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「AIリテラシー」はこれからの社会の必須スキルとなるか?③ 「そこにAIはあるのかい?」

大雨。皆さんは大丈夫でしたか? 多くの方が犠牲になっているニュースを見ると、心が痛みます。

阪神大震災の時には20歳で実家が全壊した岡田です。

こういう災害の時こそ、しっかり経済活動しようと思います! 直接的な支援もあるでしょうが、日本全体で一人ひとりが頑張って生産性をあげることも、まわりまわって(間接的)支援になると思うんです。まず、目の前のことを一生懸命! 頑張っていきましょう!

 

そんな中、自分のレベルアップも兼ねて、数学の勉強会に行って参りました。

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そこで学んだこと

知っていることでも、みんなで勉強したり、リアルな場だと理解が深まる

ということでした。読書だとマイペース過ぎて、なんとなくの字義の理解にはなりがちです。そこに「質疑応答」があったりすると、途端に頭が働きだしますね。

なんとなくの理解が「整理」されていきます。自分の頭に負荷を掛けて理解を深めたい場合には、リアルな勉強会もいいですよ!

デジタル・ナレッジでは、いくつかセミナーを用意しています。https://www.digital-knowledge.co.jp/archives/category/event/

是非、みんなで今後のビジネスについて考えていきましょう!

 

AIリテラシーを考える…ってことで前回まで2回にわたって徒然なるままに書きましたが、今日は本質的なところについてまとめたいと思います。

  1. AI導入のポイント
  2. 業務フロー整理のための方法論
  3. 結局、AIリテラシーって何?

 

1.AI導入のポイント

前回のブログ(https://www.digital-knowledge.co.jp/blog/archives/3444/)でも書きましたが、AI導入のポイントは、3つです。

要素

  • 業務・学習の「どの部分」をAI化するのか決める
  • 業務・教育ノウハウをもとにしたデータ・ルールの準備
  • 検証とチューニング

詳しくはセミナーに参加してお尋ねいただくとして、重要なのは「業務」「学習」を細分化することです。

AIに何ができるかということを考えたり、情報収集することも大事です。しかし、もっと重要なのはその前にあります。業務や教育を改善するために、まず現状の業務フローの整理をすること、それを細分化して何が課題となっているかを見極めることができてはじめてAI導入(もっと一般的に「支援技術の導入」)の検討段階に入れます。

ですので、AI導入という話題が出てきたら、それを良い機会として、自社の業務フロー・教育フローを見直してみてはいかがでしょうか。

 

2.業務フロー整理のための方法論

とはいえ、業務フローを客観視するという行為はカンタンではありません。

教育や学習もそうです。例えば、教師は「カリキュラム」や「教案」といったものを授業の前に準備しています。「どんな資料を使うのか」「生徒たちの授業前の状況(理解度・学習進捗・心身の健康度など)」「授業で利用できる機材・環境」「今回の授業の要点」「要点に至るまでに考えさせたいこと」「今回の授業のゴール」など、表現は様々ですし、要素も状況によって変わるでしょうが、細分化して整理することで、教育の精度があがります。

私も教育業界にいた経験から、いつも、教案づくりに腐心していました。研修も、主に教案づくりですしね。

でも、意外とそれ以外の業務については細かく整理する機会って少ないなと思います。

特に無意識に行っていたり、ルーチン化している業務、社内風土を客観視するためには、「外部の目」が必要でしょう。

「外部の目」を取り入れるために簡単にできることが3つあります。

  • 外部の研修にスタッフを参加させる

  • コンサルタントを雇う

  • eラーニングを行う

一つ目は、多くのスタッフを外部の有益な研修に参加させることで、第三者的な視点を獲得させ、それを内部へと持ち込むという方法です。管理職研修などでよく使われている方法です。

残り2つは、外部の人間を社内に入れるという方法です。コンサルタントについては説明不要でしょう。コンサルタントとは立場が違いますが、広報・ブランディングのプロの方を入れることで外部の目が手に入ることもあります。

でも、三つ目が「eラーニングって?」と疑問をもった方もおられるでしょう。

eラーニングに限ったことではなく、「研修設計」や「サービス設計」ってクライアントの「やりたいこと」のヒアリングから始まって、ラーニングの結果として業務改善につなげていくようにしなければなりません。この過程こそ、業務の細分化・整理に関わってきます。一般常識やビジネスマナーの研修なら別ですが。

