オンライン授業・オンライン教育とは?メリット・注意点・成功させるコツ |
更新日:2023年2月27日
ポイント▶ 「学びを強⼒にサポート」「教育格差解消を担う」「教育指導の幅を広げる」
先生が教室で直接授業をおこなう対面授業に対し、オンライン授業はインターネットを介しておこなう授業を指します。オンライン授業の最大の特徴は、時間や場所にとらわれず“いつでも・どこでも・何度でも”授業を受けることができる点です。
オンライン授業は、学校や塾、スクールなどの教育現場において、学びを強力にサポートするツールとして活用が広がっています。学校外の専門人材によるオンライン授業では、従来の授業ではできなかった教育も実現可能です。また、過疎化が進む地域において、あるいは不登校や病気療養等の事情で通学が困難な学習者に向けた、教育格差解消のためのツールとしての活用も期待されています。
矢野経済研究所の調査によると、2021年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比13.4%増の3,309億3,000万円。オンライン教育の市場規模は、2017年より年々右肩上がりとなっています。
個人向けのBtoC市場では、コロナ禍によりeラーニングを活用したことで引き続遠隔教育が定着したきeラーニングサービスに対する需要が高く、ユーザー数が増加しており、今後もオンライン教育サービスの市場拡大が見込まれます。
ポイント▶ 教室と同様の臨場感を味わえる「ライブ配信」 好きな時間に学習、何度も⾒直しが可能な「オンデマンド配信」
オンライン授業・オンライン教育は⼤別すると、リアルタイムに映像データを配信する「ライブ配信」と予め撮りためておいた動画を視聴する「オンデマンド配信」の2つの種類があります。
ライブ配信は遠く離れた学習者にも教室と同様の臨場感あふれる授業をオンラインで届けること(オンライン教育の実施)ができ、学習者は授業が配信されている同時刻にパソコン・スマートフォン・タブレット・大型モニタ等のデバイスを使用してインターネットにアクセスし、ライブで視聴ができる受講形態です。ライブ配信ならではの、学習者参加型の双方向コミュニケーションも可能です。接続は講師と学習者を1:1や1:n(1以上)でつないだり、講師と教室、教室と教室、学習者(個人)と学習者(個人)をつなぐことが可能です。ライブ配信の利用は、例えば「実際に行われている教室での授業を撮影してオンラインで自宅にいる学習者とつなぐ」「ネイティブの発音を学ぶために海外の講師とオンラインでつないで会話する」「沖縄と北海道の教室をオンラインでつないでそれぞれの文化を学ぶ」など様々です。
マイクやチャットを使用し、学習者参加型の双方向授業も可能。
離れた教室同士をつなぎ学習者が交流。
互いの特徴や共通点、相違点などを知り合う。
オンデマンド配信は予め収録した授業の教材を、学習者が好きな時間に好きな場所で、パソコンやスマホなどのデバイスを使ってインターネットにアクセスし、何度でも視聴することが可能な受講形態です。
教材の撮影は、動画教材の場合は教室での授業を据置カメラでそのまま収録したり、テレビ番組のように脚本・演出が施されたものや、クロマキー合成技術を取り⼊れた映像などがあります。
オンデマンド配信の利⽤は、例えば「出席した授業を動画教材でオンライン学習(復習)し、より理解を深める」「反転授業の実施のため、これまで授業で実施していた講義部分は予め動画教材でオンライン学習し、実際の教室での授業は復習や応⽤の場にする」「⽋席した授業を動画教材で受講する」「理解度・個々のスピードに合わせた授業を実施するため、授業はすべて収録しておき、学習者は動画教材でオンライン学習」など様々です。
復習することで理解度を深めたり、実際の授業前の予習として動画教材を視聴する。
分からないところは何度でも。理解できたらどんどん進む。自分のペースで学習できる。
オンライン授業の導入は学習者側・教育者側の双方に多くのメリットがあります。
オンライン授業の最大のメリットは、好きな場所で授業を受けられる点です。
オンデマンドなら自分のペースで繰り返し学習することができますし、ライブ授業なら質問や発表をするなど、教室授業と同等の学習体験が可能です。登校する必要がないので時間や交通費の節約にもつながります。
また、オンライン授業では外部の先生に授業をしてもらうことが容易になりました。学内の先生では教えることが難しい内容を外部の専門家に依頼したり、海外とつないで授業を行うこともできます。
