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ヒゲこと、株式会社デジタル・ナレッジ 代表取締役COOの吉田がお届けします。 弊社関連の情報だけでなく、eラーニング周辺の話題についても触れます。

eラーニングの受講のピークは?

皆さん、こんにちは。ヒゲです。

からっからの天気が続く東京ですが、そのせいかどうかはわかりませんが、インフルエンザが流行ってます。しかも新型です。去年は大騒ぎしたのに、今年は新型でも「ふーん」で済まされちゃうのですが。
会社のスタッフも何名かかかってしまい、それぞれ一週間ほどお休みをいただいたり、取引先のご担当者もインフルエンザにかかってお休みになられているケースが出てきました。
社内や周りでインフルエンザがこれほど多く発生しているのは今年がはじめてかもしれません。
ただこれだけで「今年のインフルエンザの流行はすごい」と言うのは早計でしょう。
スタッフの人数が増えたり、お取引先様も増えているので、さまざまな人との接触の可能性が以前より増えていることも大きいように思います。
スタッフの人数がn人からm人増加すると、インフルエンザにかかる率が○%増加する
とかいう計算式も成り立ちそうです。今度寝る前に考えてみます(笑)
そんなこと考えるより、手洗いとうがい、そして少しでもおかしいなと思ったらマスクをかける、という自己防衛が有効的ですよね。そして予防接種も。私は今年も予防接種を受けております。おかげで今は(まだ)インフルエンザにかかっておりません。皆様もご注意ください。
さて、今回のお話は学習時間帯やピークについて。
eラーニングの多くは「いつでも、どこでも」ネットに接続して学習ができるようになっています。
業務の合間に手が空いたからちょっと勉強しようとか、
週末に時間が取れたからまとまって学習しようとか、
会社からこの時間に学習するように言われたので学習しようとか、
さまざまな理由からその時間に学習するわけです。
もちろん、いつ勉強していただいても困りはしないのですが、運営者からすると一点、考えなければならない問題があります。
それは、「一番多くの受講者が学習するのはいつか? そして何人が受講するか?」という問題です。
たとえば、千人が登録しているeラーニングと100人が登録しているeラーニングがあって、ただこれだけでeラーニングシステムやネットワークの規模が10倍違うか? と言われると、これだけでは決められないのです。
上記の例でいっても、千人登録されていても、実際に使うのはその中の半分ぐらいで、かつ、同時に10名ぐらいしか使わないという場合もあるでしょうし、
100人だけしか登録してないけれど、授業で全員が使うので、同時に100名が使うという場合もあります。
後者はよりネットワークやサーバ設備を増強しなければならないでしょう。
そう、登録人数だけではなんとも言えないのです。
そこで登場するのが「ピーク」という考え方。そのシステムで一番多くの人が受講するとき、どのくらいの人が利用するのか? というものです。
このピークの予測でサーバの規模やネットワークを決定します。これは費用にも大きく跳ね返ってきます。
では、「このピークはいつ訪れて、そしてどのくらいの数なのか?」
これはeラーニングを設計するときには必ず通る関門です。ここを間違えると、余計な投資をしたり、あるいは「受講できない!」というトラブルが続きます。
この大事な数字をどうやって算出すればいいでしょうか?
答えは一通りではなく、さまざまなケースに応じて検討をしています。
たとえば、ということで、いくつか例示します。
■ピークはいつ来るか?
まず、何にも制限や配慮をせずにeラーニングの受講をしたときですが、たとえば、開始日と期限を下記のように定めたとします。
「この日から受講できますよ」という開始日と「この日までに受講してください」という期限の間に受講期間があり、この期間中に受講者は学習するわけです。さて、あなたならいつ勉強しますか?
一般的な答えを先に言っちゃいますと、ほとんどのケースでは「夏休みの宿題」状態です。一ヶ月以上にもわたる夏休み、宿題もたんまり出ます。遊んでいたいけど宿題(夏休みの友?)もある/宿題もあるけど遊びたい・・・ このジレンマにとらわれ、結局あせって勉強するのは8月30日とか31日とか、ぎりぎりになってようやく本気で取り組むのではないでしょうか。
(『サザエさん』に出てくるカツオ君は毎回夏休みの宿題をぎりぎりに徹夜して家族総出でやるキャラクターですが、これはいささか大げさに表現されているかもしれませんが・・・) 
そういうわけでeラーニングでも、このような受講をすると・・・
上記のように、期限ぎりぎりがピークになります。
特に企業内研修などではこの傾向は顕著です。
「人は結局ぎりぎりにならないと勉強をしない」といえるかもしれません。
■ピークの時間帯
何時ごろピークを迎えるのか?
これは事情によって大きく異なります。
一般的には深夜帯の21時~24時ごろがピークになるケースが多いです。
余談ですが、以前パソコン通信やインターネットのダイアルアップでよく使っていた「テレホーダイ」というサービスがあり、これは深夜23時~翌朝6時まで特定電話に定額で電話がかけられるというものでした。ただ音声通話に使うケースはほとんどなく、多くはインターネットやパソコン通信で利用されてました。そういうわけでインターネットやパソコン通信はこの時間帯(23時~)で多く利用していたので、その名残もあるのか? という説もあります。
まあ一般的には仕事を終えて食事をしたりお風呂に入ったりしてくつろぐ時間が夜遅め、ということなのかもしれません。
ただ、これは万能の考え方ではありません。
企業内で学習する場合には、時間を縛っている場合もあります。どうしても皆さんが同じ業務をしているので学習をする時間が皆さん似通るというケースです。企業内ではよく見られるケースです。
こういった場合は受講シーンを考えて、いつ学習が行われるか、ということを検討しなければなりません。
また、対象年齢によっても異なります。さすがに子供向けサービスでピークが23時に来るということはありませんし、自宅から利用するeラーニングサービスだと授業時間にアクセスが来ることはありません。
もうひとつ、曜日による変動もあります。ある特定のeラーニングの受講状況を曜日単位で見ると、曜日変動が結構大きいことに気づきます。そのeラーニングの特性によっても異なりますが、たとえば土日は意外と少なく週明けが多いとか、あるいはその逆で土曜日にピークを迎えるとか、さまざまです。
このあたりは受講者の特性を分析しないとなんとも言えないところではありますが。
■最大受講率
このピークのときにどのくらい受講するかという受講率(つまり、ピーク時の人数÷全体の人数)ですが、これも事情によって異なります。
全員の行動がある程度決まっている場合、たとえば学校の教室で全員がパソコンに向かって一斉に学習をするのであれば、ピーク時の人数はその利用しているパソコン台数でしょう。また、企業でも「お昼は全員学習するように!」というお達しが出ていたとすると、そのピーク時の人数は相当なものになるはずです。
また、一斉試験で全員がeラーニングに向かって試験をする場合にもピークの人数は膨大になります。
そういう極端な場合は算出しやすく、ちょっと考えれば答えを出すのは難しくありませんが、「どうぞご自由に受講してください」という場合にその率がどのくらいか? というのはちょっと頭を抱えちゃう問題です。
これ、経験則上ざっくり言っちゃいますと・・・ 
消費税の税率ぐらい見ておけば無難」です。
消費税率=昔の3%現在の5%程度
一般的にはこの程度(3%~5%)です。誤差は結構あって、1%を切るケースもありますが、特殊事情がない限り、この消費税率を大幅に上回ることはあまりありません。どんなに多く見ても特殊事情を除けば、まあ上限は10%ぐらいかなと思います。
※消費税率が引き上げられると、このトークが使えなくなるのが寂しいです(笑)
以上、ざっくりしたことを書きましたが、経験則上、ごく一般的なeラーニングのピークは
  • 期限間際の深夜にピークを迎える傾向がある。
  • そのときの受講率は3%~5%程度
ということが言えそうです。
もちろん例外もありますし、上記見ていったように事情によって大きく異なりますので、あくまで参考程度にしてください。
さて、これでピークの算出はわかった、これでサーバやネットワーク規模を決めようと次に進めそうですが、ここからは運用の工夫の話です。
このピークを計算すると、結構大きい数字になってしまう場合があります。
青天井の予算があればいいのでしょうが、たいていの場合は予算は限られてますので、こうして出たピークの数字をまともに受けて導入するのもいいかと思いますが、「運用回避」で乗り切ることが出来るケースもあります。
いくつか例を挙げてみます。
■グループ別受講時間帯振り分け
受講者を複数のグループに分け、それぞれ受講する曜日や時間帯を決めることによってピークを平準化する考え方です。
たとえば、
  • 地域 ・・・ 関東以東 / 関西以西 など、地域で分ける
  • 受講番号 ・・・ 受講番号が数字の場合、末尾の数字が偶数/奇数で分ける
などで、グループ化します。
そしてそれぞれのグループが学習する時期を決めるのです。
たとえば
  • 曜日 ・・・ グループAは月水金 / グループBは火木土
  • 時間帯 ・・・ グループAは午前 / グループBは午後
などと割り振っておけば、単純に計算して、グループ数だけ分散されるので、

