Yearly Archives: 2023

IRTを実装しました/様々な成績評価とデジタル・ナレッジ風IRTの活用について

昨年末に弊社の基幹のeラーニングシステム(LMS)をメジャーバージョンアップしKnowledgeDeliver7(通称”KD7″)をリリースしました。このKD7のコンセプトの一つに「インテリジェント&スマート」があります。

従来からのeラーニングは、熟練した教員や教材開発者によってよく練られて構成されたカリキュラムに忠実に従うことで学習効果を最大化するというものですが、ただ学習者の理解度や傾向によって意図したように理解が進まなかったり学習目的からの乖離や学習者の実力と教材のレベルのギャップが生じることが起こりえます。一人ひとりにあったカリキュラムや教材ではなく、全員が同じ教材を利用するのでこのギャップはどうしても生じてしまうのです。

この課題に対してデータ分析やAIテクノロジを活用することで解決できないかというのがインテリジェント&スマートというコンセプトです。代表的なところではアダプティブ・ラーニングと言われる適応型学習があり、学習者の成績や結果をもとに一人ひとりに最適な学習プランを最適化して提示するというものです。

アダプティブの例

このアダプティブを使えば、さまざまな学習者に個別最適な学びを提供できそうですよね。

今回はそんなインテリジェント&スマートの一つの柱であるIRTについて紹介します。

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教育におけるChatGPTとの付き合い方の一考察

GPT

先日のEDIX東京2023は、お陰様で多くのお客様にお越しいただきました。ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。特に弊社の教育テクノロジ研究所 シニアフェローの秦が登壇したブース内セミナー「ChatGPT・AIの教育活用事例」は大盛況でして、連日通路を塞ぐほどの大勢の方にお越しいただき、改めてChatGPTの関心の高さを実感しました。

ChatGPT、関心高いですよね。これまで一部のエキスパートが担っていた知的労働の領域もAIが担うようになり放逐されるんじゃないか? 大学で学生がChatGPTを使ってレポートや課題を書いて提出すると、それを見破ることはできないんじゃないか? 以前のブログ(ChatGPTをeラーニングの教材制作に使ってみたら)でも紹介したように、うまく活用すると教材制作などにそのまま使えちゃうのではないか? などなど、ChatGPTの影響の大きさに、ポジティブ・ネガティブ双方の要素が糾える縄の如く存在し、一つの切り口で語るのが難しいものだと思います。

今回は、私なりの見解から、我々教育ITの世界でChatGPTやBing AI Chat/Bardなどについて、どのように考えているか? 付き合っていこうと思っているかについて書いてみます。この領域は変化が激しく昨日の非常識は今日の常識ということも往々にしてあるので、あくまで2023年5月23日時点の一個人の見解として、参考程度に留めておいてください。
(以下、便宜上、ChatGTPと書いてある箇所のほとんどが、BingやBardなどの生成型AI全てに当てはまります。この文章を書いている2023年5月23日現在においてはChatGPTが突出して有名/人気なので、代表例としてそう記載します)

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EDIX東京2023出展記念、デジタル・ナレッジの出展内容チラ見せ

今日は2023年5月9日、一昨日まではゴールデンウィークで、弊社は有給休暇取得奨励日を含めて9連休でした。連休いかがお過ごしでしたでしょうか?

私は家族で京都を旅しておりました。受験や仕事で京都を何度も訪れているものの、観光として来たことはなく、子供たちは京都には来たことがなかったので、京都初心者コースとして定番の観光地である金閣寺・銀閣寺・清水寺・龍安寺などを訪れました。海外からの訪問客は多かったものの、GW前半でまだ国内からの観光客は少なめで、いずれもそれほど並ばずにゆっくり見ることができましたし、御朱印も並ばずに書いていただけました。これらお寺巡りだけなく京都の碁盤の目の街を歩くのも楽しくて、事前に子供達と覚えた通り名を覚える歌「♪まるたけえびすに おしおいけ」と歌いながら京都の街を散策するのも楽しかったです。

というGWも昨日で明けて、ふと気づくと明日5月10日から教育テクノロジ業界最大のイベントであるEDIX東京が開催されるではありませんか。連休前から準備を進めておりましたが、GW明け、最後の仕上げに社内は忙しく準備しております。

