アダプティブラーニングソリューション

アダプティブラーニングソリューションの効果~メリット・デメリット ~一人ひとりに寄り添った教育をすべての学習者に~

アダプティブラーニングとは

「アダプティブラーニング(Adaptive Learning) 」は、学習者1人ひとりに最適化された学習内容を提供することで、より効率的・効果的な学びを実現する学習方法です。アダプティブラーニングは理想的な教育を実現する手法として、文部科学省も推奨しています。
従来は、学校の授業であれeラーニングであれ、全員が1つのカリキュラムを同じ順番で学ぶのが一般的でした。テストもあらかじめ用意された問題のセットを解くよう設定されていました。しかしながら、学習者の理解度や弱点は1人ひとり違います。そのため一律に提供される学習プログラムが最適であるという保証はありませんでした。
個々の学習進捗や解答の正誤情報などを蓄積・分析することで、1人ひとりの理解度や弱点を発見し、それぞれに合った教材や次に学習すべき内容を自動抽出するのが、「アダプティブラーニング(適応型学習)」です。

アダプティブラーニングとは

アダプティブラーニングは、1950年代に登場したCAI(Computer-Aided InstructionもしくはComputer -Assisted Instruction)に端を発し今日まで発展してきたものです。CAIとは、“コンピュータを利用して教育を支援できないか”という考え方で、米国を中心に世界で研究・開発が盛んに行われました。

1990年代、パソコンの普及に伴い、CAIはCBT(Computer-Based Training)、WBT(Web-Based Training)へと進化します。そして2000年以降、インターネットのブロードバンド化、スマートデバイスの普及といったICT(情報通信技術)の発達により、個別最適化された学習を広範囲で実現するベースが整いました。国内では2010年頃より、EdTechのスタートアップ企業などがアダプティブラーニングサービスの提供を始めています。

国もこうした動きを後押ししています。
2018年にスタートした経済産業省の実証事業「未来の教室*1」では、3つの柱のひとつに「学びの自立化・個別最適化」が掲げられ、アダプティブラーニングへの注目度が高まりました。

同じころ、文部科学省も「GIGAスクール構想*2」として、小・中学生に1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する計画を打ち出しますが、この目的も1人ひとりの個性に合わせた教育の実現にありました。文部科学省の「Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性*3」では、すぐにでも着手すべき課題の1つに「アダプティブラーニングの推進」がはっきりと明記されています。

このように、アダプティブラーニングは、教育におけるICTの活用とともに急速に進化し広がってきた手法です。今後、AIやICTにより学習者のデータ蓄積と分析がさらに進むことで、飛躍的にアダプティブラーニングの活用が進んでいくものと考えられます。

アダプティブラーニングの誕生と広がり
(*1)経済産業省「未来の教室」
https://www.learning-innovation.go.jp/
(*2)文部科学省「「GIGAスクール構想」
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm
(*3)文部科学省「Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/002/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/06/20/1406021_18.pdf

アダプティブラーニングのメリット

1人ひとりに最適化された学びを提供できるアダプティブラーニングは、これまでにない効率的な学習を実現し、学習者や教育提供者にさまざまな価値をもたらします。

1人ひとりの学習効果を最大化

たとえば、数学の図形問題が苦手な場合、弱点に特化した問題がくりかえし提示されます。不正解が続くと復習用の学習コンテンツが提示され、なぜ間違えたのか原因を突きとめます。アダプティブラーニングはまるでマンツーマンの熟練家庭教師のように、学習者自身が苦手だと気付いていない箇所さえも見逃さず、理解が十分になるまで学習を促します。学習者は苦手を集中的に学習でき、つまずきに対しても早めに対処できるため、弱点を確実にクリアしながら学習を進めることができます。

一方、数学が得意な人は次々と問題を解き、どんどん先に進むことができます。ハイレベルな課題にも取り組み、さらに実力を伸ばすことができます。
従来の学習では難しかったこうした効率的な学習は、1人ひとりの学習効果を着実に高めることにつながります。

指導品質の均一化&自動化

従来の学習は、教師の指導力や学習者との相性といった属人的な要素に左右される部分も多く、指導品質の偏りが問題視されていました。個々に合わせた学習を提供する場合も、教師個人の経験にもとづく勘に頼ることが多く、主観的な指導になりがちでした。

アダプティブラーニングは、客観的なデータの蓄積・分析にもとづき学習プログラムを提示するため、指導者による差異がなく、指導品質を均一化できます。さらに、アダプティブの仕組みを導入することで、これまでベテラン教師が行っていたような効果的な指導を形式化し自動的に提供可能となるため、教育提供者としても非常にメリットが大きい手法です。

リアルな授業の質を高める

アダプティブラーニングで使われる学習履歴はLMS(学習管理システム)などを通じて蓄積されます。解答の正誤やテストの点数はもちろん、学習者がログインした時間、閲覧したページ遷移、学習にかかった時間などあらゆる学習進捗が把握できます。さらには、学習中の心拍や血圧など学習者自身も意識していない生体データまでもが取得可能となってきました。

これらの情報をAIで分析・可視化することで、教師はリアルな授業における適切な声かけやフォロー、学習比重のこまかい調整などに利用することができます。教室授業とオンライン学習のハイブリッド化にも役立つでしょう。

