今日4月1日は新入社員の入社式、今年は弊社に6名の大学・大学院の新卒の方々が入社しました。
このコロナ禍ということもあり、参加人数を絞っての開催となりましたが、6名のフレッシュさが眩く、色々な意味で目を細めてしまうのでした。
昨年そして一昨年に入社した6名がチュータとして新人さん達を支援しますが、こうしてみるとチュータの皆さんは1・2年の経験を積み、見事に成長したなぁと感慨深くなります。今年入社の新人さん達はチューター達の支援によりスクスク成長するでしょうし、チューター達もまた、新人さん達を支援することによって更なる成長につながるでしょう。そして我々ベテラン組も新人さん達やチューター達から感化され学ぶことは多いことでしょう。若い感性、常識にとらわれない視点と発想・・・ 若手が組織にもたらすことはとても大きいと思います。
今年入社された新人さん達もこの一年でさまざまな経験を踏まえ、「学びの架け橋」となって、多くの皆様の教育を支えることができることを願っております。ま、せっかくなので楽しくやりましょう。
お客様先へデビューする日もあるかと思いますが、どうぞ皆様(初年度は)暖かい目で見てやってください。
さて、ここから話題が大きく変わりまして・・・ 昨今よく耳にする単語として「DX」があります。
DX・・・私が子供の頃趣味でやっていたアマチュア無線の世界ではDXは”Distance”の略で遠距離との通信、主に海外との交信を指しますが、昨今のDXは”Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)”の略を言います。さまざまなことをIT技術を活用してデジタル化して便利にしていこうという活動や状態のことを指します。
わかりやすい例で言うと印鑑。例えば社内の決裁で決裁者の承認を得たことを示すのに印鑑を押したり、役所の手続きで用紙に手書きで記入し印鑑を押して本人が記載した正式な書類であることを証明したりと、紙に記入し捺印するという長年の商慣習がありますが、これが昨今のDX化で脱ハンコが推進されようとしています。
この脱ハンコは、単にハンコを廃しましょうというのでは成立せず、業務フロー全体を見直す必要があります。例えば役所の手続きの脱ハンコであれば、IT技術を活用してより低コストで間違いもなく迅速に処理といった観点で業務を見直し再構築するというところにポイントがあります。
これまで紙を利用していた状態では、例えば役所に婚姻届を申請しようとすると、勝手な想像ですが、恐らくこんな作業が発生すると思われます。
申請者:
- 婚姻届にペンで記載
- 署名欄に捺印
- 証人2名に依頼して、個人情報・署名を記載してもらい捺印してもらう
- 免許証などの本人確認書類、戸籍謄本と共に窓口に提出
間違いがないように注意して婚姻届に記載したり、証人にお願いしたり、戸籍謄本を取り寄せたりと、なかなか手間かかりますよね。でもそれを受領して処理する窓口もなかなか大変だと想像します。こんな具合でしょうか。
役所窓口:
- 婚姻届の記載内容に正しく記載されているかを目視で確認
- 捺印が正しい印章か確認
- 本人確認書類から本人かどうかを目視確認
- 戸籍謄本を確認
- 内容的に正しいか、受理して処理を進めていいか判断
- 婚姻届の情報をパソコン端末で入力
- 別の担当者や責任者が二重チェックで確認
- 戸籍情報も同様に変更、もしくはそれぞれの本籍地の役所に戸籍変更があった旨を通知
これら作業は私の勝手な推測ですが、恐らくこんな作業を行なっているのだと思います。
そして戸籍情報が一元管理されていない場合は、その戸籍情報にアクセスできる本籍地の役所が作業する必要がありそうです。
本籍地の役所:
- 届いた戸籍変更届を元に、戸籍変更を手動で実施
- 修正内容を二重チェック
このように、紙と印鑑による婚姻届は、申請する本人だけでなくそれを受理し処理する窓口も実に大変そうです。
ここから紙と印鑑を廃するとずいぶん楽になるのではないでしょうか。少なくとも紙で記入された文字をパソコンのキーボードで入力し、それが正しいかをチェックする手間は省けます。さらに物理的な用紙を用意したり運んだりする必要もなくペーパレス化が実現されます。物理的な紙で処理するのって大変ですものね。窓口にわざわざ出向かずとも申請できるのも大きなメリットでしょう。
