介護・福祉・医療に特化した人材サービス事業や教育事業、RPO(Recruitment Process Outsourcing)事業を展開する株式会社ツクイスタッフ様。なかでも、2019年に提供を開始した動画研修サービス「E care labo」(イーケアラボ)は650(*1)近い法人で採用され、介護の現場が直面する問題解決に寄与しています。人手不足が深刻化する介護業界においてeラーニングがどのように活用されているのか、社会貢献にもつながる取り組みを取材しました。
教育事業部 部長 月足真治様(左)
教育事業部 営業推進課/業務企画課 課長 福嶋潤一様(右)
お客様のニーズ
- 従来の講師派遣型研修サービスに加え、eラーニングを活用した研修サービスを立ち上げたい
- 介護の現場で研修実施が困難であるという問題を解決したい
導入サービス
導入後の成果
- 1本5分程度の動画によるマイクロラーニングで、忙しい介護現場での研修を可能に
- 職員間の介護知識の標準化、OJTの効率化、残業削減など様々な効果を上げている
- 約650法人、5000事業所における採用実績
- 母体である株式会社ツクイでも導入され、大手のeラーニングサービスに成長
- 今後も介護業界の教育を支援し、社会貢献につなげたい
「E care labo」誕生の背景にあった介護業界の課題
最初に、「E care labo」が誕生した背景をお聞かせください。
福嶋様:当社の前身は、全国規模で介護サービスを展開している株式会社ツクイ内に立ち上げた教育事業部です。2016年に分社化してツクイスタッフとなり、全国の介護事業所に講師を派遣する研修サービスを提供していましたが、次第に新たな事業展開を模索するようになりました。というのも、忙しい介護の現場では研修になかなか人を集められず、多くの事業者が課題を抱えていたからです。
介護業界の課題について、詳しくお聞かせください。
福嶋様:介護の現場では勤務時間中に職員が1人でも抜けると困るので、なるべく人数を確保するため、早番日勤が終わった夕方以降に残業をして研修を受けましょうというパターンが一般的でした。ですが、シフト制で夜勤もあり、パート勤務の方も多いため、研修を実施しても全員が参加できることは、まずありません。すべての介護職員に必要な研修を届けるためにはどうすればいいのか――そこで立ち上げたのがeラーニングで学べる「E care labo」でした。
デジタル・ナレッジのシステムを採用された決め手は何でしたか?
月足様:外販用のサービスということもあり、運用面で責任感のある企業を選びたいというのが第一にありました。6~7社を比較検討しましたが、デジタル・ナレッジさんだけが自社のデータセンターでデータ管理をされていて、あらゆる面で預かる教材に責任をお持ちであることは明確でした。サポート対応についてもメールのみという会社が多いなか、御社は電話でのサポートもあり、担当営業さんの対応も圧倒的に丁寧でした。
サービス開始から4年程経ちましたが、介護現場での活用は広がっていますか?
福嶋様:お陰様でリリース以来、利用者数は右肩上がりに伸びています。直近の数字で約650法人、事業所数では全国5,000程の事業所で導入、活用いただいております。eラーニングを使った研修サービスを始めたことで、それまでお付き合いのなかったお客様の導入も飛躍的に増えました。
他にはない、ツクイグループが提供する介護系eラーニングの強みとは
「E care labo」の特長を教えてください。
福嶋様:1本5分程度の動画で勤務時間中でも学びやすいマイクロラーニング、法定研修(*2)に対応した充実のコンテンツ、さらに処遇改善加算取得(*3)に欠かせない研修計画、受講データ、報告書の作成からダウンロードまでシステム上で一括して行えます。最近では介護を学べるeラーニングも増えてきましたが、弊社はツクイグループの一員としてサービスを提供できる点が大きく違います。
ツクイグループとしてのサービス展開にはどういった強みがありますか。
福嶋様:弊社の母体である株式会社ツクイは、1983年に介護事業を開始して以来、40年を超える歴史があり、現場のニーズに精通しています。先日も3年に1度行われる介護報酬改定の発表がありましたが、いち早くコンテンツをアップするなどタイムリーな情報提供が可能です。
月足様:「E care labo」はツクイ本体でも導入されていて、ツクイの従業員だけで約2万1000人の従業員と全国約750の事業所でも活用いただいています。その規模感は業界でもトップクラス。グループ内ということもあり率直なフィードバックをもらえるので、それを活かしたシステム改善など、サービス品質の向上にもつながっています。
まさに業界最大規模の介護eラーニングサービスといったところですね。
福嶋様:ツクイは拠点数全国1位のデイサービスを主軸に、訪問介護、有料老人ホームなど、様々な介護サービスを取り扱っています。ひと口に認知症ケアといっても、各サービス・施設によって認知症ケアの在り方は違いますから、多様な顧客ニーズすべてに対応できるコンテンツも「E care labo」の大きな強みです。
ちなみに今コンテンツ数はどれくらいありますか?
カスタマイズの内容を少しご紹介いただけますか。
職員別、グループ別、施設毎などフレシキブルに作成できる「あなたのカリキュラム」。
細やかなカスタマイズは利用者の負担軽減とさらなる教育効果向上につながっている。
質の高い介護サービスには充実の「教育研修」が必要不可欠
「E care labo」の導入により、介護の現場ではどんな成果が上がっていますか?
月足様:+αのメリットとしては、採用時のPRになるという声も頂戴しています。介護の仕事は技術職的な側面があり、教育体制がしっかり整っているかどうかは重要なポイントです。介護未経験の方やブランクがある方も多いため、eラーニングを活用した効率的な研修環境は、採用はもちろん人材定着にもプラスになります。ちなみに、介護業界で「集合研修」「オンデマンド研修」「Zoomを使ったオンライン研修」の全ての研修ニーズに対応しているのは、弊社以外だとまだまだ少ないのが現状です。
あらためて、介護業界における教育研修の重要性、そしてeラーニングを活用する意義についてどのように捉えていらっしゃいますか?
ありがとうございます。最後に、今後の課題や取り組みのご予定をお聞かせください
人材不足に伴う様々な課題解決に向けた、介護業界最大規模のeラーニング立ち上げをご支援する機会を頂くことができました。最前線で活躍される介護現場の方々に向けた、ウェルビーイングの観点もしっかりと入ったサポート策は、大変有意義なものだと感じています。講師派遣型の研修と組み合わせた品質の高い研修サービス提供をはじめ、ツクイスタッフ様の社会貢献を今後も裏側からお力添えできれば幸いです。
《株式会社デジタル・ナレッジ 執行役員 谷津 勝弘》
*1:2024年4月時点
*2:法定研修
法律で定められている研修。デイサービス、訪問介護、介護老人福祉施設といった種別ごとに年間に受けるべき内容が決められている。各施設による法定研修の取り組み状況は、ホームページで一般公開されており、利用者が介護サービスや施設を比較検討する上での参考となっている。
*3:処遇改善加算
要件を満たした介護事業所に対して、介護職員の賃金改善を目的に支給される加算制度。介護職の賃金の安さが問題視されるなか、加算取得はその解消と業界全体の採用力の底上げにつながっている。加算取得のための手続きや書類作成、報告書の提出が煩雑であるという問題があるが、研修計画の立案から実施、報告書の作成までを一元管理できるeラーニングシステムの活用による効率化が期待されている。
ご利用いただいた製品・サービス
お客様情報
名称 | 株式会社ツクイスタッフ |
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設立 | 2016年1月 |
所在地 | 東京都千代田区内神田3-23-5 |