また、暗黙知になっている業務ノウハウをインタビュアーを介してコンテンツ化するサービスもあります。(https://www.digital-knowledge.co.jp/product/interviewer-service/

 

そして、eラーニングであれば対面研修以上にメリットがあります。それは「データがたまる」ということです。

AIが効果的に社会で役立つためには、データが必要です。これらのデータはどのように集めますか? 現在、通信会社やインフラに関わるところはデータを多く所有しています。しかし一般企業が多くのデータを揃えるには他の手法が必要です。

eラーニングであれば、「社内研修」としての役割を果たしながら、「データ収集」という今後のAIなどによる業務改善につなげることができます。一石二鳥ですね。

理想的なのは、(1)「業務改善を意図したeラーニング設計」→(2)実施→(3)分析(https://www.digital-knowledge.co.jp/product/kd/option_kd/analytics/)→(4)AIを用いた業務改善・サービス構築の検討

という流れです。

 

3.結局、AIリテラシーって何?

3回にわたって書いてきましたが、結局は「AIリテラシー」って何でしょう?

ここで性急に定義づけをすることは避けたいと思います。(ヲイ!)

 

でも、重要なポイントは見えてきたのではないでしょうか。

元々、私がこの課題を考えるきっかけになったのは、教育業界の方が「AIで添削ができる」と(現状の技術を知らずに)さらっと発言をした、ということでした。くり返しになりますが、「添削」という業務の中には一連の過程があります。本当に添削にこだわっている方や、添削業務に苦しんでいる人ほど、その大変さを重視します。

AI導入を簡単に決めるのではなく、自らの業務に誇りを持ち、愛を持っているからこそ、しっかり見えてくることってあると思うんですよね。

 

ネットでも、「これ、AIの技術なんて関係ないじゃん!」というものにも「AI」という名称がつけられてることがよく指摘されています。そういう時には「そこにAIはあるのかい?」と問い続ける姿勢が必要です。

また安易に「AI導入しよう!」となる前に、自らの業務について「そこに愛はあるのかい?」と問い続ける姿勢。

これらの姿勢は意外と相通じるものかもしれません。これらの姿勢がAIリテラシーの重要な部分だ、という指摘で、このシリーズは終えたいと思います。

 

 

【岡田のセミナーのお知らせ】

7月12日@秋葉原『《初等中等教育》事例から学ぶ「教育×AI」導入セミナー』https://www.digital-knowledge.co.jp/archives/16268/

 

7月25日@秋葉原『《初等中等教育》事例から学ぶ「教育×AI」導入セミナー』https://www.digital-knowledge.co.jp/archives/16272/

 

8月2日@インテックス大阪『実例で学ぶ!「教育×AI」の現在 ~今日から導入できるAI入門~』https://www.digital-knowledge.co.jp/archives/16376/

 

 

「AIリテラシー」はこれからの社会の必須スキルとなるか?② 展示会でAI導入について尋ねてみた

汗だくになる季節ですね! 今日は帰り路に、冷感素材のタオルケットを買いに行こうと心に決めている「研究員・岡田」です。

 

そんな暑い中、東京・有楽町にある国際フォーラムに行ってきました。ちょうど、「ラーニングイノベーション」(http://expo.nikkeibp.co.jp/li/2018/)と「ヒューマンキャピタル」(http://expo.nikkeibp.co.jp/hc/2018/)という展示会が行われており、その中でのいくつかのセミナー聴講とブース展示を見に行きました。

もちろん、 弊社デジタル・ナレッジもブース展示およびセミナーをやっておりますので、お気軽にお越しください!

 

見て回ると、やはり多くのブースでAIという言葉が掲げられていますね!セミナーもAIはいくつかあります。

個人的に気になったのは、「AI秘書」!! 橋本環奈ちゃんがイメージキャラクターに選ばれています

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※こんな秘書が欲しいですね!

 

さて、真面目な話! こういう展示会で「弊社のサービスではAIを用いて~~」という口上が多く聞かれます。

そこで「へ~!AIが使われているんだねえ」と素朴に反応するのも良いのですが、ちょっとAIリテラシーを行使してみましょう。

 

ブース担当者に次のことを訊いてみてください。

・業務の中の、どの部分をAIが担っているの?

・AIのどのような技術を使っているの?

・参照されるデータはどのように取得しているの?

・これはAIを使わなくてもできる業務ではないの?

