前回は『AI/生成AIにより多彩な教材・副教材を生成、Teacher’s Copilot(その1:マルチ教材)』というタイトルで、弊社の提唱する生成AIによる教材制作の支援としてどういうことが実現できるのかを紹介しました。
今回はその第二弾ということで、【サポート】と【トレーニング】について説明いたします。
目次
Teacher’s Copilotとは
前回の記事をご覧の方はすでにご存知かもしれませんが、改めてTeacher’s Copilotについて説明いたします。
昨今、急速に進化し活用も進んでいるChatGPTに代表される生成AIやAIの技術を活用し、先生や教材制作者をアシストし、さまざまな教材や副教材を生成すると言う点に着目して考えたのがTeacher’s Copilotです。
メインのパイロットである先生・教材制作者に寄り添い、教材制作や指導・サポートにおいてさまざまな支援を行うことを主眼においた構想です。
Teacher’s Copilotには3つのコンポーネントから形成されております。1つの教材をもとにさまざまなバリエーションの教材を生成する【マルチ教材】、学習者一人ひとりに適切なサポート・指導を行う【サポート】、そして先生になりかわって学習者にトレーニングを実施する【トレーニング】です。
先生が作成したテキストや映像などの元情報をもとに、さまざまな教材・副教材を生成したり、サポートやトレーニングを自動で行うことができる、Teacher’s Copilotはこのような構成になっています。
前回はMulti-Contents、教材や副教材の生成について紹介しましたが、今回は残りのコンポーネント、【サポート】と【トレーニング】について紹介いたします。
【Training】AI発話訓練(トレパ / トレパJ)
AI発話訓練として、英会話トレーニングツールの『トレパ』、日本語会話トレーニングツールの『トレパJ』は以前から提供していたものです。
まず英会話トレーニングの『トレパ』に絞って紹介します。
従来、英会話の発話をトレーニングしようとなると、英語ネイティブの人との会話を通して、会話やセンテンス、発音などを学ぶことでしょう。ただ、ネイティブの先生と会話する機会を常に用意するのは大変ですし、(日本人は特になのかもしれないけれど)あまり得意じゃない言語を、そのネイティブの人に向かって話すことに抵抗感がある人も多いようです。そこで、この本来はネイティブの人が行う役割をAIで行おうというのがトレパです。
トレパは英語のトレーニングツールで、パソコンやスマホに向かって発話すると、AIが判定してくれるというものです。概要は下記の映像をご覧ください。
このように、トレパを使うと英語の発話訓練を人を介さずAIがパートナーとなり発話トレーニングを徹底的に行うことができます。
『トレパ』は英語の発話トレーニングツールで、小学校、中学・高校などの子供の英語の練習に適していますし、社会人向けとしてはインバウンドの海外の顧客に接客をするような職種の方々への発話トレーニングなどにも適しています。
この日本語版が『トレパJ』で、日本語の発話トレーニングを行うことができます。海外出身の方向けに日本語のトレーニングを行ったり、飲食業など接客が必要な外国人労働者の日本語トレーニングでご活用いただけます。
弊社がウズベキスタンで展開する私立大学JDUでも活用され、ウズベキスタンおよび中央アジア全域の日本語弁論大会でも優秀な成績を収めることができました。
何度も繰り返しトレーニングしてもAIは嫌な顔ひとつせずに対応してくれます。英会話トレーニングツールのトレパをご活用いただいている学校さんで授業の様子を拝見すると、生徒さんたちはそれぞれ離れてこっそりスマホに向かって練習しているのが印象的でした。
【Support】対話型トレーニング(トレパAIチャット)
上記のトレパは決まった定型の文章を正しく発音するためのトレーニングツールですが、実際の会話のシーンでは文章も自分で考えて発話しなければなりません。
そこであらかじめ設定したシーンに従って生成AIが適切な受け答えをしてくれるツールが『トレパAIチャット』です。
