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eラーニングの歴史

誕生と普及した背景には3つのターニングポイントがありました。

eラーニングは1950年代に登場した「CAI(Computer Aided InstructionもしくはComputer Assisted Instruction)」に端を発し今日まで発展してきたものです。

CAIは“コンピューターを利用して教育を支援できないか”という考えで、米国を中心に世界各国で研究・開発が盛んに行われました。

1990年代、パーソナルコンピュータの普及に従って、CAIは「CBT(Computer-Based Training)」、「WBT(Web-Based Training)」へと発展しました。もともとCBTはコンピュータを用いたトレーニングを指しましたが、明確にWBTと区別化するため、CD-ROMを利用したマルチメディア教育をCBTと呼称することもありました。

そして、2000年代、CBT、WBTから発展し折からのeブームも相まって、「eラーニング」という言葉が誕生することになります。

ここに至る背景には、その歴史を語る上で欠かせない3つのターニングポイントが存在しました。

eラーニングの歴史-イメージ図

パソコンの普及と学習のマルチメディア化」、「インターネットのブロードバンド化」、そして「スマートデバイスの台頭」です。


パソコンの普及と学習のマルチメディア化

パソコンの普及-イメージ図

歴史の始まりは1990年代に遡ります。
当時パソコンといえば、仕事や研究に必要な人、コンピューターに詳しい人など、ごく一部の先進的なユーザーが使う特別なものでした。

1995年、そんな私たちの生活を一変させる出来事が起こります。
Windows 95の発売です。
特別なスキルや専門知識がなくとも手軽に扱えるWindows 95は世界中で爆発的を人気を博し、パソコンは一般家庭にまで普及していきました。

Windows 95パソコンにはCD-ROMドライブが標準装備されていました。CD-ROMには画像や音声といったマルチメディアデータが格納可能とあって、さまざまな分野でマルチメディア化が進みました。教育の領域も例外ではなく、写真や動画を多用した「マルチメディア教材」が作られ、ここにパソコン+CD-ROMで学べるインフラが整ったのです。

当時はこれをCBTと呼称していましたが、これが現代に続く本格的な「eラーニング」の一要素となっています。

インターネットのブロードバンド化

国内で「eラーニング」という言葉が聞かれるようになったのは、2000年頃のことです。
政府が“e-Japan構想”を打ち出したこともあり、これまでの紙などの旧メディアをe化することに注目が集まってきました。

このとき、大きな転機となったのが、
インターネットのブロードバンド化です。

ADSLやCATV、FTTHといった、手頃な価格の大容量インターネット接続サービスが登場し、従来のダイヤルアップ接続とは比べものにならない高速・大容量通信の基盤が整いました。
コンテンツの再生プラットフォームはCD-ROMからWebブラウザ=ネット接続型へとシフトしていきます。

CD-ROM教材などを中心とした学習が「CBT(Computer Based Training)」と呼ばれるのに対し、インターネットなどのWebを利用した学習は「WBT(Web Based Training)」と呼ばれました。

多くのCBTでは学習進捗情報は学習者側の端末で個々に管理されていましたが、
WBTでは学習履歴はもちろん、教材やプログラムまでもサーバ上で一括管理できるようになりました。

CD-ROMは教材やプログラムがCD-ROMに記録され、教材改定やプログラム修正が困難ですが、WBTでは教材・プログラムがWeb上に保存されているため、提供者側は受講管理や教材の更新、プログラムのメンテナンスをコストを抑えながらスピーディに行えるようになり、
受講者側はいつでもどこでも最新の環境・教材で学習ができるようになりました。

インターネットを使った学習は双方向のやり取りも可能にしました。
従来の一方通行型の学びではなく、メールやチャットでのやりとり、双方向のコミュニケーションが可能なライブ授業配信なども行われ、eラーニングはこれまでの集合教育を大きく変革させました。

2000年代前半には、企業内のネットワークの広がりと共にeラーニング研修を導入する企業も出始め、だんだん私たちの生活に浸透していきました。

スマートデバイスの台頭

eラーニングにおける次の進化のステップは、
スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの登場です。

これまではパソコンを使ってeラーニング学習をしている人が大多数でした。
しかしながら2000年代後半より、

  • iPhone(アイフォーン)
  • Android(アンドロイド)

に代表されるスマートフォンなどが登場し

さらに2010年、さらにスマートフォンより大型な

  • iPad(アイパッド)
  • Nexus(ネクサス)※Android端末の一例

といったタブレット端末が登場し急速に普及が進みました。

スマートデバイス-イメージ図

これらのスマートフォン、タブレットを旧来のパソコンと区別し、スマートデバイスと呼称することもあります。

これらスマートデバイスは休憩時間や移動時間などの“スキマ時間”を生かした学習にも最適で、eラーニングの元来の特長である「いつでも・どこでも学習」をさらに後押しするものとなりました。また、直感的な操作性や起動時間の短さ、持ち運びのし易さなどから、学校や塾、企業研修の現場で活用が進み、様々な利用法や成果が報告されています。

このスマートデバイスの流れは学習者のすそ野を広げるのにも役立っています。たとえば企業内研修では従来eラーニングはどちらかというとデスクワーカーのためのものでしたが、スマートデバイスの登場で、接客、整備、調理などの現場で実際の業務手順を習得するために導入が進んでいます。

これらスマートデバイスで学習するスタイルをモバイルラーニングと呼びます。

こうした時代の変化を受け、パソコン、タブレット、スマートフォンといった複数のデバイスをまたいで利用可能なマルチデバイス対応のeラーニングへのニーズが高まってきています。
自宅のパソコンで学習した続きを通勤通学中にスマホで視聴する、といった各デバイスの特性にあわせた学びが可能となり、活用の範囲はさらに広がっています。

これらスマートデバイスの潮流はさらに進み、従来はパソコンでの学習を補完する存在だったスマートデバイス、特にスマートフォンが、むしろ主流になりつつあります。まずスマートデバイスでの学びを前提に考えるという考えは スマホファーストと呼ばれ現在の主流の考え方になっています。

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