グループを2つ作っておけばピークが1/2、3つ作っておけば1/3に軽減されます。

■受講期限調整
受講期限を全員一律同じにするのではなく、人によってずらすという方法です。
これは「ピーク時が受講期限直前にくる」というものを逆手にとったやり方です。
たとえば、同じ学習内容を受講する人をグループA、B、Cの3つに分けて受講期限をずらしたとすると、下記のようになります。
こうすることにより、ピーク時(期限の直前)が平準化されるというわけです。
いずれの方法でも、大してお金をかけず、工夫でピークを平準化することができます。
内容によってこの方法が採れない場合もありますが、特に大規模で導入を検討される方は、この考え方をベースに運用設計いただいてもよろしいかと思います。
そして最後に、これは今回の話とは若干趣旨が変わりますが、たとえばと例を挙げた夏休みの宿題、8月30日、31日で詰め込んで学習して成果が出るか? というと疑問を感じます。
友達や親や兄弟が7月末とか8月の上旬あたりに「ねぇ、早く宿題やったほうがいいよ。少しずつでいいから毎日やろうよ」と言ってくれたら、8月末に苦しまなくて済んだだろうし、じっくり学習に取り組めて成果が出せたような気がしません?
eラーニングでも同じ。放置してピークを期限直前に持ってくるのではなく、進捗に併せて指導を行うことにより、できるだけピークを平準化して日々すこしずつ勉強してもらったほうが受講者のためにもなります。
ピークを平準化するための施策としてだけでなく、学習効果の高い学習を提供するためにも、この指導というのも組み入れることをお勧めします。