上記の例は、「レストランで食事をしてみよう」というシーンで、学習者はお客さんとして発話します。学習者の発話に対して自然な受け答えを音声で返してくれます。こうしてそのシーンでの自然な会話を行い、内容が適切か、文法的に誤った表現をしていないかを判定してくれます。
トレパ/トレパJは、決まったセンテンスを正しく発話することをトレーニングするツールですが、トレパAIチャットは、決まったセンテンスではなくシーンにあった適切な会話を行うことをトレーニングするツールです。
生成AIを組み合わせると、このような高度なやり取りもできるようになりました。
【Support】AIチャットによる自動サポート対応
生成AIの力をサポートに活用している例です。受講者のサポートとして電話のコールセンタやメールによるQA対応、チャットシステムなどを運用することがありますが、ここにAIチャットを適用した例です。
あらかじめ運営ノウハウや教務的内容をチューニングした生成AIをベースに、テキストチャットで受講者からの問い合わせに対応するというものです。
このチューニングや想定問答の作り方にちょっとしたコツがあったりするのですが、すでにお客様にも提供している機能で運用レベルに達していると思います。ご興味ある方はぜひお試しください。
【Support】IRTエンジンによるアダプティブ
以前の記事でも紹介した機能です。IRT(項目応答理論)を活用し、推定学力値の算出に利用するだけでなく、その人の推定学力に合った難易度の問題を自動調整し出題するというものです。
演習問題に取り組むとして、あまりにも難易度の高いものばかりを出題しても解けずに意味がなく、簡単過ぎてもスキルアップにはつながりません。そこでIRTを使って、その学習者に適切な難易度の問題を出題するのです。
これは学習者に適切な教育素材を提供するアダプティブ・ラーニングでよく取られるルールベースの仕組みとはまた違った観点で学習効果や学習の満足度を得られるアダプティブの手法だと思います。
Teacher’s Copilotがもたらすこと2
今回はサポートとトレーニングという観点でTeacher’s Copilotの機能について説明しました。
このサポートやトレーニングという活動は、先生やメンターの方々が学習者一人ひとりに向き合って支援や指導を行っている教育活動で、手間はかかるものの学習者のスキルを引き上げ教育効果を高めるためには必要不可欠な教育活動です。
Teacher’s Copilotは、学習者一人ひとりに寄り添ったサポートやトレーニングを属人化だけに委ねず、生成AIなどの力を借りて、先生方のノウハウをより幅広く展開することを目指しています。
英語のネイティブの人になり変わってAIが英会話のトレーニングの相手を務めたり、運用ノウハウをお持ちのサポートセンターのベテランの人の知恵を生成AIが学んで適切に自動サポートを行なったり、学習者の実力を見極めるベテランの先生のように適切な学習をナビゲートしたり・・・
こういうベテランの先生やメンターが行なっていることを自動化し、人によるムラなく均一な品質で多くの学習者に高度なサービスを提供できるのが大きなメリットになることでしょう。
これらTeacher’s Copilotをお試しいただくことも可能ですので、ご興味ある方はお問い合わせください。
おまけ
今日は2月14日、バレンタインデーです。
ジャズ好きとしては、”My Funny Valentine”という曲をふと思い出します。バレンタインという恋人の名前とバレンタインデーを掛けた曲で、ジャズとしてはいくつかの有名な演奏があります。
チェット・ベイカーがトランペットを吹き、アンニュイな歌声で歌い上げる演奏がよく知られていますが、私はマイルス・デイヴィスのCookin’というアルバムに収録されている演奏が一番好きです。
下記の演奏は、マイルスのCookin’の演奏をかなりフィーチャーしている演奏で、テーマ部分は、ほぼマイルスのオリジナルそのままです。(アドリブ部分は私が適当に吹いているのですが、使用している楽器はマイルスが使っているマーティン社のコミッティというトランペットで、ハーマンというアルミのミュートをつけており、かなりオリジナルの演奏と近い構成です)
素敵なバレンタインデーをお過ごしください。