ここからは特定分野に関わらない基本概念や、教育ビッグデータにより実現できる世界観を紹介します。
LRS
Learning Record Store の略。学習履歴を蓄積するためのデータベースを指します。様々なシステムやデバイスから生成された履歴データを一手に受け、これを蓄積します。
技術的には旧来のリレーショナル・データベースだけでなく大量データを格納するのに適したNoSQL を利用することが多くあります。なお LRSはxAPI で使われる用語で、 Caliper Analytics では同様の仕組みをEvent Store と呼称しています。
マシンラーニング
多くのデータをコンピュータにかけ、データ間に潜む特徴を獲得したり予測モデルを構築する仕組み。AI の一つの領域で「機械学習」ともいいます。昨今、画像認識やレコメンドなどのサービスで広く用いられ注目されている技術領域の一つで、ラーニング・アナリティクスでも利用されています。
マシンラーニングは大きく「教師あり学習」と「教師なし学習」に分けられます。「教師あり学習」は入力データと、それに対する出力データをセットにしたデータを学習させることで、未知の入力データに対する予想される出力を求めようというものです。
例えば有名な実験例で大量の猫の写真をマシンラーニングにかけて学習させ、任意の写真を入力してその写真が「猫かどうか」を判別するのに用いられました。「教師なし学習」は入力データに対して出力があらかじめ定まっていないマシンラーニングで、入力データの背後に存在する本質的な構造をあぶり出すのに用いられます。
例えば受講者に付随する情報(履修教科、学習時間、成績など)をマシンラーニングにかけて、受講者をグループ分け(クラスタリング)する等に用いられます。
オムニチャネル学習
また e ラーニングのトレンドとしてパソコンだけでなくタブレットやスマートフォンで
も学習する「マルチデバイス」の考え方も広がり、学習場所、方法、そのシステムも広がりを見せています。昨今はこれをさらに拡張し、読書記録や授業出席、動画閲覧などe ラーニング以外の学習アプリやサービスを併用したトータルでの学習環境を利用するケースが増えています。
オムニチャネル学習ではそれぞれのアプリケーション・サービスで学習履歴が生成・蓄積されますが、このままではトータルに一元管理をすることができません。そこで LRS を適用することで、それぞれのアプリケーション・サービスからの学習履歴が全てLRSに保存・管理され、学習履歴の一元管理を行うことができるようになります。
図12:オムニチャネル学習環境の概念図