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ChatGPTをeラーニングの教材制作に使ってみたら

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2023年3月時点のIT業界の最大のホットトピック:ChatGPT

今は2023年3月31日ですが、ここ最近のIT業界、いや世間の関心ごとの上位に入るのがChatGPTでしょうか。ChatGPTはアメリカのOpenAI社が開発した人工知能チャットボットです。OpenAI社はイーロン・マスクらが設立し、マイクロソフト社が巨大投資をしたことでも知られています。

GPTはGenerative Pre-trained Transformerの略で、日本語に訳すと「生成的な事前訓練を行なった変換器」みたいな意味で、膨大な数のインターネット上のテキストデータを学習し、事前訓練として自然言語の意味や文法、用例を理解していき、人間と近い言語能力・処理能力を獲得し、英語や日本語の自然言語の問いかけに対して適切に返答するというものです。現時点で無償で使えるChatGPTはGPT-3.5というバージョンが使われていて、さらに進化したGPT-4を擁するバージョンも有償で利用できます。

このChatGPTの何がすごいかって、人間が自然言語(普通に会話したり文章で記述する言語)で文字を入力すると、適切な回答を返してくるということで、たとえばアメリカの司法試験の問題を合格点でクリアできるそうです。(ちなみにGPT-3.5だとなんとか合格、GPT-4だと上位10%で合格する解答を生成するそうで・・・)

例えば学生が学校のレポートで使うとかなり強力で、学生は課題をChatGPTに投げかけるだけでレポートの大部分を済ませることだってできます。試しに私が大学1年生の時「プログラミング演習A」と言う授業で出されたプログラミングの課題、「クイックソートとバブルソート双方をC言語でプログラミングして、それぞれかかった時間を計測しなさい」という課題を与えたところ、文句なしのソースコードを生成しました。ワオ、です。私が今、学生だったら、使っちゃうかもなぁ・・・と学校の先生泣かせではあります。多くの大学でここ20年ぐらいは「ググる、Wikipediaからコピーする」問題に頭を悩ませていたと思いますが、ChatGPTくんはそれ以上に強敵ですし、見破ることも難しいです(一応見破るシステムは提供はされてますが、精度がどの程度なのかは疑問です)。

そんな万能っぽいChatGPTですが、GPT-3.5だと、平然と嘘をつくこともあります。さぞ真実のようにつらつらと嘘を語ったりします。例えばChatGPTで私のことを調べてもらうと、私は1902年生まれの詩人・革命家で、1932年に熊本県菊池郡朝日村で現地の農民に対して土地改革を訴える演説を行なって警官に射殺される、いわゆる「吉田事件」で亡くなったそうです。なんだそりゃ・・・

で、そんなChatGPTをeラーニングの教材制作に使えないか? と言うのが今回のテーマです。

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eラーニングの運用管理・教材制作を現場サイドへ

今日は2023年1月27日、数日前から日本全体を冷凍庫に入れたような寒さが続いており、今日は昼過ぎから東京でも雪が降る可能性も言われています。あらかじめ今年の冬は寒くなると昨年のうちから言われていましたが、実際にここまで冷え込むと暖房の前で縮こまったり、やがて来る立春からの暖かさを待ち遠しく思ったりします。

(もうお正月から随分過ぎましたが)改めまして2023年、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

毎年弊社ではお正月の時期に合わせて「新春カンファレンス」を開催しております。年頭にあたり、弊社が関心を持っていることや、この一年の活動計画について皆さんに共有する場としてお話しさせていただいております。コロナ以前は弊社セミナールームや秋葉原のUDXシアターなどのリアルの場で、直接皆さんとお話させていただいておりましたが、このコロナ禍で数年間はオンライン開催としておりました。今年はやや緩和し弊社セミナールームとオンラインのハイフレックスでの開催でした。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

今回のブログでは当日発表したものの中から、特に運用管理にフォーカスをあて、我々の考える運用管理のご提案、可能性についてご紹介いたします。

【2023年デジタル・ナレッジ主催新春カンファレンス】
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