こんにちは。研究員の岡田です。
早速ですが、この動画を是非ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=SIaflMMNans
これは大阪府立箕面高校・森田先生の授業の様子をまとめたものです。
森田先生は「日本CLIL教育学会」の会員で、日々の授業でのCLILを実践されています。一言でいうと、CLILとは、「英語を教える」ではなく「英語で教える」という手法です。
CEFRでも、CLILと親和性が高く、注目が集まっていますね。
さて、このCLILでは、「英語で」理科的内容を教えたり、数学的な事柄を表現してみたり、社会的課題についてディスカッションしてみたりと、各教科との連携がもとめられます。
※廊下に、科学的説明の図を準備している森田先生
そのように各教科間連携が難しいという点はありますが、英語を身につける目的・動機が学習者には明確であったり、自分が伝えたいこと・思考を表現するという活動に繋げやすいという点で、日本でも多くの学校で取り入れられるようになってきています。
ここまで聞いて・・・「え?そんなフレキシブルな活動にAI(人工知能)って役立つの?」と思われた方もおられるでしょう。
そうなんですよ。私も最初は少し心配しました。どんな授業になるのかな、と。
どうしても、「トレパ」(AIトレーニング)を導入するとなると、音読や発音トレーニングという部分での活用ばかりが注目されますし、「導入」という言葉の魔力で「1コマの授業全部それをしている」と思われがちなのです。
でも、森田先生の動画でも、授業全体をいくつかのパートに分け、そのパートによってトレパを使う部分と使わない部分のメリハリをつけることで、授業が単調になることがありません。
「業務フローを精査し、どこで自動化(AI化)できるかを考える」というのはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の基本ですが、それと同様のことがいえます。
「授業フローを精査し、どこでAI・アプリで個別トレーニング化できるかを考える」というのが基本です。
今後、ひとり1台端末時代になりますが、端末を与えて終わりではなく、それを使った授業フローの検討が必要になってくるでしょう。
さて、話を戻すと、森田先生の授業のポイントは3つです。
- 授業内で「インプット→インテイク→アウトプット」のフローを明確にしている
- インテイクの部分での「トレパ」活用 ※一部のインプット・アウトプットでも活用
- スマホを使う ※BYOD&生徒さんのパケット活用
フローが明確なので、その中でトレパが活きる部分が明確になっています。インテイク(定着を図る)部分ではやはりキーセンテンスの音読が鍵になります。
その部分では、漫然と取り組む傾向にあるので、そこでの取り組みを意識的に行うためにトレパなどの音声認識機能を使うと、一回一回の音読を丁寧に行うことになります。
また、インプット機能ではリスニング教材をトレパで作成することができます。(授業内ではゆっくりと再生していました。それによって「聞き取れる!」という自信につなげたいとのこと。)
また、アウトプットでも、トレパを「ネイティブの耳」として活用することで、「AI
が君たちの発音をどのように聞き取ったのか」という課題に対する評価だと位置づけます。そうすることで、たどたどしいアウトプットの前に、頭の中を整理してから話すというトレーニングになります。
最後に。「学校内にWi-Fiがないから、アプリを使えない」という嘆きをよく聞くことがあります。しかし、箕面高校では保護者・生徒にしっかりと説明することで、自分のスマホ&パケットを使うことに対して、これまで苦情は出たことがないとのことです。もちろん、家庭の方針でスマホを持っていない子や忘れた子のために、スマホを2台ほど用意してはいるようですが。
大きな端末ではなく、自前のスマホを使うことで、机の上のスペースにも教科書・ノート・筆記用具を置いた上でスマホトレーニングができていました。
また、そのままの環境で家庭学習も行えるので、実は非常に効率が良いのかもしれません。
このクラスは「トレパ」を使うのは初めてでした。それでも混乱なく使えるのですね。要は何かあったときに先生がトラブルシューティングをできるように事前に授業をデザインしていることが重要なのだと改めて感じました。
全国の先生方と、トレパを使った授業を一緒に考えていきたいですね!
※この箕面高校の取り組みについては、今週末(2019年12月21日・22日)に村田女子高等学校で催される「未来の教育コンテンツEXPO」(入場無料)にてブース内セミナーで取り扱います。305教室にて「トレパ」のデモも行っていますので、お気軽にお越しください。