本来、このあたりの事柄は、AIを導入する際に必要になってくる要件です。

後で、AI導入のポイントについて整理しますが、これらの質問に素直に応えていただけると今後のビジネスに信を置けるのではないかと思います。

2例、私がある会社さんのブースで質問したことを挙げます。

 

【A社さん】

人事異動の際の部署とスタッフのマッチングをAIで行うサービス。

人事異動

(岡田)「マッチングの際に、何かが基準になっていると思いますが、そのデータはどのように収集していますか?」

(A社)「自己申告のスキルチェックの項目を集めます。スキルや関心などです。」

(岡田)「マッチングの根拠は?」

(A社)「部署ごとのハイパフォーマーの方をモデルにして、その方々がどのようなスキルが高いのかを元に、それに近い人をマッチングします。」

(岡田)「部署ごとに業務の特質が違うと思いますが、例えば技術部の人が営業部に異動となる際、技術部にいた在籍期間で取得できるスキルデータから営業部にふさわしいということは言えるのでしょうか?データの偏りはないですか?」

…といった具合です。名誉のために書いておきますが、この後もしっかりお答えいただきました。ただ、「AIがマッチングしている」というよりも、人事異動の意思決定をする担当者(人間)のために、社員・スタッフのスキルをクラスタリングしている、という技術であり、「人事担当者支援」であって、AIがジャッジしているわけではないですね。誤解は受けやすいかと思いました。もっと言うと、タグ付けされている項目数が少なければ、普通にExcelでクラス分けすることでも対応ができます。大企業やこのタグが多くなってきたり、eラーニング(社内研修)や普段のデジタルデバイスの利用や業務などの「学習履歴」「業務履歴」「行動履歴」が多くなった場合には、効果を発揮するでしょう。

とはいえ、人事ですので最終的な判断はやはり責任者が責任もってやるべきですね。

 

【B社さん】

営業先との打合せの中で、それぞれの発言がどのような文脈・論理構造になっているかをAIが可視化するサービス。

人事

(岡田)「どのように会話したらいいかをAIが教えてくれるのですか?」

(B社)「いいえ。AIが教えてくれるのではなくて、AIが会話の文脈や論理構造から会話のフローを見える化してくれます。」

(岡田)「用意するデータは映像ですか?」

(B社)「映像でもいいですけれども、音声データがあれば大丈夫です。」

(岡田)「見える化の際に、どのような機能をAIは担っていますか?」

(B社)「音声から二人の会話をテキスト化します。また、テキスト化したデータから、会話フローをタイムライン上で分類します。」

(岡田)「ということは、①AIが発話者を特定、②音声をテキスト化(Speech to Text)、③キーワードなどのテキストマイニング機能で発言をタグ付け、ということをAIがしている、ということですか?」

…といった感じです。当然、この後も質問をさせていただきました。最後の岡田の発言からも分かるように、このサービスを成立させるためには、AIの機能を少なくとも3つは利用しているわけです。疑問も残ったのも事実ですが、ちゃんと答えてくれるところに好感は持てました。ただ、デモができない…というのは…

社内研修の一部をこのサービスが担う、という「部分的支援」であることも誤解されないようにしなければならないですね。

 

このように、展示ブースで一方的にプレゼンしてもらうのではなく、自ら質問していって、自分の頭で理解するというのも楽しんでみてください。

では、最後にAIを導入する時のポイントを整理しておきます。

 

当然なのですが、教育であれ研修であれ業務であれ、従来人間が行ってきたことをAIが行う場合、その業務を「再現できる」ことが重要です。「AIが俳句を詠んだ」とか「AIが絵を描いた」ということがニュースになりますが、再現性がなかったり、社会的にどんなものが提示されても問題が起こらないことやエンターテインメントであれば、AIがどのようなものをアウトプットしてこようと、リスクにはなりません。再現性がなかったり、たまたまであっても、それを面白おかしく笑えるのであれば問題はありません。

しかし、ビジネスや人の育成に関わることとなると、「たまたま一致した」というようなアウトプットではリスクがありすぎます。AIがブラックボックスであり、中での演算が良く分からなくても(本質的には人間の頭の中もブラックボックス)、一定の再現性のあるアウトプットができれば活用ができます。

そのためには、以下の点は必須です。

要素

※弊社セミナーでの資料の一部

 

