木枯らし1号も吹き、すっかり秋も深まってきました。我が家もとうとうタオルケットから毛布に替えました。布団から出るのに精神力を問われる季節となりつつあります。
さて、本日10月28日より御茶ノ水のソラシティにてeラーニングアワード2015フォーラムが開催されております。弊社は今年もプラチナスポンサーとして、フォーラムの運営に携わっております。
例年この時期に合わせて新サービスを企画するのですが、今年は前のブログでもちょっとご紹介したLearning Analyticsの新サービスを立ち上げました。
(実は今記者会見の会場からアップしてます。今発表が終わったばかりです)
その名も“Analytics+”
弊社のLMSである”KnowledgeDeliver“や学習履歴統合管理サービス”Mananda“のオプションとしてリリースしました。
KnowledgeDelierやManandaに蓄積された学習・活動履歴、いわば教育ビッグデータを使ってLearning Analyticsを行います。
Analytics+はLearning Analyticsを大きく3つのレイヤに分けております。
一つは標準機能である分析・可視化ツール:Analytics+/ View
Viewではまず、教育ビッグデータを基に学習・行動を様々な観点から可視化します。こんな感じの画面です。
各システム単位で全体の表示・分析を行ったり、教科ごとに細かい分析を行ったりします。左側のメニューをクリックすると右側のグラフ領域が表示されます。(メニューが豊富で見切れちゃってますが)
グラフの見方がわからない? そういう方も安心です。全グラフにはグラフの見方やポイントが説明されております。例えばこんな感じです。
そういうわけで、Analytics+/Viewを開いて、カチャカチャとグラフを眺めていると、どういう学習をされているのか、初心者でも分かりやすく把握できるかと思います。
ちょっと例を見てみましょう。
どういうことができるかというと、例えば・・・
このグラフは、学習時間と平均得点の分布を表したグラフです。青が教科終了者、赤が未了者の状態を表します。中央値のところに点線を引いているのでわかるかと思いますが、ぱっと見で終了者の方が平均得点は高いのが見て取れますね。また学習時間も終了者の方が長めの傾向があります。
これをさらに分かりやすく、箱ひげ図でまとめて見ると・・・
なるほど、確かに終了者の方が平均得点が高いですね。
学習時間について見てみると・・・
こんな感じ。全体としては終了者の方が学習時間は長めの傾向があります。
まあ、この例は当然といえば当然のことなのですが。
次は、もうちょっと面白いグラフです。
これは時間帯ごとに、その時間帯で学習している人の完了率を表したものです。赤が完了率0%、青が100%、オレンジが0?50%です。赤は全然学習終わってない人、それ以外はきっちり完了させている人ということになります。ちなみにデータはとある社会人向け資格サービスです。
「赤=完了率0%」のところに注目ください。そうすると、朝から夕方(6時?19時)では赤の比率が高く、深夜早朝の時間帯では青やオレンジの比率が高い傾向がお分かりいただけるかと思います。
これは、(私なりの解釈でいうと)業務時間に勉強している人より、帰宅して自宅で深夜早朝に勉強する人の方が熱心という傾向が言えるような気がします。
他の例を見てみましょう。これは設問別の正解率を表したものです。緑が初回正解率、青が2回目以降の正解率、グレーが全回の正解率です。
こうやって並べてみると、明らかに6275の初回正解率は低いですね。他にも6273や6287あたりもちょっと低めです。これが出題者が意図して難易度の高い問題を出題していれば問題はありませんが、事前の説明が不十分だったり、問題の難易度が意図したより高かったり、あるいは出題が間違えていたりという可能性もあります。 一度見直した方がよさそうに思いますね。
このような感じでAnalytics+では教育ビッグデータを可視化して学習の行動や傾向を見ることができます。
それだけではなく、もう少し立ち入った分析を行う機能もあります。例えば・・・