オンライン授業は毎回学習履歴が蓄積されるため、学習の進捗管理がしやすいというメリットもあります。この学習データを活用して、生徒の得意不得意を的確に把握し、個々に最適化された授業や教材を提供することも実現可能となってきています。
このようにオンライン授業では、これまでの教室授業ではできなかったような教育の可能性が期待されています。
オンライン授業を実施するうえでの課題や、導入のリスクについても見ていきたいと思います。
オンライン授業をおこなうためには、PCやカメラなどの機材のほか、インターネット回線の整備が必要不可欠ですが、学校によってはこれらの初期費用が負担になってしまったり、準備に手間取るリスクがあります。学校側の環境整備だけでなく、学習者側にもオンライン授業をうけるための環境が必要ですが、なかには十分なネット環境がない生徒やスマホ以外の端末を持たない生徒もいます。
また、実際にオンライン授業を実施した教育現場からは、「通信トラブルで授業が中断される」「オンライン授業用の教材作成に思ったより時間がかかった」「学生が正しく理解しているか分かりづらい」といった問題も報告されています。
前述した4つのデメリットも、あらかじめ対策を取ることでうまく対応していくことができます。
オンライン授業をおこなうためのインフラ整備の遅れや地域間格差は、以前から指摘されていました。しかしながら、文部科学省が推進するGIGAスクール構想により、「学校における児童・生徒一人一台端末」と「高速大容量通信ネットワーク」については、ほぼ整備が完了しつつあります。遅れていた「高校における端末整備」についても、令和6年度までに全学年の1人1台環境整備が完了予定だということです。地方自治体によっては、家庭にネット環境がない児童生徒たちのために、モバイルWi-Fiルーターの貸与や通信費補助をしているところもありますので、こうした支援制度も積極的に活用しましょう。
ネットがつながらない・音声が聞こえないといったトラブルは、オンライン授業を円滑運営するうえで大きな障害になります。とくに最初の立ち上げ時期には、こうしたトラブルが起こりがちです。あらかじめテスト配信期間を設け、トライ&エラーを繰り返すことで対策をおこなうことが大切です。また、いくら対策をしてもエラーを完全になくすことはできません。そのため、途中で通信や音声がストップしてしまった場合のフォロー、出欠扱い、課題提出方法をどうするか、しっかりとルールを決めておきましょう。
意外と盲点になっているのが、オンライン授業のための教材作りです。とくに慣れない動画教材作成について、撮り直しやスライドへの音声吹き込みなどに思わぬ時間がかかっているケースもあります。先生方にソフトの扱い方をレクチャーしたり、マニュアルを整備するなど、学校全体での取り組みが必要です。最近では、既存の授業資料を簡単にオンライン教材化できるツールや、ライブ配信した映像をオンデマンドで再配信できるサービスもありますので、そうしたツールを活用して現場の負担を軽減することも大切です。
オンライン授業は画面上のやり取りとなるため、相手の表情やつぶやきが捉えにくく、生徒が本当に理解しているのかどうか不安になるという先生も多いようです。Web会議システムを使ったライブ授業の場合、チャットによる質問機能やアンケート機能がありますので、生徒からの意見や理解度をこまめに確認することが大切です。また、ディスカッションツールを活用してグループワークを積極的に取り入れるなど、先生と学習者、あるいは学習者同士のコミュニケーションを促進している学校もあります。こうした双方向性機能を活用して、生徒とコミュニケーションをはかり、理解度把握に努めましょう。
メリット | デメリット | |
ライブ配信 |
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オンデマンド配信 |
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メリット | デメリット | |
ライブ配信 |
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オンデマンド配信 |
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昔からある「通信教育」もいわゆる遠隔授業の一つです。通信教育の教材といえば、主に郵便で届くテキストをイメージする人が多いでしょう。学習者は提出課題を解いたら添削を受けるため再度郵送で送り返す必要があり、手間がかかっていました。一方、オンライン授業は学習者の端末に直接コンテンツが配信され、すぐに受講することができます。テストや課題も自動採点が可能なため、その場で正誤や解説を確認でき便利です。