?1.業務・学習の「どの部分」をAI化するのか決める

以前のブログでも書きましたが、例えば業務に「英文添削」というものがあったとして、それがどのような部分から成立しているかを明確に細分化した上で、AIに任せる必要があります。

添削を細分化すると、その部分として「評価」があります。評価の軸も多岐にわたります。内容・語彙・文法など。

私たち人間は何気なく業務を遂行していますが、一つ一つをつぶさに見ると、結構多種の能力や機能を使っていることが分かります。プログラミングやある機械をつくる際に、それはより明確になります。例えば、私たちがトイレメーカーだとして、温水洗浄便座を作っているとしましょう。トイレのその便座にどんなセンサーを付けて、どのように反応するように設計するでしょうか。「用を足す」という一言、「洗浄する」という一言には、それをしっかり再現するための細かいフローが連続的にかかわってきます。その中のどこにどんなセンサーを割り当てるのかと同様に、自社サービスや業務を細分化して割り当てるという整理をしてみましょう。

 

2.業務・教育ノウハウをもとにしたデータ・ルールの準備

意外なことに、AIが動くためには事前にデータがないといけない、ということが知られていません。AIは確かに学習(データからルールを抽出)しますが、学習機会がないのに何も考えられないのと同様、最初に学習するためのデータが必要です。できれば、ルールがあるとより確実に動きます。

どんなデータでもいいのかというと違います。人間によってなされていた業務をAIに任せるのであれば、まず他の人間でも再現ができるようにノウハウを明確にする必要があります。特定のハイパフォーマーにしか再現できないことであっても、その人が一定のノウハウを持っているのであれば、それに基づいたデータを用意し、それをAIが再現できるようにチューニングすることができます。

その意味で、AIについて知る前に、自らの業務についてより深く知り、ノウハウを明確に磨くことこそ必要なのではないかと思います。数学学習用AIをサービス化しているCOMPASSの神野社長がおっしゃっていましたが、「教育メソッドが教師の中で確立していなければAIはできない」。その通りだと思います。

 

3.検証とチューニング

実際にAIを導入しても、導入したら終わりではありません。新入社員でも同じですね。採用して終わりではありません。育てること、本当に役立っているのか評価することは継続的に必要です。

 

もし、御社も『AIを導入できないか・・・?』とお考えの際には、AI開発会社に相談するのもいいのですが、eラーニング会社に相談してみてもいいかもしれません。一つ一つの会社・組織に合わせたeラーニングを提案してきた実績から、御社だけの業務フローを客観的に細分化して、提案ができるかもしれませんよ。

「AIリテラシー」はこれからの社会の必須スキルとなるか?① 身体がないことって重要なの?

※このブログを書いているのは、7月2日(月)の午後です。

さて、今夜は決戦の日! 強敵ベルギー相手に日本代表がどこまで自分たちらしい闘いができるのか、楽しみですね!

本田圭佑と同じ誕生日(もちろん年齢はちがう)で、岡田武史とは同じ名前の読み(もちろん本人ではない)の「研究員」岡田です。

 

さて、前回のポーランド戦では、終了間際の日本代表の戦い方が物議を醸しました。

何にでも当てはまりそうですが、ある見方があれば、別の見方もある。解釈や認知・認識には個人差があります。

今日はそんなお話から。

 

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さて、この画像を見て、「何」だと思いますか?

 

パンダ?

ぬいぐるみ?

 

普通はこのように認識すると思います。

実際は、パンダのカタチをした「椅子」です。

 

僕が座ろうとすると、妻に「体重オーバー!!!」と叱られるので、オットマンとして利用しています。(汗)

主婦怒り

 

 

ここで「~~として」という表現を使いましたが、ここが今日のポイントです。

 

人はある物を認識するときに、「~~として」認識します。

ある種の「関係性」が前提となっています。

 

例えば、ある人物を周囲の人に紹介する時にも、「新入社員として」「友人として」紹介するでしょうし、すれ違った人に関心を寄せる時も「イケメンとして」などの認識をしています。

 

この「~~として」という認識は、AI(人工知能)が学習していけるものもあれば、非常に難しいものがあります。

 

最近感動したのは、パンの種類を一瞬で見分ける「AIレジ」です。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1705/15/news081.html

 