これは成績の相関関係を表したものです。A?Gは各要素を表します。具体的には下記の通りです。
A | 終了率 | 受講者ごとの教科終了率です。eラーニングの成果を測る上で重要な指数です。 たとえば、教科履修登録して2教科終了すると2÷4=50%の終了率です。 (D: 終了教科数) ÷ (E: 履修数)で計算されます。 |
B | 初回テスト得点率 | 初めて取り組んだテスト問題の得点率を表します。「そこで学んだことを理解できたか」を知ることのできる重要な指数です。 |
C | 平均得点率 | 各単元の得点率の受講者ごとの平均値です。この数値が高いと得点が高い(≒理解している)ことを示してます。全回分含めるので「初回テスト得点率」ほどはダイレクトに反映されない可能性があります。 (単元別総得点率) ÷ (単元数)で計算されます。 |
D | 終了教科数 | 受講者ごとの終了した教科の数です。 |
E | 履修数 | 受講者ごとに履修した教科の数です。 |
F | 再テスト率 | テスト問題を2度以上学習できるように設定している場合、平均して何回同じテストを受講したかを示します。 (総テスト回数) ÷ (受講テスト数)で計算されます。 |
G | 再テキスト率 | テキスト学習を2度以上学習できるように設定している場合、平均して何回同じテキストを受講したかを示します。 (総テキスト学習回数) ÷ (受講テキスト数)で計算されます。 |
緑の線は2つの項目間の相関関係(片方が上がればもう片方も上がる)を、赤の線は逆相関関係(片方が上がればもう片方は下がる)を表します。線の太さはその相関関係の強さを示します。
注目すべきは、A=C / C=D / A=D / A=Eあたりでしょうか。つまり
- A=C :終了率と平均得点率は相関関係がある。 (得点高い人は終了率も高い)
- C=D:平均得点率と終了教科数は相関関係がある。 (得点高い人は終了教科数も多い)
- A=D:終了率と終了教科数は相関関係がある。 (終了教科数が多い人は終了率も高い)
- A=E:履修数と終了率は逆位相関係にある。 (履修数が増えると終了率は落ちる)
ここでいうと1?3は、まあ当たり前かなという感じでしょうか。
4は履修数が多いと分母が大きくなるので終了率が落ちるということですが、別の表現をすると「よし、いっぱい勉強するぞ」とたくさん履修登録した人は、途中でドロップアウトしちゃう傾向が強いということも言えるかもしれません。適切な履修数がよろしい、ということでしょうか。
以上のようにAnalytics+ /Viewを使うことで、様々な角度から学習を分析し、傾向を知ったり次の戦略を立てたりするのに役立つかと思います。
ちなみに、ここで紹介したグラフは、ほんの一部でして、今しがた分析のバリエーションを数えてみると・・・ その数、全29カテゴリ、61種類でした。結構膨大ですね。
しかも、これら分析は今後も徐々に追加される予定です。新たな分析手法や切り口を追加していきます。
さて、ここでようやく1つ目のViewの紹介を終わります。フゥ、結構長いですね。
後半のRobotとProjectについては引き続き「その2」で紹介します。引き続きご覧ください。
■関連情報
- Learning Analyticsの新サービス”Analytics+”提供開始(その2:Robot / Project)(弊社ブログ記事)
- (脱線)Analytics+の裏側?どういう経緯で作ったのか?(弊社ブログ記事)
- Analytics+サービス紹介サイト
- eラーニングアワード2015フォーラム
- 弊社セミナー枠「進化を遂げる”学習スタイル”20選 ≪多様化・急速に進化する学習スタイルを支えるテクノロジーとは?事例とは?45分ミニセミナー≫」
- Learning Analyticsのサービス発表も。来週開催、eラーニングアワード2015フォーラム(弊社ブログ記事)
- 早稲田大学との共同研究スタート:ラーニングアナリティクスによる退学予兆検出プロジェクト(弊社ブログ記事)
- Rにどっぷり/ラーニングアナリティクス事始(弊社ブログ記事)