バングラデシュの首都ダッカで発生した日本人7名を含む20名が殺害されたテロ、連日大きく報じられており、その凄惨さ残虐さを見るにつれ戦慄が走る思いがします。被害に遭われた7名の皆様のご冥福と、残されたご家族の心の平安を願うばかりです。
今回の事件、私にとっては対岸の火事ではありません。我々が行っているプロジェクトの一つにJICAさんとのキルギスプロジェクトがあります。先日私もキルギスに出張で行ってきたところですし、先週土曜から弊社スタッフがキルギスに入っており、業務にあたっております。
JICA(国際協力機構)さんは、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っている機関です。弊社もその趣旨に賛同し、JICAさんの助けを得ながらキルギス国でのeラーニング導入といった教育支援を進めております。そういうわけでJICAさんは私にとって単なる国の機関というより想いを共有し共に進めるパートナーのような感じがしてとても他人事ではありません。
キルギスではJICAさんの知名度は相当あり、現地に溶け込み、この国のためにいろいろな貢献をしているのだなぁというのがよくわかります。
そして今回被害に遭われ亡くなられた方々はいずれもコンサル会社の方々です。そしてそのコンサル会社さんの中に、片平エンジニアリング インターナショナルさんが含まれておりました。今回の我々のキルギスプロジェクトでご支援いただいているコンサル会社さんがまさに片平エンジニアリングさんで、とても有能でお世話になっている会社さんです。
さらに、キルギスにご一緒した片平エンジニアリングさんの方の中に長年ダッカでのプロジェクトを率いている方がいらっしゃり、キルギス滞在中、その方にダッカのお話をいろいろと伺ったりしていたのでした。JICAプロジェクトで片平エンジニアリングさんの方も被害に遭われたと知って真っ先にその方の安否が心配になりました。
Skypeで連絡を取ると、今ダッカにいらっしゃるその方よりご無事だという案内をいただきました。ほっとしましたが、別プロジェクトの方が犠牲になられたとのことで、悲痛な面持ちでした。
我々がプロジェクトを進めるキルギスもイスラム教の信者が大半を占める国です。夕方、日没とともにモスクからコーランが低く流れるのを聞いて、ああイスラム教の国に来たのだなと思ったものです。
キルギスのイスラムの人々は決して豚肉は食べませんが、お酒を飲む方は多く、女性はヴェールを被っているわけではありませんし、1日に5回メッカに向かって祈ることもしません。そういう意味で現地の方は「マイルドイスラム教」と表現したりしてました。とはいえイスラム教の国であることは間違いありませんし、JICAさんの安全ブリーフィングの際にも言われましたが、キルギスにもIS(イスラム国)の戦闘員として参加している人や、ISからキルギスに帰国した人もいます。例えば先のトルコ イスタンブールでの自爆テロの実行犯の中にキルギス出身の人がいたくらいです。
今回事件が起きたダッカのイタリアンレストランは、写真で見る限り、とてもダッカにあるとは思えない上質な雰囲気のお店のようでした。我々がキルギスに滞在している間、あちこちのレストランで食事をしましたが、多くはあのダッカのレストランのように現地の方向けではなく外国人向けの店でした。外国人を襲撃するのにはうってつけなのでしょう。
そういうわけで、今回のダッカの襲撃事件、とても他人事には思えず、そして我々もその危険に直面しているのだというのをまざまざと思い知らされました。私も来月、再びキルギスに滞在する予定ですし、今まさにキルギスにいるスタッフもいます。安全第一、身の安全を確保しながら業務を続けていく所存です。
亡くなられた犠牲者の方々の御冥福を心からお祈りし、お悔やみを申し上げます。
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