メロンパンひとつとっても、毎日違ってくるものです。色、形。

また、パンを袋に入れてバーコードやQRコードを貼り付けてしまえばいいのかもしれませんが、これでは手間もかかります。

パンを裸のまま見て、「これは〇〇…180円。え~っと、これは△△だから150円」と、従来は店員さんは認識していました。

これを、AIでやってしまおう!というのです。

メロンパンのデータ

まず、様々な画像から、メロンパンのデータベースを作成します。そして実際にレジに置いたメロンパンが、データベース上のそれぞれのパンにどれほど特徴量が類似するのかを判定する、という仕組みなのでしょう。

つまり、AIは対象のパンを「メロンパンとして」認識したわけです。

 

一方、このような認識が上手くいかない(あるいは「難しい」)場合が考えられます。

 

例えば、最初のパンダの「椅子」。パンダであることは覚えることができるでしょう。

問題は、「椅子として」認識できるか。

 

先ほどのAIレジの場合は、トレーに載せられているものが「パン」であるというフレームが前提されていました。

でも、いざとなったら、人間はパンを「武器として」使うこともできます。(例えば、暴漢がいきなりパン屋に現れて、それを撃退するためにフランスパンで戦う。)

フランスパン

この創意工夫はAIには難しいかと思います。

 

理由は、「AIに身体がないから」です。

 

例えば、椅子も、4本脚の椅子もあれば、お風呂の椅子や丸太のような椅子もあります。

これらを人間が「椅子として」認識するのは、「座る」という身体的な動作に椅子が関連付けられるからでしょう。

(さきほどのフランスパンで戦う例では、「振り回す」という身体的動作にフランスパンが関連付けられた。)

座る

このようなAIと人間のちがいの一つは、「身体」の有無です。

身体がないということは、動作や、「左右」などの位置関係の概念も異なってきます。

 

その状況で、人間にとって当たり前すぎることが、AIにとってはかなり難しいこと。それを知って、AIにできることをデザイン・設計すること。これらは、今後、AIが社会の中で活用される際に必要になってくるスキルでしょう。

先日、国立情報学研究所(https://www.nii.ac.jp/)の山田誠二教授(前・人工知能学会会長)は『AIリテラシー』とおっしゃっていました。これらのリテラシーをいかに育成していくかが社会的課題であるとも。

これは、AIのプログラマーや開発者だけに必要なものではありません。AIがどのような使われ方をする方がいいのかを考えることは、コードが書けるということとイコールではありません。映像講座になぞらえれば、「どんな講座をつくったらいいか」を考えることと「映像編集ができる」こととは異なります。

 

シンギュラリティも物議を醸していますが、これも様々な物の見方が関わりますね。

まずはAIについて、どんな製品があるのか、どんなことに使えそうなのか、どのようにサービスを作ればいいのか、知ることからスタートですね。

 

デジタル・ナレッジでは、「《初等中等教育》事例から学ぶ「教育×AI」導入セミナー」(https://www.digital-knowledge.co.jp/archives/16268/)を今月も開催いたしますよ!

気軽にお越しください。

 

 

「緑色の目をした猫を飼っているアメリカ人が自転車で逃げた泥棒を追いかけた」をAIは添削できる?

こんにちは!研究員・岡田です。

今夜は、サッカーワールドカップ・ロシア大会で「日本vs. ポーランド」戦ですね! 寝不足必至で、明日はセミナー(https://www.digital-knowledge.co.jp/archives/16261/)です。残席ありますので、当日申込お待ちしております!

弊社の英語AIツールのトレパも、タイムリーな公開コンテンツを用意しましたよ! 子供たちには、こんな身近な英文の方がいいのかもしれませんね。

 

先日、ある方がAIについて講演しているのを拝聴する機会がありました。

もともと教育畑の方で(そこは岡田と同じ)、AIを教育に活用するスタンスでお話をされていました(そこも岡田と同じ)。

 

ところが、やはりAIを論じるときに気を付けなければならない微妙なニュアンスをスルーしていたように思います。

あくまでも個人的意見ですが、ある特定の学問領域について「論じる」ためには、それなりの下調べをしなければならないと思います。学術書を一定量読んだうえでの話なのか、開発担当者から十分にヒアリングした上での話なのか、視点や立場や情報のソースについてはさまざまでしょうが。

その際のAIに対してのミスリードな論点は3つあったと思います。

 

① 強いAIと弱いAIの混同

② ルールベースと統計ベースの混同

③ 教育とエンターテインメントの混同

 

今日は、①について(だけ)書きます。※②③はセミナーで触れる予定。

 