そして、ここがDX化の大きなポイントの1つなのですが、これまでの人による作業がデジタル化され、デジタルデータが最初から最後まで繋がって処理が自動化されるようになるでしょう。申請・本人確認・形式チェックは自動化されるでしょうし、さらに住民票管理・戸籍原本管理までデジタル化され連携していれば、これらの情報更新も全自動で処理を完了することもできそうです。従来の作業の苦労が嘘のように取っ払われ、ほぼ自動化される。これがまず第1のDX化のメリットでしょう。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題。
昨今の教育研修の世界で話題になっているDX化の一つにOpenBadge(オープンバッジ)があります。
例えば学校の卒業を証明するものとして卒業証書があったり、資格試験に合格して資格を取得すると資格の証明書が発行されます。これら証書は卒業や合格や修了のタイミングで発行されますが、その後、自身の経歴や能力/スキルを証明するのにも使われます。
履歴書を書く際、卒業した学校名や取得した資格を書きますよね。ただ、それ、本当? ごまかしてないよね?というのを証明するのは結構大変で、厳密に証明する際には卒業校に問い合わせて成績証明や卒業証明の書類を取り寄せたり、資格の証明書のコピーを提出したりすることもあるでしょう。とは言ってもそれさえ偽造ではないとは100%言い切れないと思います。
さらに、さまざまの資格の証明書の用紙を自分で管理しておくのも結構大変でしょう。私も振り返ってみると、学生時代に取得した英検の証書がどこにあるかなんて、もはやわかりませんし、大学の卒業証書さえどこにあるか怪しいです。冒頭に挙げたアマチュア無線技士の免許証もどこにあるか・・・
そこで、こういった紙の証明書をデジタル化して利便性をアップデートしようという取り組みの一つがオープンバッジです。
オープンバッジは情報が埋め込まれたデジタルの画像データとして提供されます。あるコースを終了したり資格が授与された際に、この画像データであるオープンバッジが併せて発行されます。このオープンバッジの画像をメールで送ったりSNSで公開したり、バッジの管理サイト(Badgrなどが有名です)で管理することで自分がこれまで獲得したオープンバッジをまとめることができます。このオープンバッジはIMSにて制定されている国際標準規格ですので、どのシステムで発行したものであっても等しく取り扱うことができます。
そのオープンバッジで示されたスキルや資格が正しいのか?オープンバッジではその検証を行うこともできます。オープンバッジには発行元の情報が記載されており、その発行元のサイトに記録された情報と照合することで、そのオープンバッジが正しいものなのかを示すこともできます。
オープンバッジの技術的メリットとして・・・
- デジタルデータのため発行・配布・保持が容易
- 国際標準規格のためさまざまなシステムで発行されたバッジを同等に取扱可能
- なりすまし、不正検出が可能
が挙げられます。
利用者としても・・・
- 紙の証書は管理が大変だけれど、デジタルだと簡単に一元管理できる。
- 学習修了してオープンバッジを獲得すると達成感がある。
- 卒業や資格取得のオープンバッジを公開することでSNSでアピールできる。
- 自分の保有するオープンバッジを公開することで、自身のスキルの全容を伝えることができる。
というようなメリットがあるでしょう。今風にいうと、紙の卒業証書や成績証明のDX化やペーパーレス化といったところでしょうか。
これらのメリットに注目し、アメリカではIBM、Microsoft、OracleなどのITベンダーだけでなく、ウォルマートやスターバックスなどの非ITの企業でもオープンバッジの導入が進んでおります。日本でも今後広まってくるのでは? と想像します。
このオープンバッジ、どのような目的で発行するか・・・ 下記のようなシーンが考えられます。
- 学校の卒業証書として ・・・ 従来は紙で渡していた大学などの学校の卒業証書として従来の紙に加えてオープンバッジで発行することで、卒業を証明できます。履歴書にオープンバッジを利用するようになると、履歴書を受け取った側が卒業校などの経歴の正しさを容易に確認することができるようになるでしょう。