また、オンライン授業で使われる動画教材にはテキストに比べて膨大な情報量が含まれています。情報伝達能力を表す例えとして、画像は文字の7倍、動画は文字の5000倍情報を伝えられるといわれています。海外のある研究では、1分間の動画には一般的なWebページの3600ページ分の情報量が含まれているとの結果も出ています(*1)。3600ページ分の文字を読んで理解するのはとても大変ですが、動画教材ならそれをわかりやすく伝えることができます。
(*1)アメリカの調査会社、Forrester ResearchのJames L. McQuivey博士が2014年4月に発表した研究結果より
オンライン授業・オンライン教育のデメリットとして挙げた“設備の整備”について、実際にオンライン授業・オンライン教育を実施する際にはどのようなツールが必要となるのかをみていきましょう。オンライン授業・オンライン教育にはYouTubeなどの動画共有サービスを利⽤して教材を配信するものから、学習機能や教育側が学習履歴・成績管理を⾏う機能を搭載した“学習管理システム”を利⽤して学習者に教材を配信するものもあります。ここでは学校や塾で求められる、品質の⾼い教育の実現を想定し、後者の“学習管理システム”を活⽤した場合の必要なツールについて紹介いたします。
教育者(学校・塾)側 | 学習者側 | |
必要なツール |
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学習管理システム(LMS:Learning Management System)は、パソコンやスマートフォン、タブレット等で学習を⾏う際のベースとなるシステムで、多くの学習管理システムは学習者がログインして教材の視聴や、テストを受ける“受講機能”、教員や管理者が受講履歴や成績管理を⾏う“管理機能”からなります。
オンライン授業はオンラインで教育を提供するための根幹のシステムで、⼀般には「eラーニングシステム」や「eラーニングプラットフォーム」などと呼称されることもあります。
なお、「学習管理システム」という⾔葉のイメージから学習を管理するためのシステムと思われがちですが、管理者向けの学習管理というより、主には学習者に向けて学習しやすく効果の⾼い学習環境を提供することが主眼に置かれています。
ポイント▶ 選定を進める前にまず「どのような教育を実現したいか」を⼗分に検討することが⼤切
それでは次に、学習管理システム選定の際に押さえておきたいポイントについてみていきましょう。
教育者側・学習者側双⽅にとっての使い勝⼿はもちろんのこと、“理想とする教育を実現できるシステム”か否かが⾮常に重要なポイントといえるでしょう。選定を進める前にまずは、学校や塾などの教育機関においてどういう教育を実現したいかを⼗分話し合うことをお勧めします。
導⼊・運⽤の全⼯程やスケジュールを管理する全体統括のほか、各主要ポジションの運⽤メンバーなどを決めておくと良いでしょう。
学習するための機能や学習を管理するための機能が搭載された学習管理システムには、“クラウド”“⾃社構築”“ASP”といったいくつかの提供形態があります。①の、どのような教育を実現したいかといった教育の⽬的や、準備期間、学習者の想定⼈数、予算などを検討の上、選定を進めると良いでしょう。
近年は資料や画像による静的な教材ではなく、動画やアニメーションを多⽤した動的でわかりやすい教材が主流となりつつあります。受講率を上げるためにも“わかり易く飽きさせない”品質の⾼い教材を作成することが重要です。教材を内部で作成する場合は、作成チームの体制整備を進めましょう。また教材作成については学習管理システムに教材作成の機能が付いているものですと⼀元管理が可能なのでお勧めです。また教材の作り易さや、わかり易く飽きさせない教材作成が可能か=⾼品質な教材作成が可能かという機能⾯も選定の重要なポイントといえるでしょう。
スマートフォン、タブレット、PCなどマルチデバイス対応が主流です。学習者にとって⾒やすく、わかりやすく直観的な操作が可能で、なるべく負担のかからない機能であることが重要です。
オンライン授業成功の秘訣、それは毎⽇の管理にあるといっても過⾔ではありません。教育者側が抵抗なく直感的に扱うことができ、かつ細やかな配慮が⾏き届いたシステムが必要となります。
実際に教育の現場で導⼊されたオンライン授業はどのように活⽤されているのでしょうか。
ここでは「学校教育での利⽤」「塾・スクールなど教育ビジネスでの利⽤」「大学・大学院のサテライト校」「リカレント教育」の4つのパターンをご紹介します。