①強いAIと弱いAIの議論 ~やっぱりシンギュラリティや無くなる職業の話題が払拭しきれていない問題~

最近では「シンギュラリティの話題」「いずれなくなる職業の話題」が(いくぶんトーンダウンした印象がありますが)雑誌などで取り上げられることもあり、メディア側の都合での情報が流布しているようにも思います。

そもそも、シンギュラリティという話題は、特定の論者による論であって、決定事項ではありませんし、専門家の中で一致した見解でもありません。しかも技術の進歩についての話です。

職業の話は、職業の中の「機能」が自動化しやすいかどうかについて考察した結果の一つの論であって、ある程度は重なるものの、調査団体によっては結果・評価に差異があります。

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そんな中、教員の方々とお話をする機会がありました。そこで問題となっていたのは、「教育」現場にAIが入り込むかどうか、です。

結構真剣に「教師ってなくなる職業なのでしょうか・・・」と悩んでおられる方もおられました。

 

オズボーンさんの『未来の雇用』では、残る職業の中に「小学校教員」が入っています。興味深いのは、「教員」ではなく「小学校教員」なんですよね。ところが、別の調査では「教員」は無くなる職業に挙げられています。これらの論点は繊細な問題です。職業ベースで語るのではなく、職業のメイン「業務」が自動化できるかどうかという視点で議論しなければならないと思います。

このテーマの議論が錯綜するポイントの一つが、表現の使い方です。「職業」「仕事」「業務」「機能」という表現が無批判に使われる時に、誤解がうまれていますね。また同じ「仕事」という言葉でも、「やりたい(やるべき)仕事」(メインの業務)と「雑務」が混在して使われる傾向にあります。

例えば、立教大学の中原淳教授のブログ(http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/8944)でも紹介されていましたが、教員の多くは「業務改善をして空き時間が生まれたら、またそこに仕事をいれる」と答えているという事実があるようです。ここで「減らした(減らす対象となる)仕事」と「(新たに取り組みたい)仕事」をしっかり区別・整理して調査報告を読まないといけません。そうじゃないと論理的パラドクスのような話になってきます。

 

人工知能の活用に関しては、まだまだ人間のような「意識ある存在」や「汎用AI」の道のりはまだ遠く、せいぜい弱いAIをさまざまな具体的な「業務」「機能」に対して限定的に利用する、というのが現状です。まず状況を知ることですね。(弱いAI、強いAIについてはこちらを参照ください。)

 

しかし、AIの活用の限界について知る前に、「教員不足」「教員の仕事の効率化」という社会的要請もあり、「何とかして教員の業務をAIが肩代わりできないか?」というニーズの方が心理的に勝ってしまっている場合が多々あります。

「え?AIってこんなこともできないの?」という反応をされる方も多いのです。

 

一例だけ挙げておきます。

例えば、自由英作文の添削。これをAIができるかどうか、です。

添削をするためには、生徒の原稿が必要です。

・原稿を受け取る

・生徒が「本来書きたかったであろう内容」を添削者は推測する

・その内容(だと推測されるもの)と、実際の原稿の「表現の違い」を確認する

・「表現の違い」を、語句・文法・語法・意味・文化風習という観点から整理する

・それぞれの観点からアドバイス・提案を行う

・できれば、上記に加えて生徒の学習状況・習熟度を加味する

添削という一言の中に、人間の知能がフル回転していることが分かります。

 

語句や文法の診断くらいはAIでもチェックできる、と思われるかもしれません。確かに、AIを使って取り組みが実際に行われている分野です。辞書があれば十分対応できると考える方もおられるかもしれません。しかし、そう簡単なことではありません。

例えば、「緑色の目をした猫を飼っているアメリカ人が自転車で逃げた泥棒を追いかけた」という文章は、何通りにも解釈ができます。国語の先生であれば、読点の位置を工夫するように指導するでしょう。そうすることで、表現したい状況が制限されていくからです。

ここで、人間であれば、「本来書きたかったであろう内容」を推測するか、生徒に直接「意図を尋ねる」という行動をするでしょう。これをAIに任せてしまおう!というのは、教員の本質的な仕事を自ら放棄することに近いのではないでしょうか。

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教育現場の様々な業務や仕事を整理し、それらを「人がしなくてもいいもの」「人じゃないとできないもの」(本質的な仕事)にちゃんと区分けして、どこから自動化・効率化していこうか…という議論の先に、教育ICT活用やAI活用という論点があります。

じゃ、実際にAIを活用することで教育現場にメリットはあるのか?