- 資格取得の証明として ・・・ 世の中にはさまざまな資格がありますが、資格の発行団体がオープンバッジを発行することで、資格の取得を証明できます。学校の卒業証書同様、経歴の正しさの確認に用いられるだけでなく、これら資格取得者がオープンバッジとしてSNSなどで公開することで、その資格を広く知らしめるパブリシティとしての効果が見込まれます。
- 学校の単位やコースの修了の証明として ・・・ 学校で単位を修得したり、あるいは単位の集合体であるコースを修了した際に、それを証明するものとしてオープンバッジを発行できます。従来はあまり紙の証書も発行していなかったと思いますが、コースとして明示し修了した際にオープンバッジを発行することで達成感も得られると思います。
- 企業内資格の発行 ・・・ 企業内でeラーニングや集合研修、課題をクリアした人にオープンバッジを発行することで、スキルの見える化が行えます。商品知識を理解しているか、接遇マナーが会社の基準に達しているか、マニュアル通り作業できるか・・・ 企業内にはさまざまなスキルセットがあり、これらが暗黙知として埋蔵されています。一つ一つを拾い上げ、修了条件を定めてコース化し、修了者にオープンバッジを発行することで、暗黙知を形式知としてまとめあげることができます。さらに組織内全体のスキルを把握した上で、適切な教育を行ったり人員配置も行えることでしょう。
さまざまなシーンでオープンバッジが発行でき、それぞれのメリットも見込まれることがおわかりいただけたかと思います。
さらに、今後、オープンバッジを利用したさまざまなサービスも誕生すると言われており、オープンバッジの活用シーンが高まることが予想されます。例えば企業内にて、従業員のスキルをオープンバッジで見える化し、人事評価に活用したり、適切な人員配置のデータとして活用するといった、いわゆるタレントマネジメントやHRMの領域をより正確性を期して行うことができるようになるでしょう。人材採用や転職の市場でも、求職者のスキルをオープンバッジで登録しておくと、そのスキルセットに適した企業をマッチングすることもできるようになるかもしれません。
単に紙の証書をペーパレス化して便利になったというだけでない、デジタル化したことで初めて実現できる世界があるように思います。これがDX化の第2のメリットにして本質的なところです。デジタル化したメリットという第1の価値だけじゃない、新たなに創造される価値・・・ こういうのが本来のDXということなのでしょう。
さて、こんな便利なオープンバッジですが、弊社でも提供しております。
eラーニングのパッケージソフトウェアKnowledgeDeliver(ナレッジ・デリバー)では昨年末にリリースされたバージョン6.14以降から標準搭載されています。また、ASP版ナレッジデリでも提供を開始しました。いずれも無料で提供させていただきます。
パッケージソフトウェアやWebサービスの世界では優位性のある機能を持つことでよりアピールするという考え方もあるかと思いますが、オープンバッジはそういう競争軸に置かれるべき機能ではなく、今後のeラーニングシステムや教育アプリケーションのほとんどが有するコモディティ化された共通の機能になると思っております。そういう意味で今から1人でも多くの方がご利用いただけるよう、標準搭載・無償提供とさせていただきました。
ナレッジデリはASPサービスなので自動的に最新版にアップデートされるので今の状態でお申し込みさえいただければご利用いただけます。
KnowledgeDeliverをご利用の方は、お使いのバージョンをご確認いただき、6.14以前のバージョンですと利用できませんので、6.14以降にバージョンアップしてご利用ください。また、バッジの認証サーバの都合上、弊社のクラウドサービス上に設置されたKnowledgeDeliverのみ対象となります。オンプレミスや他のクラウド環境に設置されている場合オープンバッジはご利用いただけませんのでご注意ください。
また、無料とはいえ、お申し込み手続きが必要になります。ご興味ある方は担当コーディネータまで、お問い合わせいただきお申し込みください。
今後普及が見込まれるオープンバッジ、なにせ無料でご利用いただけますので、ぜひこの機会にご導入をご検討いただければ幸いです。
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