教育×AR ~ARの「超越」はeラーニングに何をもたらすか~

By | 2018年8月29日
最近、JINS MEMEが欲しくてたまらない、「研究員」岡田です。やっぱり、社内でも家庭内でも稟議が必要でしょうか…
さて、皆さんは、ARを普段どの程度使われていますか? 「ポケモンGO」が流行し、一度くらいはAR技術に触れた方もおられるかもしれませんが、普段、そこまで使ってらっしゃる方は少ないかと思います。
まだまだエンターテイメント用の技術であり、普段使い(日常生活や普段の学習)に使うイメージではないでしょうね。
しかし、ARには大きなポテンシャルがあると考えられます。
本日は、8月28日に公開されたMENSONの梶谷さんの刺激的な記事を読んで触発されたので、VRとも異なるARのeラーニング活用について考えてみたいと思います。
その梶谷さんの記事といういのは、こちら。?https://note.mu/kajiken0630/n/n0e43ab1bac6a
この記事を読んで、MENSON(https://www.meson.tokyo/)さんの活動が非常に気になりました。
さて、詳細はオリジナルの記事を読んでいただくとして、この記事では以下の5つのポイントについて、ARが超越していく、と語られています。
1. O/Oの超越
2. 知覚の超越
3. 距離の超越
4. 時間の超越
5. 規模の超越
教育×ARということで、教育(初等中等教育~人材育成)での適用ポイントについて、1に特化して考えてみましょう。
(1)O/Oの超越
個人向けサービスとして、スマホで教科学習を行うというのは一定の認知がされていますし、実際に効果的な勉強方法として利用されています。自分の理解度に応じて、早送りしたり、再度動画再生したりできるというメリットがあり、中高生の中での浸透は結構あります。
ただ一方では、特に初等中等教育では、「コンテンツを提供する側」のオンライン対応が進んでいません。従来、教材といえば「紙」であり、それが永らく支配的でした。英語の教科書と、数学の教科書は別で、ノートは別…そういった物理的に独立している教材は、今や、タブレットで一元化されていきます。ただし、それでも教育上の「壁」となっていたのが、このO/Oの壁です。
教材はあくまでもリアルとは切り離されたものでした。どういうことかと言うと、例えば体育で「野球」のことが書かれている教材があったとして、その教材と、「プレイする」というリアルは一旦切り離されていた、ということです。プレイをしながら教材を見る、なんてことはありえませんでした。よく「座学」という言葉が使われますが、従来の教材を使って学習するのは「座学」の時間であって、「実践」の場・時間とは切り離されていました。(切り離されていたからこそ、知恵・知識が歴史的に遺産として残されてきたという価値はある。)
たとえばビジネスの世界で言われるOJT(On the Job Training)では、リアルな業務を遂行することで、経験値が向上することが期待されているのですが、この場合にはうまく「座学」との連携をつくることができませんでした。まさに、O/Oは、On the Job Training/OFF the Job Trainingともなっていたわけです。
しかし、終身雇用よりも、即戦力が求められ、人材育成もスピード化が求められたり、安全でミスのない業務遂行が以前よりも強く求められる中で、リアルな業務中に知識を検索し、活用できることが求められています。
その時に、O/Oが超克されると、事態は一変するでしょう。
座学で学ぶ内容が、リアルな業務中に閲覧できたり、アラートを示してくれたり、指示を出してくれたり。業務マニュアルを、実地配属される前に熟読するという準備期間が不要になっていくかもしれません。
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このようなリアルな業務に基づいた学習の場合、業務マニュアルや教科書というものの「内容」ではなく「目次」と「順序」がなくなっていく可能性があります。eラーニング業界では最近「マイクロラーニング」が流行しているのも、このような流れにフィットしていきやすくなるでしょう。
外食業界では、アルバイトの育成にマイクロラーニングが利用されています。例えば、松屋フーズ様のマイクロラーニングは弊社が手掛けています。
マイクロラーニングのポイントは、
・短時間のコンテンツ
・スマホで受講可能
ということで、通勤・通学時のスキマ時間での学習が可能なところです。今どきのライフスタイルに合致していますね。
マイクロラーニングも、単純に時系列順に並んだ従来の学習動画コンテンツを「細切れ」にしただけでは面白みがありません。その時の状況や場所や目的に応じて、適切なコンテンツがピックアップされたり、出現したりする方が実際的でしょう。
例えば、理科実験。メガネ型デバイスで、フラスコを見ると、そこにAR・MRで今からの実験のプロセスと注意点が示される。
その通りに実験が終われば、一つの単元の学習が終了したという履歴が残されていく。そんな世界観です。
その体験学習をした人だけが、次のステップとしてレポート課題にチャレンジしたりして深くリフレクションを行う、というような設計にしても面白いですね。
梶谷さんが指摘している2の知覚の超越も、熟練者と初学者という軸に落として考えると、熟練者が持つ感覚や着眼点を初学者に提供するという支援もできるようになれば、生産性が向上すると思います。