 

その答えは、お会いしてお話ししましょう。

 

【デジタル・ナレッジのイベント】

・【6月29日】《初等中等教育》事例から学ぶ「教育×AI」導入セミナー https://www.digital-knowledge.co.jp/archives/16261/

・【7月12日】《初等中等教育》事例から学ぶ「教育×AI」導入セミナー https://www.digital-knowledge.co.jp/archives/16261/

四天王寺高等学校・中学校のオープンスクールで「トレパ」模擬授業が行われました!

お久しぶりです。トレパ「室長」岡田から、eラーニング戦略研究所・主任研究員となった岡田です。今後、「研究員・岡田」を名乗ります。改めて、よろしくお願いいたします。

ところで、6月18日(月)はちょうど私は大阪にいました。妻の実家に宿泊していて、トイレに入ったところで大きな揺れ!阪神大震災を体験していたので、今回の大阪地震の際も記憶がフラッシュバックして少々うろたえてしまいました。大阪の皆さん、大丈夫でしたか?

さて、やはり強い経験(災害など)はその後の人生の場面場面で、さまざまな決断・判断に影響を与えますね。改めて「教育」や「学習」の重要性を感じます。一度インプットされ、強く刻まれた知識は簡単には消えないこと、教育に関わる人間として肝に銘じたいですね。

 

さて、なぜ大阪にいたかというと、大阪の四天王寺高等学校・中学校で6月16日にオープンスクールが行われており、その中で弊社のAIツール「トレパ」を使った英語の模擬授業が行われていたからです。

IMG_1432※晴天!

私もあたかも四天王寺高校の先生であるかのように、腕章つけて立っていました。

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・・・おかげで、ご来場の小6女子の皆さんと保護者の方々に『この教室に行きたいのですが・・・』と話しかけられ、対応するうちに、校舎内をある程度覚えてしまいましたw

 

さて、そんなことをしているうちに、模擬授業がスタートしました。

テーマは「発音」。ネイティブのエド先生に発音のコツを習い、その発音チェックをトレパで行う、というものでした。

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びっくりしたのは、エド先生はほとんど日本語を使わないで英語で説明を続けていくのですが、いくらその英語が分かりやすく丁寧だといっても、それだけでちゃんと行動できる小6生のレベルの高さ!驚きです。

今回は、フォニックスのいくつかのポイントをカンタンなものから難しいものへと3段階でチャレンジしてもらいました。

私立中学校を受験しようとする小学生ですので、

・PCの操作は指示がなくても行える

・発音の診断が悪くても、何度もチャレンジする

というというところで、見ていて感銘を受けました。ちょっと内容は難しかったのですが、四天王寺中学校に入学すれば、「こんなこともできるようになるんだ!」と思っていただけたのではないでしょうか。

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何より感銘を受けたのは、保護者の方々。

私に直接、『このAIってどんな風に動いているんですか?データベースは?』などと質問してくるお父さん。

『この(トレパ上での)発話の診断の数値の読み方ですけれど・・・』と、自ら発話チャレンジしてその評価について質問してくるお母さん。

『これは四天王寺に入学したら、家でも学習できるんですか?』と、もしかしたらご自身も勉強で使おうと思っているのではないかと思えるお母さん。

保護者の方々の関心が高かったのが印象的でした。

教育の世界には「再生産」という言葉があります。バーンスタインという学者が提案していますが、簡単に言うと、保護者の教養・知識・ものの考え方・言葉づかい(言語コード)がお子さんにも「再生産」される、ということです。

保護者の方々が、新しい技術や新しい教育方法に向き合う姿は、何よりお子さんたちの学業へのモチベーションになると思います。

 

学校は同学年のお子さんたちが集まって切磋琢磨する場所です。一方、家でもeラーニングで勉強ができれば、保護者の皆さんがお持ちの「好奇心」もお子さんたちの前で自然と示すことになるのかもしれません。

学びの舞台を学校から家庭へ。それもeラーニングの技術が支えることができる。そんな可能性を感じたオープンスクールでした。

 

四天王寺高等学校・中学校の関係者の皆様。お世話になりました。

 

■四天王寺高等学校・中学校公式サイト http://www.shitennoji.ed.jp/stnnj/

■トレパ公式サイトから、トレパの無料トライアルをお申込みいただけます https://torepa.jp/