eラーニング戦略研究所は、2014年に実施した「高校教員、大学教員に対する反転授業に関する意識調査報告書 」の定点調査として、同内容のアンケート調査を2015年4月に実施しました。
その結果、反転授業を「知っている」「聞いたことがある」と回答した教員は51%で、前回調査時より10%増加していました。しかしながら「反転授業を行っている」のは前回調査時とほぼ同等の2%に留まり、反転授業の認知度は上がっているものの、実際の導入率は極めて低いままであることが明らかとなりました。
なぜ反転授業の導入率は伸びないのでしょうか。アンケートの結果、多くの教員の課題に対する懸念は「授業ビデオ作成における教員側の負担がどう担保されるのか」「自宅学習率をどう上げていくのか」といった内容に集中しており、前回調査時とあまり変化がみられませんでした。現段階では反転授業の効果的な運用方法などの情報整理が不十分な状況であることから、反転授業を取り巻く一過性のブームは去り、効果的な運用方法をしっかりと理解したうえで着実に利用する傾向に推移している、という見方もできるかもしれません。
実際に、アンケートでは教員の約半数が反転授業の導入に意欲的であることが明らかとなっており、反転授業の導入で学習者の自主性や思考力、ディベート能力の向上に期待する声が高まっています。このことから、ともすれば一方通行型で学習者が受け身になりがちな従来の教育スタイルから脱する有効な手段として、反転授業が一定の評価を受けていることがうかがえます。
アンケート結果から見るポイント
- 反転授業を「知っている」「聞いたことがある」10%増、導入率は横ばい
- 反転授業の実施で「学生が予習をするようになった」「理解度が深まった」
- 「教員の半数が反転授業導入に意欲、「アクティブラーニングにつながる」と期待高まる
- 変化を求められるも「授業ビデオ作成の負担」「自宅学習の習慣化」への懸念根強く
アンケート調査概要
- 調査目的 :高校、大学の教員を対象に、反転授業の実施状況やイメージ調査を行い、
2014年に実施した同調査結果と比較した定点観測により傾向を把握する。 - 調査期間 :2015年4月27日(月)~4月30日(木)
- 調査方法 :Webアンケート方式
- 調査地区 :全国
- 調査対象 :高校の教員、大学の教員 計100名