%。ログ分析を全く行っていない大学は43%に上る。
- 「ログを取得・分析し学習状況や学生の行動把握をしたい」というニーズは高い。国がデータ駆動型教育への転換を提言していることもあり、大学においても当該機能を搭載したシステム強化が進められる見通し。
アンケート調査概要
調査目的 | 大学におけるオンデマンド授業の実施状況や動画コンテンツの詳細、 受講ログ分析への取り組み状況を調査すると共に、今後の課題とニーズを探る |
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調査期間 | 2023年9月6日~9月11日 |
調査方法 | アンケート専門サイトを用いたWebアンケート調査 |
調査対象 | オンデマンド授業を実施している全国の大学の教員・職員 |