オンライン授業・オンライン教育を成功させるために、押さえるべき3つのポイントをご紹介します。
オンライン授業・オンライン教育の成功事例や失敗事例などの情報を収集し、参考にしながら「どのような教育を実現したいか、オンライン授業をどう活用したいかというゴールイメージを描くことをお勧めします。事例についてはインターネットや冊子、セミナー等で数多く公開されておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
学習管理システムで教材の登録や学習者の登録、そして受講といった一連の流れを実際に体験してみて初めてわかること、見えることが数多くあると思います。できれば事前に一連の流れを体験するなどして課題を洗い出し、ノウハウを積んでから本格的にプロジェクトを始動することが理想形だと思います。学習管理システムには無料のトライアル環境を用意しているサービスもあるので、確認すると良いでしょう。
校内、塾・スクール内には「もっとこういう授業を実施したい」 といった、教育に対する想いをお持ちの方がいらっしゃる場合が多くあります。理解者や応援者を増やし、協力してもらいながら、プロジェクトを進めるというのも非常に重要なポイントといえるでしょう。
オンライン授業を活用した教育サービスや大学の事例を3つご紹介します。
多くの学校が休校に追い込まれたコロナ禍では、自宅にいる生徒が授業を受けられるライブ配信型のオンライン授業が多く提供されました。リアルタイムで先生や生徒同士のやりとりができ、授業の時間が決まっているライブ授業は、生徒の学習意欲を維持すると共に、自宅学習のペースメーカー的な役割も果たしています。
一方、全国展開をしている塾などにおいては、著名人等を招き都市部で開催される特別セミナーなどに地方の生徒が参加することができないという問題がありました。こうしたセミナーをオンライン化することで全国の生徒が参加できるようになり、受講者の満足度アップや受講者数自体が増加した例もあります。同様に、海外の講師とオンラインでつないだ授業なども開催のハードルが非常に低くなりました。このように、これまで不可能だった学びをライブ配信型のオンライン授業により実現することで、生徒や受講者の利便性やベネフィットを高める使い方が模索されています。
ラオンデマンド配信型オンライン授業の活用例の1つに反転授業があります。
これまで授業内で実施していた講義部分をあらかじめオンデマンド教材でオンライン学習し、実際の教室授業では応⽤や実践に取り組むスタイルです。基礎の部分については自分のペースで繰り返し学習することができますし、わからないところはリアルな授業で先生に直接質問をしたり、グループワークやロールプレイングに取り組むことで学びの質を高め、学習成果を上げている例もあります。
ライブ配信型オンライン授業は決められた日時での開催となります。そのため、あらかじめ機材やインターネット環境の確認・準備が必要不可欠です。開催当日になって「ネットにつながらない」「音声が聞こえない」などのトラブルになることがないよう、前もって動作確認をしておくことが成功につながります。
また受講者が当日急遽不参加、あるいは途中で受講中断してしまうというケースもありますので、ライブ配信内容を録画収録しておくと後々のリカバリがしやすくなります。
オンデマンド型の場合、受講者はいつでも受講ができるため、配信期間終了間際に駆け込みで受講されるケースが少なくありません。うっかりしていて受講期間を過ぎてしまったというケースも起こり得ます。そのため配信側は受講状況の確認を定期的に実施し、適切に受講を促す必要があります。最新のLMSには必要な受講者に受講促進を自動案内してくれる「自動メンタリング機能」を搭載しているものもありますので、こうしたLMSを活用するのも効果的です。
デジタル・ナレッジでは数多くの学校、塾、スクール、各教育団体様におけるオンライン授業の実践例が多数ございます。
上記に掲載していない事例も多数ございますので、詳しくはお気軽にお問い合わせください。
デジタル・ナレッジは、オンライン授業(eラーニング)専門の会社として25年以上の実績、経験と2000を超える導入事例があります。学校、塾・スクールにおけるオンライン授業の導入や、教材作成、システム構築に関するご相談等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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