このように、アダプティブラーニングは従来の教師の存在に取って代わるものではなく、教師の役割を支援・強化するものとして大きな力を発揮します。

過去の膨大な学習データを有効活用

アダプティブラーニングで活用できるのは個々のデータだけではありません。AIにより他の学習者、たとえば合格者や成績優秀者の行動特性を調べ、その分析結果にもとづく指導を行うよう進化しているものもあります。

教える側にとって、学習者がどこでつまずいているのか、どんな課題を抱えているのかを把握することは難しいものですが、アダプティブラーニングは過去の学習者の膨大な学習履歴データをもとに、現場の教師の目だけでは見つけにくい課題やヒントを客観的データで示してくれます。こうして得たアルゴリズムを通すことでなんらかの課題を抱える学習者を自動抽出できれば、教師は助けを必要としている学習者にピンポイントで対応でき、指導品質の向上と同時に対応コストを削減できるでしょう。

このように何万人、何十万人もの過去のデータを活用できるのもアダプティブラーニングのメリットです。

教材・カリキュラムの改善に役立つ

アダプティブラーニングでは、学習者の理解度だけでなく、個々のコンテンツがどのように学習目標の習熟に寄与したかについても分析可能です。これは、AIが各教材の効果を検証し、教育カリキュラムや教材をさらにブラッシュアップしていく仕組みです。この仕組みを利用することで、教材の見直し、運用の改善に生かすことができます。

知識インプットを効率化し21世紀型教育を推進へ

アダプティブラーニングは固定されたカリキュラムに学習者が合わせるのではなく、学習者1人ひとりにオーダーメイドの学習プログラムを提供します。つまり無駄を省き、効率的な学習ができるため、これまでかかっていた学習時間を減らせる可能性があります。

たとえば、従来の知識インプットを最大限に効率化し、その分生み出された時間を探求型・プロジェクト型の学習(PBL)に充てる動きが検討されています。多くの労働がAIに代替される未来に向け、創造力や問題解決力を伸ばす活動に取り組むためにも、アダプティブラーニングは大きな役割を果たします。

アダプティブラーニングのデメリット

ここまでご紹介してきた通り、アダプティブラーニングを行うためにはICT環境の整備が必要不可欠です。ところが、日本の学校ICT環境整備は諸外国に比べ大きく遅れています*4。 自治体や家庭による格差も課題です。つまり、誰もがアダプティブラーニングを受けられるような環境が整っていない点がデメリットといえるでしょう。

折りしも、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言下、多くの学校が休校を余儀なくされたことで、包括的なICT環境整備の必要性がより一層クローズアップされ、前倒しで導入が進んでいる地域もあります。また、効果的なアダプティブラーニングの実現には、デジタル教科書などのソフト、ICTを使いこなせる指導者も必要です。ハード、ソフト、指導体制も含めた三位一体の取り組みが急がれます。

(*4)文部科学省の調査によると、2019年3月時点での学校現場における学習者用端末の導入台数は児童生徒5.4人に1台程度(出典:学校情報化のこれまでの動きについて~GIGAスクール構想の実現~,文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20200226_mxt_syoto01-000004170_01.pdf

デジタル・ナレッジのアダプティブラーニングソリューション

教材の数・タイプ・バリエーションや、受講者の特性・学習期間などによって最適なアダプティブラーニングのソリューションは異なります。デジタル・ナレッジは、世界有数のアダプティブラーニングエンジンをもつ米国Knewton社との業務提携のもと、タイプ別にわけたアダプティブソリューションを提供しております。
お客様のご要望や状況をお聞かせいただき、最適なソリューションをご提供致しますのでお気軽にお問合せください。

ナレッジグラフ評価型

・コース単位で最適化。大規模教科向け
・コンテンツ量の多い教科向け
ナレッジグラフ評価型

教材の数が多く、広い範囲を体系的に学ぶのに適しています。
教材を学習単元(Learning Objective, 教材を構成する学びのねらい)に分け、それぞれの単元に強弱の付いた関連付けを行います。ナレッジグラフ評価型では、一人ひとりの学習者の単元に対する理解度の変化を常に計測し、目標達成すれば次の単元に進みます。ある単元の習得につまずいている場合は、その単元を理解するために必要な単元に即時に遡って、問題や教材に取り組むことをレコメンドされます。この繰り返しにより、「分からない事が分からないまま先に進む」「簡単な問題ばかり解いて学習に飽きてしまう」というような事にならず、一人ひとりに適切な順序や方法で学習を進め、効率よく修了する事ができます。
また学習状況や達成状況を可視化することにより、コーチやメンターが個々の学習者の理解度を把握し適切な指導やカウンセリングを行うことが可能になります。学習者によって理解の速度やベースとなる知識に差がありますが、ナレッジグラフ評価型であれば一人ひとりの学習者に最適化された学びを提供する事が出来ます。

系統トレース型

・設問単位で最適化。小規模教科向け
・コンテンツ量の少ない教科向け
系統トレース型

その日の学習範囲が限定されている学校や塾、集合研修といったシーンにおいて、限られた時間内での理解を定着させるのに適しています。
先生はご経験によって受講者の理解度に応じた最適な設問を設置する事ができるものです。
簡単な問題から難しい問題まで全ての人が10問に向き合う必要があったとしたら、系統トレース型では3問で理解度が分かるようになります。学習者が集中できる時間には限りがあるため、これはとても重要な事です。
さらに、系統トレース型では「読むべき解説」と「取り組むべき設問」を提供する事による非常に効率の良い学びを提供する事が出来ます。

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